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world:09 結構毛だらけ猫灰だらけ!
第134話・ざけんなよ!
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「アンジーの『魔力消費が激しい』ってそれが原因だったのね」
「っぽいね。異世界の能力をまるっと使えるのが私の“覚醒”って事みたい」
なるほど、アンジーの強さの秘密はそれだったのか。
考えてみれば、異世界で魔王軍を潰せるだけの強大な力を手に入れて、それをそのまま白亜紀に持って来られるって時点で覚醒だよな。
……そしてリスクは能力に見合った魔力の大量消費。
「最初からわかっていればセーブできてたかも……いや、アンジーの事だからそれはないな、アホだし」
「ひっど。消えたら化けてでてやろうか」
「おい……どういう意味だよ、それ」
“覚醒”という要素が判明した今、隠す必要がなくなったと判断したのだろう。アンジーは初代新生の前で『消える』と口にしていた。
「……消えるってなんだよ」
「まあ、なんつーかさ。魔力切れたら多分この世界から消えるんだわ」
「そんなこと聞いてねぇぞ」
「うん、言ってないから」
あしらい、軽い口調で答えるアンジー。多分これは初代新生がショックを受けないようにと配慮したのだと思うけど……これは、彼女には逆効果でしかなかった。
「てめ……ざけんなよ!」
「なんだよ、さみしいのか?」
思った通り、どうやら初代新生の怒りスイッチを入れてしまったようだ。
「自分勝手すぎんだろ!」
「言う必要があるのか?」
「周りの迷惑考えねぇのかよ、わかれよ、クソが」
「理不尽に環境が変わるなんて事はいくらでもあんだよ。ガキ」
また始まったいつもの光景。最近は小競り合いの頻度が上がっている気がするんだけど……。
なんだかんだでお互い認めかけていた相手の言葉だ、結構響くものがあるのだと思う。
「——黙っておいて行かれたヤツの気持ちを考えろよ!」
以前二人の転移前の話を聞いた時に『ウチなら耐えきれない』と、ただ単純にそれだけを思った。
でも考えてみれば、それを彼女たちは弱冠十七歳や二十歳で経験して、それでも前を向いて足掻いているんだよな。
「——手が届かなかった悔しさがお前にわかるか!」
転移前に負った心の傷はかなり根深し、そんな簡単に解消できるものじゃない。それでも前を向かなきゃならない、向かないと進めないのだから。
「くそ……消えたあと、てめぇはどうなんだよ」
「ん~。それが問題なんだよね。減るのが寿命って訳じゃないから死ぬって事はなさそうだけど、異世界に戻されるのか令和に戻されるのか、まったく……」
「薄々感じていたけど、アンジュラ、あんたってさ……」
「なんだよ……」
「マジで馬鹿すぎだろ?」
「んだとコラァ、外でろ!」
フードの中からエクスカリバーを取りだそうとするアンジー。
「ここは外だろうが、アホがぁ!」
腰に手をやり、剣鉈を抜こうとする初代新生。
――だがしかし!
「ウチが武器を預かったの忘れてんだろ。君らさ、ア・ホ・す・ぎ・じゃね?」
瞬間、二人の殺気がウチに飛んできた。怖えぇ~。……でも息合ってるじゃないか。
多分また『外にでろ!』パターンになるだろうと思って、それぞれの得物はウチが回収してドライアドに預かってもらっていた。
剣鉈という、脇差よりも短く取り回しの良い武器と、レア中のレアであるエクスカリバーを手にしたドライアド。
これも武人の血なのだろうか、振り回して感触を確かめていた。やがてそれは演武となり、周りにはギャラリーが集まって独演会と化していた。
「なんか、部長めっちゃ嬉しそうだな」
アンジーも初代新生も、自身の得物を取りだそうとした体制のまま、ドライアドの演武をキョトンと眺めていた。
そして、しばらくして我に帰り、ちょっとだけバツが悪そうにしながらその場に腰を落とした。
「……ま、落ち着こうよ、二人とも」
剣鉈とエクスカリバーの二刀流。振り上げ、横に薙ぎ、突き、斬り下す。
そんな様を見ている恐竜人の中で、あきらかにテンションが爆上りしている娘が一人いた。
——他でもない、ルカだ。
「こうきたら、こうっス!」
彼女は、頭の中でシミュレーションしているのだろう。脇で見ながら避けたりガードしたり隙を見つけては蹴りを放ったりと、演武の動きと闘っていた。
考えてみればルカは“剣術使い”と戦ったことがないし、そもそも恐竜人たちはみんな“戦闘経験が浅い”。
恐竜時代に弱肉強食って事はあっただろうけど、ライズ化してからの戦闘回数って片手で数えられる程度だ。
「経験不足って結構な弱点なんだよな……」
「んじゃ、模擬戦でもやってみたら?」
ミルクチョコを頬張りながら提案するアンジー。
「オレも……やってみていいか?」
力の無さを痛感し、活路を見出したい初代新生。
