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番外編
仲良しの僕と僕 ②
しおりを挟む僕が邸の中の魔法を訓練する部屋で待っていると、ジョル兄様の魔力を感じて虹色の魔法陣が浮かび上がってきた。
だいたいは白い魔法陣が浮かぶらしいのだけど、全属性だと虹色の魔法陣なんだ。
少ししたら虹色の魔法陣の上にジョル兄様とクライファとマンチェスターが現れた。
「ジョル兄様!」
「レオお待たせ、もう来ていたんだね」
僕がジョル兄様って呼ぶとジョル兄様がニコッてして声かけてきた。
「うん!クライファ、マンチェスターおはよう」
「…レオおはよう」
「レオナルド様おはようございます」
クライファとマンチェスターが僕に挨拶を返してきた。
でも何だかクライファの様子が変。
いつもはニコッてしてすぐ僕に近寄ってくるのに、今日は立ったまま動かなくて、俯いている。
「クライファどうしたの?」
「…えっ?レオ…何でもないよ…」
クライファは顔を上げたけど、またすぐ俯いちゃった。
何でもないことないよね?
だって顔を上げた時のクライファの目が赤くなっている。
「クライファ?」
「レオ…大丈夫だよ…ジョル兄様よろしくお願いします」
クライファは僕の顔を見ずに返事してからジョル兄様によろしくお願いしますって言った。
凄く気になるけど、何だかしつこく聞く感じじゃない。
マンチェスターを見るとクライファの方を心配にそうに見てるんだ。
僕がジョル兄様を見ると。
「それじゃあ早速始めようか。
今日は魔法の威力を調節して的に正確に当てられるようにする訓練だよ」
「「はい!」」
僕とクライファが元気良く返事する。
この訓練は僕とクライファの訓練だけど、ジルベンとマンチェスターも一緒に受けるんだ。
僕の少し後ろにいるジルベンが囁く。
「レオ様、マンチェスター様に私が聞きますから」
ジルベンはマンチェスターにクライファのことを聞くと言ってる。
僕はジルベンの方を振り向いて無言で頷いた。
それからジョル兄様の指示で魔法を10メートル先にある的に当てる訓練をしたけど、クライファは何だか元気がなかった。
僕は元気だよって笑顔だったけど、いつものクライファはじゃなかった。
凄く気になるけど、魔法の訓練は気を抜いたら、事故を起こしてしまうから僕は気合いを入れて、的に向かって魔法を打った。
クライファも真剣に僕の隣の的に向かって魔法を打っていた。
クライファは魔法の訓練になったらちゃんと集中してて、僕と同じくらい的に魔法がちゃんと当たってたよ。
1時間半くらいやった後に水分補給とか少し休憩して、また同じくらいの時間を訓練して終わった。
「クライファここで少し休憩してて。
また戻る時に迎えに来るからね」
「…はい、ジョル兄様ありがとうございました」
「レオ、また後で来るからクライファとお菓子でも食べて休憩していて」
「ジョル兄様わかったよ。
ありがとうございました」
ジョル兄様はそう言って僕とクライファの頭を撫でて、また転移魔法でどこかへ消えた。
「あの、クライファお菓子食べようよ!
終わったらお母様がお菓子を用意してるからって言ってたから」
「うん、レオありがとうちょっとお腹空いたよ」
クライファは僕に向かって笑ったけど、やっぱりいつものクライファじゃない。
僕はクライファと一緒にお母様の所に向う。
それからお母様に僕の部屋にお菓子とお茶を持って来てもらうようにお願いして、クライファを僕の部屋に連れて行った。
ジルベンとマンチェスターに「クライファと二人にして欲しいんだ」と言って、二人きりにしてもらった。
ジルベンがお茶とケーキやマカロンを置いて、マンチェスターと一緒に部屋を出て行った。
「クライファさあ、食べよう」
「わぁ~美味しそうだね!
