ねえねえ、あのねあのね、聞いて‼︎ わたしの右手にはね、邪神龍が眠ってるの! ガォー!

おひるね

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「かりーん! アイス買って来たけど食べるかー?」

 って。食べるわけないよな。

 結局、カリンは学校を休んだ。
 俺も休もうとしたが「わたしに合わせる必要はない」と、突き放されてしまった。

 とは言え、このままってわけにはいかない。

 カリンと話すきっかけが欲しい。それで学校帰りにアイスを買ってきたけど。

 なにやってんだよ。もう、あの頃のカリンとは違うってのに。

「はぁ……」

 そう、思っていたのだが……。

 〝バタンッ〟〝タタタタタタッ〟

 物凄い勢いで階段を駆け下りる音がした。

 そして、最後の着地は二段飛ばし。

 〝シュタッ〟〝ドンッ〟

 目の前に……カリンが現れた。

 なにかまずいことでも言ってしまったか。
 気に触ることでもしたか……そんなことを考えていると……、

「……食べる」

「お、おう。じゃあ手洗って来なさい。リビングで待ってるから」

 これはいったいどういうことなのか。
 
 ◇

 カリンはダイニングテーブルに座ると美味しそうにバニラアイスを頬張った。百円で買えるカップのやつ。

 時間にして一分にも満たない。あっという間に食べてしまった。

 スプーンを咥えたまま、名残惜しそうに食べ終わったカップを見つめていた。

「お兄ちゃんのも食べるか?」

「え。いいの?」

「いいよ。実はそんなに食べたい気分じゃないんだ。カリンが食べるならと思ってついでに買ってきただけだから」

「……じゃあ欲しい。……ありがと」

 これはやっぱり……アイスが好きってことでいいのかな。

 色々と変わってしまったと思ったけど、やっぱりカリンは九歳なんだ。

「言ってくれれば毎日買っくるぞ?」

「それはいい。わたしからは欲しがらない。養ってもらってる分際で、贅沢は言えないよ。この体じゃ働けないし、穀潰しも同然でしょ」

 なにを言い出しているんだ? この九歳児は?

 全俺が総ツッコミを入れたくなったがグッと堪えた。

「そんな気遣いしなくていいんだぞ? お兄ちゃんだって学生だ。それにほら、子供はわがまま言って育つとも言うし!」

「子供……ね。やっぱこれは言っとかないとフェアじゃないよね。お兄ちゃんだって色々と戸惑うことも多いだろうし」

「お、おう。カリンのことならなんでも知りたいぞ!」
「ほんと、お兄ちゃんってわたしのこと大好きだよね」

「当たり前だろ。大切な大切な妹だ!」

「……うん。そのね、大切な妹はね、お兄ちゃんよりも年上だったら……どう思う?」

 何が言いたいのか、なんとなく察しがついてしまった。そうか、次はそういう設定を広げるんだな。

「それでもカリンは俺の妹だよ。なにも変わらない。年齢なんて関係ないんだぞ?」

「さすがお兄ちゃん。ほんと、わたしのこと好き過ぎるね」

「お、おう。まあな」

 こうもストレートに何度も言われると、ちょっと違うと思うけど。まあ、なにも言うまい。

「わたしね、向こうでこっちと同じくらいの時間を過ごしてるの。だから十八歳になるのかな。お兄ちゃんより一つ歳上ってこと。ごめんね。妹なのに」

 やっぱり。概ね予想通り。
 でも一つだけ歳上っていう設定だったか。

 もっとこう、何百歳とか無限の時間を~とかかと思ったが。結構控えめだったな。

 とは言え、心を開いてきてくれた。カップアイスにまじ感謝!

 よし。なるべく話は合わせないとな。

「やっぱりそうか。そんな気はしてたんだよな。じゃあ、これからはカリンのことをお姉ちゃんって呼んだほうがいいのかな?」

「今のままでいいよ。でも、わたしを九歳だと思って接するのはやめてね。子供じゃないからさ」

 あー。そうか、こういう話に繋げて来るのか。
 俺はてっきりお姉ちゃんになりたいのかと思ってたが。予想が外れてしまった。

「だからさ、この歳になって今更小学校に通うとかないなって。これ以上は言わなくてもわかるよね?」

 なるほど。最終的にここに繋がるのか。
 俺よりも二枚も三枚もうわてだった。

 ただ、カリンが学校に行きたくないなら無理に行かせようとは、もう思っていない。

 こうやって大嘘吐いてまで、行きたくないと思う事こそが問題なんだ。

 ゆっくりでいい。

 厨二病に寄り添い、カリンの支えになろう。
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