怒れるおせっかい奥様

asamurasaki

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八十二話 大本番の夜会ですわ ⑤

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 それから男性陣と女性陣に別れてしばらく歓談の時間となった。

 女性陣はネーシア様とアンジェリカ様、メリアンナ様。

 男性陣はその夫たちだった。

 ネーシア様は明るく穏やかな方だったの。

 私は女性だけになった時にネーシア様にフィンレルのことを謝罪した。

 こっそりとね、周りに聞かれなうに!これ大事よね。

 貴族として簡単に謝罪してはいけないことを知っていたし、メリアンナ様にも言われていたけど、蒸し返すつもりじゃなくて一度だけ私は自分のけじめとして謝罪しておきたかったの。

「まあ、夫人が謝ることなど何もないのですよ。

 でもそれで夫人の気持ちが少しでも楽になるのでしたらもちろん受け入れますわ」

「そうお心広く受け取って仰って頂けたことを感謝申し上げます」

「フフッそれより…」

 ネーシア様は切り替えるように話題を変えられて、それから女性陣三人で楽しくお喋りした。

 早速ネーシア様からわたくしも名前呼びしてって可愛くお強請りされたから、それからお互いに名前で呼び合うようになったのよ。

 何だかネーシア様とはアンジェリカ様とはまた違って、ホッとするような雰囲気を持っておられて穏やかで、何だかずっと前から友人のような気がしてくるくらいしっくりときてとっても気が合ったの。

 もちろん乗馬の話とか馬のオーナーの話もしっかり聞いたわよ。

 アンジェリカ様はうちの領のことや隣国に住んでいるネーシア様のカサドレル領の情報もよく知っていて、合間にあれこれと耳寄りな情報を教えてくれたの。

 アンジェリカ様って本当に凄いわ!カリスマ性があり人の先頭に立って何事をも蹴散らす勢いと豪胆さでみなさんを引っ張る力がありながらも、即座に場の空気を読んで引く時は引いて、さり気なく周りのフォローに回られる。

 人々の上に立つべき人ってきっとアンジェリカ様のような人なのよ!

 それに元の才能だけじゃなく今まで物凄い努力をしてきたんだと見てるとよくわかるわ。

 みんながアンジェリカ様を慕ってついて行こうって思うはずたわ。

 私もその一人よ!私もアンジェリカ様の為に少しでも役に立つようになりたいわ。


 それからしばらくしてから私たちもみなさんも他の方へ挨拶に行かなくはいけないから、いったんお別れして私はフィンレルと二人で他の方の所へ向かった。

 まずはフィンレルのお義母様の実家マセンゲレル侯爵家の方々とフランクリン侯爵一家。

 お義母様の実家はお義母様の弟様が当主となられていて、お祖父様お祖母様は引退されて、領地にいらっしゃって、今回は出席されていなあからまだお会いしたことはないの。

 今度フィンレルとラファエルと私で領地にお邪魔してお会いすることになってるの。

 お義母様の弟様夫妻もとっても良い方で、私たちを歓迎してくれたし力になれることがあったら何でもするから遠慮なく言ってくれと言って下さっている。

 フランクリン侯爵様夫婦もだ。

 フィンレルはご両親の人柄のお陰で人に恵まれているわ。

 本当に感謝しなくちゃ。


 それからいろんな貴族と挨拶したり話をさせてもらった。

 中には嫌味を言ってくる人もいたけど、フィンレルが私の前に庇うように立って、何を言われても毅然として表情を変えないから、そういう人たちは面白くないのかすぐに退散したわ。

 それにフィンレルが侯爵という立場だから、身分が下の人間が何か言ってくることはほとんどないから、全体的にあまりいなかったわ。

 中にはフィンレルより身分が下の人が私たちを貶めるようなことを言ってくる猛者がいたけど、フィンレルが素気なく厳しく撃退して、すぐに逃走していったわ。

 アンジェリカ様たちの力ももちろんあるわね。


 王太子妃殿下エレナ様はあの挨拶だけで私たちのところに来られることはなかったの。

 アンジェリカ様曰くエレナ様はアンジェリカ様を怖がって苦手にしているらい。

 またフィンレルと私がアンジェリカ様たちと別行動をしていた時もエレナ様の姿を見ることはなかったから、大丈夫そうと私は安心していた。

 そんなこんなでこの場でもフィンレルとダンスを踊るつもりでいたのだけど、いろんな人に囲まれたりして、ダンスを踊る時間を取ることが出来なかったのよ。


 もうすぐ夜会が終る頃でこのまま平和に終わりそうと思っていたのただけど、もう一人いやもう一組の厄介が残っていたわ。

 ベレッタの実家コローラル子爵家一家。

 夜会が始まってからどこかにいるのだろうけど、あまりに人が多くて全然姿を見なかったし、フィンレルも私も自分たちから探して会おうとも思わなかったから、もうすぐ終了ってところでもう会わずに済むと思っていたのにあちらからのこのこと近付いてきたのよ。

