80 / 143
七十九話 大本番の夜会ですわ ②
しおりを挟む私たちが会場に入ってすぐアンジェリカ様とジークハルト様が見つけてくれて、側に居てくれる。
それだけで他の人たちがコソコソと話をしていても、私たちに近寄ってくることはない。
今この国で一番力を持っているアンジェリカ様パワー凄いわ。
私はアンジェリカ様に頼ってばっかりだけど、ここは意地を張ったりするのじゃなく自分たちの為に頼れるところは頼らせてもらうわ。
そしてしばらくすると王族の入場の時間となり、上座の壇上に向かいみんな一斉に頭を下げる。
まず王太子殿下夫妻が入場して国王陛下と王妃殿下が入場されたみたい。
頭を下げたままだからまだ姿を見ていないけど。
陛下が「面を上げよ」と言われてからみんなが徐ろに顔を上げていく。
陛下はブロンドの髪、碧眼の覇気を感じるくらい威厳ある凄みのある美形だわ。
王妃殿下は月のような青みのある美しいプラチナブロンドの髪に陛下より薄い碧眼の大きな目が印象的な年齢より幼く見える見た目可憐な美女だ。
王太子殿下は陛下と同じブロンドの肩過ぎまでの髪を緩く結び右の前の方に寄せていて、碧眼の大きなアーモンド形の目をした鼻筋が通った色白のこれが王子様!って感じの美貌の貴公子だ。
王太子妃殿下はこの国では珍しいという長いピンクブロンドの髪をツインテールにしていて、王太子殿下より薄めの碧眼の大きな目の大変可愛らしい美少女だ。
既婚者だけど美女っていうより美少女って表現がピッタリ。
ドレスもどうやらプリンセスドレスっぽいし、髪形もツインテールかぁ~確かによく似合っているけれども…。
この国でプリンセスドレスは未婚の貴族令嬢が着るものらしいけど、王族は例外ってことなのかしら?
でも髪の色に合せたベビーピンクのドレスがとても豪華だけど、ヒラヒラたくさんでシフォンが何重か重なっていて、ダイヤモンドだけでなく殿下の瞳の色の青の宝石もふんだんに付いていて、幼く見えるけどちょっと失礼だけどケバケバしいという何とも表現し難いものなのよね。
悪いけど前世の私の孫娘が五歳の七五三の時に貸衣装のドレスを着て家族で記念写真を撮った時のことを思い出して、二十代の女性にはちょっと幼過ぎるように感じたわ。
でも前世の娘が『ゲームのヒロインはピンクが多いのよ~』って言っていたけど、王太子妃殿下はこれぞザ・ヒロインって感じってことかな。
国王陛下が夜会の開会を宣言してまず、フィンレルの元婚約者のカサンドレル公爵夫婦を紹介した。
カサンドレル公爵はセンブュート帝国の第二皇子殿下だった方だから、この国より力のある国の皇族なので、本当ならあの壇上にいる人なのだけど、この国の王族ではないから壇上の下の一番前で挨拶された。
フィンレルの元婚約者のネーシア様は白に近い緩かで長いプラチナブロンドの髪を右後で緩かなにまとめていて、アンジェリカ様より薄めの紫というか青紫のバイオレットの瞳の大きな目で肌もツルツルの真っ白、鼻筋も綺麗な正統派の涼しげなこれぞ美女って方だわ。
一方カサンドレル公爵は身長が高くて筋肉質なのが服の上からでもわかるくらいガッシリとしていて、燃えるような真っ赤な短髪に黒い瞳の吊り上がって鋭い目の褐色の肌をした野生的で立っているだけで圧倒的な存在感を放つ美貌なのよ。
閣下とネーシア様がピッタリと寄り添う姿を見ていると、その色味から対照的に見えるけど、どちらも凛としていて威厳があって、まるで二つが一つになって初めて完成する絵画のように壮麗で、私はこの場が一気に彼らの独壇場になった気がしたわ。
カサンドレル公爵夫婦が挨拶をしてから、爵位の上の者たちから国王陛下夫妻、王太子殿下夫妻への挨拶が始まった。
アンジェリカ様たちの公爵から次は侯爵へと順番が回ってくる。
国王陛下が臣下にお言葉をかけて、王妃殿下は横で微笑まれてるだけ。
王太子殿下と王太子妃殿下もそうだったのだけど、私たちの少し前のエスフィテバン侯爵一家の時に王太子妃殿下が、ナイゲル様に声をかけたようで、場が少しザワついた。
挨拶を終えて戻っていかれる時にナイゲル様は眉間に少し皺を寄せていて、それを宥めるようにシャルロット様がナイゲル様の腕に手を置いて見つめているのが印象的だったわ。
ナイゲル様は眉間に少し皺が寄っている程度だったけど、アンジェリカ様の夜会以外に何回か同じ夜会と舞踏会に夫婦で参加していて、顔を合わせて挨拶したり、お喋りしたりしたことがあるからわかるけど、ナイゲル様はいつも穏やかに笑っていらして、表情にあまり出さない方でそんな少しの変化も見せる人ではなかった。
何を言われたのかはわからないけど、これは王太子妃殿下にお声をかけられたことを本当に不愉快に思っているようだわ。
ただの挨拶の時には王太子妃殿下に何か余計な事を言われることはないだろうと思っていたけど、そうではないかもしれないよね。
私は一抹の不安を感じながら自分たちの順番を待っていた。
614
あなたにおすすめの小説
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる