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分岐点②
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「あ…先輩と一緒だって聞いていたので…てっきり寺井さんだと思ってました」
ユリは答えた。
「いや、一緒に行くのは沢田さんだよ。うちの課に異動になってから、ずっと二人で組んで仕事してるからね。確か、内藤より2つ3つ上だったと思うから、先輩っちゃ先輩だね」
寺井が笑う。『沢田』。初めて聞く名前…だと思う。
「そうでしたか。私、あまり秀夫さんとは職場の話をしないものですから、秀夫さんがいう『先輩』って、寺井さんの事だとばっかり思ってて。『沢田さん』には、結婚式でもご挨拶してないと思うんですが、親しくさせていただいてるんでしょうか?」
ユリと秀夫の結婚式は平日だったので、職場関係は直接の上司しか招待していない。志保子や寺井など、特別親しい数人だけは、友人として参列してもらったのだ。
「うん、古い付き合いだからね。内藤が入社した時、指導担当だったのが、沢田さんじゃないかな?」
「え…それじゃ、沢田さんも、以前は前の職場に?」
「そうそう、7年前かな?沢田さんも、結婚してこっちに移動したんだよ。俺より1年早い転勤だったから、引っ越しの時、うちも家探し、手伝ってもらったんだよな」
寺井の言葉に、夫人が頷く。
「寺井さん…も?それじゃあ、うちのマンションを紹介してくれたのは、寺井さんじゃなくて…?」
「内藤の実家近くのマンションだよね?沢田さんが、希望通りの物件見つけてくれたって、あいつ喜んでたよ」
じゃあ、そろそろ…と、お互いに会釈を交わして別れた。
新居を決めた時、秀夫は確かに『尊敬する先輩』が紹介してくれたと言った。今の今まで、その『先輩』は寺井だと信じていた。なんだろう。胸がざわつく。パンもワインも買わずに、ユリは急いでマンションに帰った。
帰宅すると、秀夫は居なかった。買ってきたサラダを冷蔵庫に入れて、ユリはすぐに志保子に電話をかけた。
「志保ちゃん?うん、今、家に着いた。途中で、ちょっと買い物してたから。色々、ありがとう」
「ユリが帰った後、真奈美が来たんだよ。もう帰ったって言ったら、びっくりしてた。昼頃までは居ると思ってたみたい」
「本当?マナちゃんのとこに、寄って来ればよかった。悪いことしちゃった」
「気にすることないよ。真奈美ったら、『佐藤 綾乃』の家の玄関に、『内藤参上!』って落書きしに行こうって言うんだもん、笑っちゃった」
「前から思ってたけど、マナちゃんってちょっとヤンキー入ってるよね…」
「発想がね…」
二人でクスクス笑いあう。そういえば…ユリより3歳年上の志保子なら、『沢田さん』を知っているだろうか?
「7年前にそっちに転勤した沢田さん?そんな人、いたっけ…?」
心当たりがないようだ。7年前なら、志保子もまだ入社して1~2年。秀夫の指導担当ということは、沢田さんは総合職だろう。専門職の志保子が知らないのも仕方のないことだ。やはり、秀夫に尋ねてみよう…
「あ、わかった!沢田さんって、相原さんのことだよね。結婚して、沢田さんになったんだよ、確か!」
ユリの心臓が、ドクンと跳ねた。
「沢田さんって…女の人なの?」
ユリは尋ねた。声が震えていないだろうか?
ユリは答えた。
「いや、一緒に行くのは沢田さんだよ。うちの課に異動になってから、ずっと二人で組んで仕事してるからね。確か、内藤より2つ3つ上だったと思うから、先輩っちゃ先輩だね」
寺井が笑う。『沢田』。初めて聞く名前…だと思う。
「そうでしたか。私、あまり秀夫さんとは職場の話をしないものですから、秀夫さんがいう『先輩』って、寺井さんの事だとばっかり思ってて。『沢田さん』には、結婚式でもご挨拶してないと思うんですが、親しくさせていただいてるんでしょうか?」
ユリと秀夫の結婚式は平日だったので、職場関係は直接の上司しか招待していない。志保子や寺井など、特別親しい数人だけは、友人として参列してもらったのだ。
「うん、古い付き合いだからね。内藤が入社した時、指導担当だったのが、沢田さんじゃないかな?」
「え…それじゃ、沢田さんも、以前は前の職場に?」
「そうそう、7年前かな?沢田さんも、結婚してこっちに移動したんだよ。俺より1年早い転勤だったから、引っ越しの時、うちも家探し、手伝ってもらったんだよな」
寺井の言葉に、夫人が頷く。
「寺井さん…も?それじゃあ、うちのマンションを紹介してくれたのは、寺井さんじゃなくて…?」
「内藤の実家近くのマンションだよね?沢田さんが、希望通りの物件見つけてくれたって、あいつ喜んでたよ」
じゃあ、そろそろ…と、お互いに会釈を交わして別れた。
新居を決めた時、秀夫は確かに『尊敬する先輩』が紹介してくれたと言った。今の今まで、その『先輩』は寺井だと信じていた。なんだろう。胸がざわつく。パンもワインも買わずに、ユリは急いでマンションに帰った。
帰宅すると、秀夫は居なかった。買ってきたサラダを冷蔵庫に入れて、ユリはすぐに志保子に電話をかけた。
「志保ちゃん?うん、今、家に着いた。途中で、ちょっと買い物してたから。色々、ありがとう」
「ユリが帰った後、真奈美が来たんだよ。もう帰ったって言ったら、びっくりしてた。昼頃までは居ると思ってたみたい」
「本当?マナちゃんのとこに、寄って来ればよかった。悪いことしちゃった」
「気にすることないよ。真奈美ったら、『佐藤 綾乃』の家の玄関に、『内藤参上!』って落書きしに行こうって言うんだもん、笑っちゃった」
「前から思ってたけど、マナちゃんってちょっとヤンキー入ってるよね…」
「発想がね…」
二人でクスクス笑いあう。そういえば…ユリより3歳年上の志保子なら、『沢田さん』を知っているだろうか?
「7年前にそっちに転勤した沢田さん?そんな人、いたっけ…?」
心当たりがないようだ。7年前なら、志保子もまだ入社して1~2年。秀夫の指導担当ということは、沢田さんは総合職だろう。専門職の志保子が知らないのも仕方のないことだ。やはり、秀夫に尋ねてみよう…
「あ、わかった!沢田さんって、相原さんのことだよね。結婚して、沢田さんになったんだよ、確か!」
ユリの心臓が、ドクンと跳ねた。
「沢田さんって…女の人なの?」
ユリは尋ねた。声が震えていないだろうか?
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