「お義姉様!わたくしたち家族ですのに挨拶もしてくれないなんて…わたくし悲しいですわ~」

 義妹のフローリアが両手を組んで悲しげに目を潤ませて、フィンレルと私を上目遣いに見てくる。

 プラチナブロンドの腰まである長い髪をサイドだけ編み込みにしていて、大きな碧眼の妖精のような美しい淑女が目を潤ませるなんてとても効果的よね。

 私はその本性を知っているけどね。

 フィンレルが私の腰をグッ引き寄せて私を庇うように立つ。

「君はコローラル子爵小夫人だな」

 フィンレルが子爵家が何故侯爵家に断りもなしに話しかけてくるんだと暗に言う。

「フローリア控えなさい。

 サウスカールトン侯爵閣下我が娘が大変失礼致しました。

私はコローラル子爵が当主アロット・コローラルにございます」

 父が前に出てフィンレルに殊勝に謝罪して挨拶をする。

 だけど私を睨んでいるのよね~人によって態度を変える典型がここにいるわ。

「コローラル子爵、私の妻に何用だ」

 フィンレルは父が私を睨んでいるのを目敏く気付いて、私を庇うように前に立つ。

「っ!…い、いえ私は久しぶりに会えた娘が元気にしているのかと確かめたくて…」

 父がフィンレルの冷たい視線に焦りながら言い訳がましく言う。

「結婚してから手紙のひとつも寄越さないのにか?」

 フィンレルが冷たい表情を変えないまま父に問う。

「っ!…」

「こ、侯爵様、申し訳ございません!旦那様は大変忙しくしておりまして…」

 父が言葉に詰まったのを庇って義母サリナが慌てて前に出てくる。

「ほぉ~娘に手紙を書けないくらいとはさぞ忙しいのであろうな」

 フィンレルの嫌味に父も義母も顔色を悪くしながらも、私を睨んできて苛立ちを隠せないようだ。

 この人たちフローリア以外はもっと頭が回って悪どく狡猾だと思ってたけど、フィンレルに注意されたにも関わらず、フィンレルの前で私に対して表情に出してしまい、ちゃんと装えないなんてそうでもないのかしら?

 フローリアが裕福な伯爵家令息と結婚して、今年はまだ叔父の援助もあって今裕福で気が緩んでいるのか、良い気になっているのか。

 それともずっとベレッタを見下してきたから、ベレッタには何をしても言ってもしてもいいと思っているのか。 

 まあ後者か両方なんだろうね。

「そんなぁ~それと今夜わたくしたちに挨拶もして下さらないことは違うではありませんか~。

 お義姉様はご自分が侯爵夫人になったからと言って、身分が下のわたくしたちをまた昔のようになさるのですか?」

 フローリアが空気を読まず腕を胸のところに組んで眉を寄せ目を潤ませたまま上目遣いで見てくる。

 昔のようにとは?私がまたフローリアを虐げていると言いたいの?

 私はフィンレルを押さえて前に出る。

「昔のようにとは?わたくしが何も言わないのをいいことに好き放題噂になっていたことですか?」

 父始めフローリア、義母が私が言い返したのに驚いて目を見開き口をポカンとさせる。

 今までベレッタは貴方たちに怯えて何も言わなかったものね。

「お義姉様酷いですわ~ずっとわたくしにあんなことをしていたのに~わたくしとは血は繋がってはいないけど、ずっとお義姉様のこと家族だと思っていましたのにぃ~」

 フローリアがウルウルと目を潤ませる。

 フローリアは本当は父が実の父だと知っているくせにそれをおくびにも出さない。

 まるで私がフローリアを邪険にしているようにフィンレルにアピールしているわ。

 私はそれに苛立ってくる。

 でも冷静に冷静にと自分抑える。

「おかしいですわね、わたくしにずっと何かをされていたのに、どうしてわざわざ自分から来て挨拶もしてくれないと訴えてくるのです?

 ご挨拶は身分が上の者から歩み寄って言葉をかけてから、初めて交わされるものですわよね?それなのにわざわざご自分から近寄ってこられましたわよね?

