聖女が望むものとは…「さぁ、アリス…君の望みを言ってーーーえ?」

タッター

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プロローグ

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 ここガーベラ王国の人々は、賢王と名高い現国王を中心に平穏な日々を送っていた。ーーしかし今から3ヶ月前、その平和な国の存続を揺るがすような大規模なスタンピードが起こった。


 その知らせを聞き、国王と宰相はすぐさま大臣達を召集し、作戦を練り騎士団を出撃させた。また、冒険者ギルドにも協力要請を出し、ギルドもそれを承認、対処に当たった。そして、まだ17歳にして剣の申し子と名高い第2王子ガランも前線に立ち、その側近である魔術師団長の嫡男ノルン、騎士団長の次男ゾールもガランに付き従い戦場で指揮をとり、皆が一丸となって国を、人々を守るために戦った。


 そして、もう少しでスタンピードを終わらせることができるところまで来たときにそれは起こった。


ーーー第二のスタンピードである。


 はじめのスタンピードと違い、数は少なかったが魔物達の強さが1ランク上がっていた。また、それだけではなく異界の悪魔までもがやって来たのだ。
 悪魔はたった1人でも国を滅ぼすことができ、国総出で対処に当たらなければならない程の強さを有している。


 スタンピードにより皆が何日も気力を振り絞りながら戦っていたため疲労が蓄積していた。怪我人も多く、やっと希望が見えてきたときに現れた悪魔によって戦場は『絶望』の2文字に染まっていった。


 それは王都でも同じで、人々がその知らせを聞いた時、ある者は恐怖に震え、ある者は絶望に涙し、ある者は自分の死の運命を受け入れた。そうして皆が絶望に陥っていた時、戦場に1人の少女が現れた。


 戦場に現れたその少女は光魔法を駆使し、戦場にいた者達を癒し、死に扮したものにも慈悲を与える光を降らせ、その命を救った。その光を浴びることにより怪我や疲労感すらなくなり、戦場の空気が一気に変わった。そして怪我が治ったガラン、ノルン、ゾールと共に激しい戦闘の末、悪魔を倒し無事にガーベラ王国を守ることができたのである。


 戦場に現れたその少女の名前はアリス・ロード。のちに聖女と呼ばれる者である。

 

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