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12.安堵
しおりを挟むそれからも爆発音は止まらず地響きとともに何度もしていましたが、15分ほどでパタリとその音が止みました。
「……………止みましたね」
「…は、はい」
「一体何だったんだ?」
本当な何だったんでしょうね…。それに外はどうなっているんでしょう?何故急に音が止んだのでしょう?様々な疑問が湧き上がりつつも、皆さんの側にいると…
バタバタバタバタ!!
「「「「「!!」」」」」
扉の向こうから誰かが走ってくる音が聞こえました。その音に警戒を強め、皆さんの前に出ます。
この騒動が人為的なものである可能性が高いことは皆さんよく知っています。だからこそ、音が止んだこともありこの足音がヨルト様達のものである可能性があったとしても油断はできません。
いつでも魔法を発動できるように準備を整え、手に持っている武器に力を入れてじっと扉を見つめます。
バタバタバタバタ!!バン!!
「「「「「!!」」」」」
「ーーユユ!!」
「…え?お姉様!?」
扉を勢いよく開けて部屋に入ってきた方は私の実の姉であるユイーナお姉様でした。
「あぁ!!ユユ!!よかったわ無事で!!もう大丈夫よ!」
「え?え?」
…ちょっとこれは想像していませんでした。お姉様は扉を開け、私を見つけるとすぐに近寄ってきて抱きついてきます。でも、何故お姉様がここにいるのでしょう?もしかしてずっと外で鳴っていた爆発音はお姉様がやっていたことなのでしょうか?
「ーーおい!!ユイーナ!!何故お前が1番にユユの元に行き抱きしめるのだ!!それは夫である私の役目だろ!と言うか何故いる!?」
この声は!
「ヨルト様!それに皆さん!」
お姉様の後に続いてヨルト様やローレンさん、ランさん達皆さんが部屋に入ってきます。見た限り皆さん少し怪我をして埃まみれになってしまっているようですが大きな傷はなさそうです。
「ユイーナいい加減離れろ!ユユ大丈夫だったか?」
「きゃっ!何をしますのヨルト!」
「私は大丈夫です。ヨルト様達こそ大丈夫ですか?」
「私達も大丈夫だ」
「はい、ご心配をおかけして申し訳ありません。外の方ももう全て片付きましたのでご安心下さい」
「全てですか?たくさんの魔物がいたんじゃ…」
「はい。ですがヨルト様やユイーナ様のお陰で無事に。まぁお2人とも規格外の強さですから」
「それに軽傷者は何名かいるが幸運なことに重傷者や死者は1人も出なかったぞ」
「っ本当ですか!!」
「ああ」
「全く感謝してほしいことですわ。私がいたからこその結果でしょう?」
「…そうだな。だが何故ここにいるんだ?」
…誰も死んでない。誰も…
「……よかった…。本当によかったっ……」
今までの緊張が途切れてしまったことで足から力が抜け蹲ってしまい、涙があふれて止まらなくなります。
…ずっと怖かったのです。『前』と同じようにローレンさんや他の方達が死んでしまったらと。それだけではなくヨルト様やせっかく変えることができたランさん達の死もここでその返しがくるかもしれないと。『前』とは違うからこそもっと想像もできない酷いことが起きるのではないかと…。色々な恐怖が頭の中をずっと支配しようとするのです。皆さんに大丈夫だと言っておきながら情けない限りです。
押さえつけていたものが一気に解放され、震えや涙が止まりません。もっと最後まで毅然としていなければいけませんのに。
「ぅ…ふ…ぅ゛ぅっすみません…ヒック…すみません…」
「…ユユ…もう大丈夫だ」
「……はい…はいっ…」
涙が止まらない私をヨルト様は優しく抱きしめてくれます。そんなヨルト様の優しさや温かさにまた涙があふれてしまいます…。
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