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3.ヨルトside
10.は?
しおりを挟む「ーーなんですよ!私凄くないですか?」
「……ああ。そうだな」
どれだけ彼女に会いたいと思っていても現実とは酷なものであり、今目の前にいるのは愛しい彼女ではなくロゼリアだという事実に、そして永遠と自分の自慢話を繰り返すロゼリアに心が死んでいく。
虚ろな目で返事を返す私に気づかずロゼリアはとても楽しそうに1人話し続けている。疲れないのだろうか?
「あっ!そういえばヨルト様にとっておきのお話があるんですよ!」
「……とっておき?」
「はい!聞きたいですか?」
「……ああ」
「本当の本当に聞きたいですか?」
「ああ。キキタイキキタイ」
…面倒くさい。どうせくだらない話だろ早く話せ。そして帰ってくれ。
投げやりな返事になりつつもロゼリアは気にした様子も見せずに胸を張って得意げにまた喋り出す。
「そんなにも聞きたいのなら仕方がありませんね!実はヨルト様が夜会でいつも見ていたあの可哀想な子、結婚が決まりそうらしいですよ?」
「………………は?」
可哀想な子って誰だ?いつも見ていた?
「ほら!あの子ですよ!いつも1人で暗く庭にいた子ですよ!」
「…………もしかしてユユ・ミーティア嬢のことか?」
「そうそう!その子です!」
「…………」
下らない話だと思っていたら特大の爆弾が落とされた。
彼女の結婚が決まりそう?私はまだ申し込んでいないが?もしかしてそう言う噂が出回っているのか?
「でも可哀想ですよね~。あのワイール子爵の後妻としてらしいですよ?」
「なっ!!あの子爵の!?」
ワイール子爵は嗜虐趣味で有名な男だ。裏で相当悪どいことをしているとの噂が絶えないが、隠すことが上手いのか証拠が見つからず捕まえることができないでいる。…確か奴の前妻も不審な死を遂げたとあったか。何故そんな奴が彼女を…
「そうみたいですよ~何だがユユ様を見て気に入ったらしいです。でもまぁ可哀想ですけど仕方がないですよ!相手は子爵家ですし、私ほど可愛くもないんですもの!まだ嫁の貰い手があっただけでもマシだと考えなきゃ。役立たずならそれくらい…「黙れ」…え?ヨルト様?」
ロゼリアの不快な言葉を止める。
「悪いが急用ができた。今日はもう帰ってくれ」
「え?よ、ヨルト様?」
「ローレン彼女の見送りを」
「かしこまりました」
「そんな!まだお話しの途中ですよ!?ヨルト様!!」
「ラン、ラミ」
「「はい」」
「今の話が本当か調べてくれるか?」
「「かしこまりました」」
…もしさっきの話が本当ならば急がなければ。
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