レオのおうちのお菓子も美味しくて大好きだよ」
クライファは笑顔でフォークを持ってケーキを食べ始める。
しばらくてしてから。
「クライファどうしたの?何かあったよね?」
「…」
僕が聞くと、クライファは食べるのをやめて俯いてしまう。
僕は何だか悲しくなるけど、もしかしたら悲しいのはクライファかもしれない。
「クライファ嫌だったら言わなくていいんだよ。
でも今日のクライファは最初から目が赤くていつものクライファじゃなかったから…」
「…うん…」
クライファが小さな声で返事する。
「…僕はクライファみたいに王子じゃないからわからないかもしれないけど、クライファは僕の友達だよ!」
そう言うとクライファはハッと顔を上げて、目が潤んできてくしゃっと泣きそうな顔になった。
「クライファ大丈夫だよ、今ここは僕とクライファだけだよ」
「…うん、でも僕泣いちゃいけないんだ…」
唇を噛んで泣くのを堪えてるクライファ。
「うん、僕とクライファはお兄ちゃんだからね。
簡単に泣いちゃいけないってわかるよ。
でも今はいいんだよ」
「…うん、…うっ…うっ…」
クライファが声を出さないように泣き始めた。
僕の胸がギュッてなる。
僕は何も言わずクライファが話すのを待つ。
「……が言って、いる…のを、聞いたんだ…」
「うん」
僕は静かに聞く。
「…おう、たいしに、は…金の、ひ、とみをもつ、…ルュカシスでんかの、方がいいんじゃないかって…うっ、うぅ…」
何だって!そんなこと言ったヤツ誰なんだよ!
僕は腹が立って思わず叫びそうになったのをグッと堪えた。
「クライファそれを言ったのは誰か僕に教えてくれる?」
クライファは僕の顔を見てハッとした顔をする。
「…レオおこっ、てる?…」
「怒ってるよ、そんなことを言ったヤツに!」
本当に僕は怒っている!
許せない!
「…でも…おと、…さまが…えら、んだ人だから…うっ、えっ、…おと、さまも…そ、おもって、る…うっ、えっ、うぅ…」
クライファがえづいている。
誰だ!?ほんとに許せない!
「クライファのお父様が選んだ人がそんなことを言ったの?」
「……うん、うっ、ふぇっ…うぅ…」
「ねぇ、クライファ?クライファのお父様がそんなことを思ってるって、ほんとに思ってるの?」
「…うっ、ぇっ?」
クライファは藍色の瞳からポロポロ涙を流しながら僕を見上げる。
「その人は確かにクライファのお父様が選んだ人かもしれないけど、クライファのお父様じゃないよ」
「…う、ん…でも…うぅっ…」
そうか、クライファはアルにそれを聞くのが怖いんだな。
「僕はクライファのお父様はそんなこと思っていないと思うよ。
僕はクライファじゃないけど、アルがそんなことを思っているなんて思えない!」
僕の声が大きくなった。
「…レオ…うっ、えっ……ふぇ~ん」
クライファは堪え切れず声を上げて泣き始めた。
クライファにそんなことを言ったヤツ絶対許せない!
僕は立ってクライファの隣に座る。
それから僕のお母様が僕が泣いた時にしてくれるように、クライファの背中をトントンと叩く。
クライファが泣き止むまで僕は待った。
「…そ、そうかな?」
しばらくて少し落ち着いたクライファが僕の方に顔を向ける。
「うん!クライファはお父様にちゃんと言われたことを言うべきだと僕は思うよ」
「…でも…」
クライファが俯く。
「クライファが言えないなら僕が言おうか?」
僕がそう言うと、クライファの肩がピクッとなってそして首を横にブンブンと振った。
「…僕が…自分で…言ってみる!…」
「そうだよ、クライファ!
お父様はクライファのことが大好きなはずだよ。
僕はわかるよ」
そう言うと、クライファの目からまた涙がポロポロ流れてきた。
僕はポケットからハンカチを取り出して、クライファの涙を拭く。
「クライファにはお父様もお母様もお祖父様もお祖母様もいる。
それに僕もだし、僕のランお祖父様、お父様もお母様もスペ祖父様、お祖母様みんなクライファの味方なんだよ。
たくさん味方がいるんだよ」
「…うん…」
「クライファ大丈夫だよ。
ちゃんとお父様に話してみて」
「…レオ、あり、がとー」
クライファがわぁーと泣いた。
こんなにクライファを泣かせるヤツをほんとに許せない。
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