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3.ヨルトside
11.奪われないためにも!
しおりを挟む「旦那様、ワイール子爵とユユ様とのことですが」
「ロゼリア様が言っていたことは本当のようです」
「……そうか」
ーーあれからまた数日が経ちラン達からの報告を聞く。くそっまさか彼女があんな奴に目をつけられているとは。
「ですが、ユユ様本人はまだそのことは知らないようです」
「なに?」
「ミーティア男爵夫妻やユユ様のご兄妹はとてもユユ様を溺愛しているそうでまだ話していないようです」
「ワイール子爵からは相当の圧力をかけられているそうですがなんとか凌いでいる状況のようです」
「そうか…」
だが相手は子爵家。爵位の上の者の要求を何も無しにいつまでも跳ね除け続けることは困難だろう。
「それでどうするんだヨルト?」
「……確かユユが学園を卒業するのは1週間後だったよな?」
「「はい」」
「ヨルト?」
「……では直ぐにミーティア男爵に連絡してくれ」
「ん?ミーティア男爵にか?ワイールの方じゃなくて?」
「ああ。彼女が学園を卒業後、すぐにでも妻にもらえるようにな」
「はあ!?」「「は?」」
「お前何考えてんだ?何で婚約の申し出すっ飛ばして結婚なんだよ」
「そんなすぐには無理ですよ」
「何のために今まで根回しを行っていたんですか?」
「それはわかっている。だが、根回しもほとんど済んでいるし、後は男爵からの許可さえばいいだけだっただろ?婚約を飛ばしての結婚となってしまうが大きな問題はないはずだ。もし男爵が何か文句や条件をつけて来たとしても、その時は私にできる限りの誠意を持って対応させてもらう」
「…何もそこまで焦んなくてもいいだろ?相手側も直ぐに結婚を決めるのとかは無理だろうし、先にワイールの方をどうにかして後でゆっくりと話をすればーー」
「それではダメだ!!」
「「「?」」」
確かにワイールと彼女の話は跡形もなく潰すつもりだ。だがそれだけではダメだ。何故なら…
「そんなグズグズしていて、もしまた今回の様に私が気付かないうちに誰かに取られてみろ!!私は一生後悔するぞ!!」
「………いや、でも」
「天使のあの子を狙っている輩は私以外にも必ずいるはずだ!!そいつらに彼女を奪われないためにもこれ以上付け入る隙を与えず多少強引にでも必ず彼女を手に入れる必要がある!そして彼女を娶ったあかつきには2人で幸せな家庭を築くのだ!!」
想像してみろ。仕事から帰ると優しい笑顔で微笑んでくれる彼女を。そして穏やかに2人で過ごす日々を。そんな日々を想像するだけで私の心が幸福に満たされていく。また今回のように私が手を出す前に横槍が入り、他の奴に奪われてたまるか!!何としてでも彼女と一緒にならなければ!
「おーいヨルト?……ダメだこいつ。まーた突っ走ってるよ。そんな上手くいくか?」
「「……さぁ?」」
未来に想いを馳せ、決意に燃える私に彼らの言葉は聞こえなかった。
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