これはこれで面白い事になりそうだ。見学するだけでもかなりの経験値が見込める。
「なあ、部長。あのさ……恐竜人ちゃんと模擬戦なんてどうかな?」
「っぽいね。異世界の能力をまるっと使えるのが私の“覚醒”って事みたい」
なるほど、アンジーの強さの秘密はそれだったのか。
考えてみれば、異世界で魔王軍を潰せるだけの強大な力を手に入れて、それをそのまま白亜紀に持って来られるって時点で覚醒だよな。
……そしてリスクは能力に見合った魔力の大量消費。
「最初からわかっていればセーブできてたかも……いや、アンジーの事だからそれはないな、アホだし」
「ひっど。消えたら化けてでてやろうか」
「おい……どういう意味だよ、それ」
“覚醒”という要素が判明した今、隠す必要がなくなったと判断したのだろう。アンジーは初代新生の前で『消える』と口にしていた。
「……消えるってなんだよ」
「まあ、なんつーかさ。魔力切れたら多分この世界から消えるんだわ」
「そんなこと聞いてねぇぞ」
「うん、言ってないから」
あしらい、軽い口調で答えるアンジー。多分これは初代新生がショックを受けないようにと配慮したのだと思うけど……これは、彼女には逆効果でしかなかった。
「てめ……ざけんなよ!」
「なんだよ、さみしいのか?」
思った通り、どうやら初代新生の怒りスイッチを入れてしまったようだ。
「自分勝手すぎんだろ!」
「言う必要があるのか?」
「周りの迷惑考えねぇのかよ、わかれよ、クソが」
「理不尽に環境が変わるなんて事はいくらでもあんだよ。ガキ」
また始まったいつもの光景。最近は小競り合いの頻度が上がっている気がするんだけど……。
なんだかんだでお互い認めかけていた相手の言葉だ、結構響くものがあるのだと思う。
「——黙っておいて行かれたヤツの気持ちを考えろよ!」
以前二人の転移前の話を聞いた時に『ウチなら耐えきれない』と、ただ単純にそれだけを思った。
でも考えてみれば、それを彼女たちは弱冠十七歳や二十歳で経験して、それでも前を向いて足掻いているんだよな。
「——手が届かなかった悔しさがお前にわかるか!」
転移前に負った心の傷はかなり根深し、そんな簡単に解消できるものじゃない。それでも前を向かなきゃならない、向かないと進めないのだから。
「くそ……消えたあと、てめぇはどうなんだよ」
「ん~。それが問題なんだよね。減るのが寿命って訳じゃないから死ぬって事はなさそうだけど、異世界に戻されるのか令和に戻されるのか、まったく……」
「薄々感じていたけど、アンジュラ、あんたってさ……」
「なんだよ……」
「マジで馬鹿すぎだろ?」
「んだとコラァ、外でろ!」
フードの中からエクスカリバーを取りだそうとするアンジー。
「ここは外だろうが、アホがぁ!」
腰に手をやり、剣鉈を抜こうとする初代新生。
――だがしかし!
「ウチが武器を預かったの忘れてんだろ。君らさ、ア・ホ・す・ぎ・じゃね?」
瞬間、二人の殺気がウチに飛んできた。怖えぇ~。……でも息合ってるじゃないか。
多分また『外にでろ!』パターンになるだろうと思って、それぞれの得物はウチが回収してドライアドに預かってもらっていた。
剣鉈という、脇差よりも短く取り回しの良い武器と、レア中のレアであるエクスカリバーを手にしたドライアド。
これも武人の血なのだろうか、振り回して感触を確かめていた。やがてそれは演武となり、周りにはギャラリーが集まって独演会と化していた。
「なんか、部長めっちゃ嬉しそうだな」
アンジーも初代新生も、自身の得物を取りだそうとした体制のまま、ドライアドの演武をキョトンと眺めていた。
そして、しばらくして我に帰り、ちょっとだけバツが悪そうにしながらその場に腰を落とした。
「……ま、落ち着こうよ、二人とも」
剣鉈とエクスカリバーの二刀流。振り上げ、横に薙ぎ、突き、斬り下す。
そんな様を見ている恐竜人の中で、あきらかにテンションが爆上りしている娘が一人いた。
——他でもない、ルカだ。
「こうきたら、こうっス!」
彼女は、頭の中でシミュレーションしているのだろう。脇で見ながら避けたりガードしたり隙を見つけては蹴りを放ったりと、演武の動きと闘っていた。
考えてみればルカは“剣術使い”と戦ったことがないし、そもそも恐竜人たちはみんな“戦闘経験が浅い”。
恐竜時代に弱肉強食って事はあっただろうけど、ライズ化してからの戦闘回数って片手で数えられる程度だ。
「経験不足って結構な弱点なんだよな……」
「んじゃ、模擬戦でもやってみたら?」
ミルクチョコを頬張りながら提案するアンジー。
「オレも……やってみていいか?」
力の無さを痛感し、活路を見出したい初代新生。
これはこれで面白い事になりそうだ。見学するだけでもかなりの経験値が見込める。
「なあ、部長。あのさ……恐竜人ちゃんと模擬戦なんてどうかな?」
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