不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!

タッター

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117.自業自得

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「……っ……」


 畏れ、怖がり忌避するような目とその姿に、心臓が押し潰れそうなほど苦しくなった。ギュッと目を瞑り耐えるように胸元を握りしめるも涙がこぼれてしまう。


「ふっ……ぅ……っ」


「……っふふ。ツキさん泣いてる。はぁ~いい気分♪」


「な、なぁかしら――ガァン!!」


「「「「「ビクッ!?」」」」」


「っ……ま、また石、今度は岩が落ちてきたぞ。んな落ちそうなのなかっただろ今っ」


「か、かしらよぉ、さっきから妙なことが起きんのは本当に全部こいつのせいなのか? ならっ、……んなやべぇ奴とこのままここにいたら俺達も危ないんじゃ……」


「確かにそうかもしれないですね……。けど、それじゃあまた僕達の敗走になっちゃうんですよね……」


 ジャリっとした音が鳴る。


「!」


 バッ顔を上げればバーカルがゆっくりとこちらに近づいてきていた。


「……ツキさん言ってましたよね。僕達のこと逃げ回ってばかりだと。でもね、それは僕の頑張りの証だと思うんですよ」



「っ」


 だんだん近づいてくるバーカルに息が詰まる。後ろに下がろうとするも上手く足を動かせない。


「……僕、本当にすっごく頑張ったんですよ? 父が築いた財と地位をもう一度この手に掴むためにと下げたくもない頭を下げて頑張ってたんですよ。……でも、あの女狐は下らない過去の因縁を根に持って僕を排除しようとばかりしてくるんです。確かに、僕の父は少し失言してしまったのかもしれません。ですがその失言を間に受けて自分の兄を殺し、またそれを実行に移したのは紛れもなくあの女の父親なんですよ。なのに、まるで僕を親の仇の如く見てくるんですよ? 親の仇って自分で自分の親を始末したくせに酷いですよね?」


 何でもないような顔をして、この状況に似合わず肩をすくめ俺の方へとゆっくりと歩いて来るバーカル。


「僕の言葉をまるで聞こうともせず、散々甘い汁を吸わせ、味合わせてくれていた癖に代が変わればすぐにその権利を取り上げ、表商売ですら全くさせてくれない。だから僕は必死に父から受け継いだこの家業奴隷商売だけは守ろうとしたんです。そして、私と同じく益を与えられ尽くしてきたのに冷たくあの女に打ち切られ、追い出された人達を僕は守ろうとしたんですよ。それがここにいる者達です。……ほんとあの頃はよかった……。人を攫おうが売ろうが痛めつけようが自由。脅しも暴力も略奪もし放題。強いものが勝者。僕にとっても人々が恐怖と苦痛に塗れるその顔を間近で見ることができるその環境は最高の場所、日々だったのに、それを急に奪って僕達を排除しようとするなんて薄情にも程があると思いませんか? だからこれだけの人数に恨まれることになるんですよ」


「……っね、姉さんは何も悪くないっす……っ」


 引き攣りながらもなんとか言葉を絞り出した。恨み? 勝手な逆恨みだ。姉さんがしたことは正しい。後半の自分の言葉を見直し、自分の行動思考を振り返えるべきだ。


「そうですか? まぁ、レーラに対する恨みはもちもん、ここにいる連中は女狐だけじゃなく、ラックに恨みを持つものも多いですよ? 僕もあの女狐よりラックの方が世界で一番嫌いですしね。……僕達親子に全てを奪われた癖にまるで何事もなかったかのようにこの街に帰ってきて地位への執着も見せずただ淡々と自分の群れの中で不敵に笑いながらこちらの息の根を刈ろうと狙うあの男。すっごく目障りで癪に障る男だと思いませんか? それに、僕がツキさんのことを好きなことを知っていながらあいつは僕からツキさんを奪い、遠ざけようとする。……っ本当ならツキさんは初めから僕のものになるはずだったのに。でも、それをラックが横から奪ったんですよっ!」


 バーカルは悔し気に声を荒げたあと、悲し気に眉を下げ、俺を見る。


「……ツキさん。ツキさんは僕のことを覚えてはいないかもしれませんが、ずっと昔に僕達は会ったことがあったんですよ?」


「…………え?」


「ほら? 覚えていませんか? 奴隷にするためと、最初にツキさんを捕まえたのは僕なんですよ?」


「っ!?」


 

 
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