 普通は何かをされてずっと怖い思いをしたり、嫌な思いをしてきたのならいくら家族でもこちらが身分が上ですからこちらが近寄っていかない限り自分から近寄ってくる必要はないのではなくて?」

 私がキッパリとさらに言い返すと父を始め義母とフローリアが顔を真っ赤にして睨んできた。

「っ!ベレッタ何てことを言うんだ!

 私たちは家族だからとせっかくわざわざこちらから顔を見せようと思ったのに!」

 父が顔を真っ赤にさせて私に言怒鳴ってくる。

 何を恩着せがましく言ってくるのかしら?

「お父様こそフローリアがずっとそんな目に遭っていると噂になっているのに何故長年何もせずに放置していたのです?

 わたくしに注意などしてきたことなどございませんよね?

 知らなかった?気付かなかったとは言いませんよね?噂になっていたくらいですもの。

 ああ、わたくしが結婚してからも手紙のひとつもなくずっと放置しておられますからそれがお父様の方針なのかしら?」

 私は嫌味を言って笑顔を浮かべる。

「っ!な、何だと!お前をちゃんと育ててやったのにその口の利き方は何なんだ!」

 父がだんだん興奮してきて歯止めが効かなくなってきているようだ。

「わたくしもう何も言わず我慢するということを止めにしましたの。

 もう脅迫してくる人も近くにおりませんしね。

 それにわたくしお母様に聞いてすべて知っているのですよ」

 私は意味ありげにまずフローリアを見てから父、義母の順に笑顔を浮かべながら見ていく。

「「っ!…」」

 父と義母がビクッとして顔色を悪くする。

「こちらは何も知らないとでも思っているのか?

 ベレッタのこともそちらの家族のことも調べればすぐにわかることだが?」

そこにフィンレルが前に出てきて絶対零度の視線で父たちを突き刺すように見る。


「そんな!侯爵様はお義姉様の言うことを一方的に信じるのですかぁ?お義姉様は昔から嘘ばっかりなのですよぉ~」

 フィンレルが言うと、父と義母は言葉に詰まるが、フローリアがまだ私が嘘をついていると訴えてくる。

 フローリアは勇気があるな~。

 ああ、義母と比べればあまり頭が良くなかったな。

「そんなことを言っていいのか?いくら過去のことでもどちらが嘘をついているか調べればわかることだと言っているんだぞ。

 他のこともな」

 フィンレルが軽蔑しているという冷めた視線をフローリアに向け、他のこともと言った時には父と義母を睨み付けた。

 えっ?私父と義母のことフィンレルに言ったことないけど、知ってるの?

 父と義母が顔を引き攣らせて顔色が青から白になっていく。

 過去のこととはいえ長年私を虐げていたことや父と義母が再婚するまでずっと愛人関係だったこと、そしてフローリアは義母の連れ子ではなく父の実子であることがフィンレルや叔父に知られ、それが公に知られると、今評判が良いらしいコローラル子爵家の評判が下がり、大きなダメージを受けるのは間違いない。

 フローリアが実子であったのに連れ子と偽っていることは詐称になるよね?それが公に罪となるのかは微妙だけどね。

 表面的には罪にならなくとも貴族の社会では評判が命であるとも言える。

 だから父たちは自分たちの評判が下がることは何としても避けたいと思っているはずだ。

 今までは大人しいベレッタを脅迫していて何も言わせないようにしていたし、大人しく控えめなベレッタは貴方たちに怯えて何も言わなかったわ。

 でも今の私は違うわよ!貴方たちの方が弱味があるんだからね!そちらが私に噛み付いてくるなら、私は受けて立ってガンガン攻めてやるわ!
 
 父と義母は顔色を悪くしながらもヘラヘラど笑い出したわ!本当に気持ち悪い!

 一方フローリアはグッと詰まりながらも、顔を真っ赤にして悔しそうに私を睨んでくる。

「もし今後もベレッタのあらぬ噂が流れた時は問答無用で君たちが流したものと私は判断するからそのつもりでな」

 フィンレルが冷たい視線で釘を刺して父たちを睨む。

 父はそのフィンレルの視線にブルッと身体を震わせる。

 そこで義母が父のお腹を肘で突っつく。

「あっ!侯爵閣下私たちはそろそろ帰らねばなりません。

 それではベレッタ元気でな!失礼致します」

 と挨拶して慌ててフローリアを引っ張って去って行ったけど、フローリアだけは物言いたげな顔をしながら、ずっと私を睨んできていた。


 
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