不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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26.気まずいっす…

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「「「…………」」」


 ……うぅ~気まずいっすぅぅう~。


 やはり全然大丈夫ではなかった。


 朝と同じく夜もボス、俺、フレイ君の構図で晩ご飯を食べている状況。朝と同じようなやり取りを経て誰も話さないまま無言でご飯を食べ続け、心で泣き続けている俺。


 辛いっす……っ。


 この朝から夜までの間にフレイ君はたくさん頑張っていた。ボスに……


「なにかラックさんのお仕事、僕に手伝えることありますか?」


「ない」


「ラックさんのお仕事、見学させてもらってもいいですか?」


「無理」


「お昼一緒に食べませんか?」


「嫌」


「僕、ラックさんの鍛錬姿見てみたいです!」


「無理」


「……側に居させてもらってもいいですか」


「フン」

 
 ――と、何度も話しかけるも最後は馬鹿にするように鼻で笑われ、去られ、それでも頑張って追いかけてもう何を言ってもボスが「無理」「嫌」としか言わなくなったところでフレイ君は……


「……………………ツキさんといますね」


「無理」


 と、撤退を選んだ。俺と一緒に去ると言ったのにボスの返答は「無理」だった。ボスはフレイ君の話を聞いていなかったのだろうか? それともあれか? 「無理」「嫌」と言いながら実際はフレイ君に側にいてほしかったのかボスは。ツンデレさんなのかボスは。こっわいギロギロ目で見てたらそんなことわかるはずも――


 ガッ

「い゛っ。…………」


 ……シクシクシク……足蹴られたっすぅ。


 なんだなんだまた思考を読んだのか。そんな横目で睨みつけないでほしい。怖いから。なんでフレイ君が去った後から一切隠れて姿を見せなかった癖に晩御飯ではまた姿を見せるのか。泣くも終わらないこの無言の食卓に胃がキリキリしてきそうだ。


 うぅ……レト兄、モージーズー助けてほしいっすっ。


 チラリと前の席を見ればレト兄も俺と同じく気まずそうに、だが決してこっちと目を合わせようとはせず食事を進めている。今度は振り返ってまた遠くの隅っこの方でご飯を食べているモージーズー達三人を見れば、三人とも触らぬ神に祟りなしと決してこっちを見ようとはしない。どれだけ念を送ってもその念を送る分だけ顔をグイグイ捻って逸らして反対方向を向く。


 ……そのまま一周してこっち見てくれないっすかね?


 モー達だけではなくこの場にいる他の誰も彼もが俺と目を合わせようとしてくれない。俺側を向いて席に座っている仲間達の座り方が変な座り方、身体の向きになっている。意地でも関わる気はないようだ。そんな悲しみに暮れながらもなんとか食事を食べ終えた。フレイ君もボスもだ。


「ご、ごちそうさまっす」


「……ごちそうさまです。あの、ラックさん。お皿僕が返してきましょうか?」


「……」


 フレイ君めっちゃボスに気使ってるっす!!


 それがわかるからこそなんかこの状況がキツい。なぜこうも心臓がギュッと苦しくなってしまうのか。


「……いい。ツキ、お前戻してこい」


「!?」


 だからなんでそこで俺の名前出すんっすか!?


 しかもボスのフレイ君を睨む目つきが朝の挨拶よりも鋭い。これはいいのか。俺が返しに行ってもいいのか? 返しに行って二人を二人っきりにしてもいいのか。……ん?


 あれ? そうっすよね? 俺がお盆を返しに行けば必然的にこの二人は二人になるっす。ボス、フレイ君だけだと絶対フレイ君と遭遇してくれなかったっすから、いっつも俺一定距離保ってフレイ君の側にいたんっすよね。あんまり近くにいてもボスすぐにフレイ君が声をかけてるのに俺に話振ってくるっすから。でも、これはチャンスっすよ!


「おい、ツ――」


「じゃあ返してくるっす!」


 ジロッとした目で見てくるボスが何かを言う前に、素早く俺はボスとフレイ君の分の食器を自分のに重ね、その場から立ち去った。


 ボスめ、また俺の思考読んだっすね。でもそう上手くはいかないっすよ。


 ニヤリと笑う。食器は種類ごとに分けてカウンターへと返すが、いつもなら数秒で終わる作業。だが、いつもの何倍もの時間をかけてゆっくりとそっと返していった。戻し終わった後もそれは同じ。動きもゆっくりにボスとフレイ君を見れば二人の距離が近くなっており、目が丸くなった。俺がいなくなった分の距離が埋まり、ボスはフレイ君の頬に手を添えているのだ。


 え? なにがあったんっすか?



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