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しおりを挟む使用人部屋(休憩室)には執事長、メイド長、護衛長他以下略の者達が集まっていた。
「なぜじゃ…何故全てあの女に効かぬのじゃ!!」
「「「「「………」」」」」
そんな執事長の悲痛な叫び声が部屋に響いた。
「………はぁぁぁ」
そしてそんな彼らを見て見習い執事は溜息をこぼす。
執事長達使用人一同はアリスに目に物を見せてやると意気込んだ日から様々な嫌がらせをアリスに行った。だが、そのことごとくをアリスは何食わぬ顔でニコニコと微笑みながら普通にイアンとの逢瀬を楽しみ、時には嫌がらせを利用しつつイアンとの距離を少しずつ縮めていった。
アリスは決してイアンに自分が使用人達から嫌がらせをされているなど言わず、いつもニコニコと楽しそうに執事長達を見ていた。そんな様子を見て見習い執事は悟っていた。…完全に遊ばれている…と。
執事長達も何をやっても動じないアリスに、既に本性を暴くなどの話ではなく、どうやってアリスをギャフンと言わせるのかに重きを置いていた。初めはイアンに気づかれないように小さな嫌がらせしかしていなかったはずが、もうイアンにバレなければ何をしてもいいのだというごとく直接アリスへと挑む者達まで現れる始末。それでもアリスには勝てない。
「何故じゃ…何故勝てぬのじゃ…」
「「「「「………」」」」」
またしてもそんな執事長の悲痛な声にその場にいた者達は皆口を閉ざした。
最近では何故かアリスに興味などないと言っていた主人がアリスのことを意識しだし、2人の仲が急激に近づいている。
「くぅ~何故旦那様はあんな小娘をっ。一体どんな手を使ったのだっ!!」
「やはりあの声が聞こえなくなった時に何かしたのでしょうか?」
「しかもさりげに俺達の死角に入ってたよな?何者だあの聖女?」
「「「コクコク」」」
「…それはわからぬ。だが、いや、だからこそやはりあの小娘の化けの皮をっ!」
「…はぁぁ。もういい加減、聖女様に突っかかるのはやめましょうよ」
「じゃがっ!!」
「どうしたってあの人には勝てませんって。本当は執事長達だってもうあの方が悪い方ではなく、本当にイアン様を慕っていることくらいわかっているでしょう?」
「「「「「…………」」」」」
ため息を吐きつつ自分達を見る執事見習いに皆口を閉す。執事見習いの言う通り執事長達は本当はもう悟っていた。裏があるないに関わらず、アリスは本当にイアンを慕っていると。
…アリスのイアンに対する恋愛感情は本物だ。隙あらばイアンに甘え、一緒にいようとする。だが、決して無理矢理ではない。アリスは何処まで踏み込んでいいのかの見極めが非常に上手い。また、頭も良く、イアンの話についていけるばかりか打てば響くように受け答えをする。
そして、イアンがいない際に行った決闘や知識勝負、料理対決、他以下略のどの勝負にも勝利を納め、どれをとっても申し分ないほどの素晴らしい女性だった。逆にアリス以外でイアンに相応しい女子がいるかと聞かれればもう使用人一同いないとしか答えるしかない。
…本当はもう皆アリスを認めている。だが、それでも…
「そんなことはわかっておる。じゃが……一度も勝てんというのは悔しいのじゃ!!」
「「「「「そうだ!!そうだ!!」」」」」
「…………」
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