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九十八話 愛するラファエルとの再会と本当に恋を自覚したら
しおりを挟むフィンレルにラファエルが今までになく長く私に会えないから泣く時があると聞いて、すぐラファエルのところへ行こうとしたら、フィンレルに止められて「私がここに連れてくるから」と言われたから、ベッドから上半身を起こして座ってベッドボードに凭れて、ラファエルを待つ。
しばらくするとフィンレルに片腕で抱っこされたラファエルが部屋に入ってきた。
「ラファ!」
私が声をかけると、私を見たラファエルが私に両手を伸ばしながら、ワァーンと泣いた。
そんなラファエルの姿が愛しくて申し訳なくてフィンレルからラファエルを受け取ってギュウッと抱きしめた。
「ラファごめんね。
お母様ちょっと忙しくしてしまってなかなかラファに会いに行けなくてごめんね。
寂しかった?もう大丈夫だからね」
ラファエルを抱っこしながら背中をポンポンと優しく叩くと、ラファエルが落ち着いてきたのか泣き止んだ。
今はもう九月の初めでラファエルが生まれてからもうすぐ一年なるわ。
ラファエルは少しずつ言葉を覚えて、まだ片言だったりするけどあれこれとよくお喋りをする子だ。
感情表現が豊かな子でよく笑い、よく泣く元気な子なのよ。
フィンレルはあまり表情の変化がないけど、フィンレルによく似たラファエルはいろんな表情を見せてくれる。
落ち着いてきたラファエルは眠そうな顔をして、そのうち私の腕の中で眠り始めた。
私は名残り惜しいけど食事をしてからフィンレルにあの時のことを聞きたいと思ったから、フィンレルにラファエルを渡した。
フィンレルはラファエルを自室で寝かせる為に抱き上げて部屋へと連れて行った。
それからケイトが食事を持ってきてくれて、ゆっくりと食べてサッパリしたいから湯浴みもしてから、自分の部屋のソファに座った。
あの?何故かフィンレルは私の隣の触れ合う程近くに座って、私の手を握ってにっこりと笑う。
ヒャー!何?いきなりこんなに甘いの?
いや、フィンレルは夜会とかに出席しだした時からこんな感じだったわ。
私が自分の気持ちを本当の意味で自覚して、あの時朦朧としていたけど、フィンレルに自分の気持ちを告白して、思いっきり意識するようになったから、フィンレルの一挙手一投足が気になるのよ!
それに媚薬に冒された状態だったとはいえしちゃったし、私愛してる愛してるって言ってフィンレルをもっとって求めてたわ。
わぁー何でそんなことちゃんと覚えているのよ!
どうしよう?あぁーっまともにフィンレルの顔を見ることが出来ないわ。
今隣にいるから顔が見えないから良かったのかも?
「ベレッタどうしたんだい?」
「ヒッ!…」
フィンレルが甘い声を出して私の方に顔を向けて、私の頬を手で触れてくるから思わず私は悲鳴を上げた。
「ベレッタ?」
顔が熱い!熱い!心臓の音ドコドコ煩い!
落ち着け!落ち着くのよ私!平常心平常心よ!
「んっ、んんっ…フィンレル様それであの時の情報は何か入ってきているのですか?」
「ベレッタどうしてまた様を付けているんだ?
あんなにフィンレルと呼んで私にしがみついてくれたのに…」
「っ!!…」
フィンレルが私の顔に自分の顔を近付けてきて、甘い甘い微笑みをする。
うっ!ヤバい!熱い!私溶けちゃわない?
前世六十代のばぁばだったのにこの今世の美形の旦那を凄く好きになってるわ私。
もしや十九、いやもう二十歳か、二十歳のベレッタに引き摺られてる?
いや、違う!ベレッタは今天国にいるからこれは私自身。
私こんなに恋にドキドキして浮かれる乙女だったーっ?
「ベレッタ顔が赤いよ?まだ体調が良くないんだったら、また別の機会にした方がいいんじゃないか?」
フィンレルが心配そうにずっと私の頬に手を置きながら首を傾げる。
ウォッ!何その顔?この人ほんとにビックリするくらい美形だわ。
前世、今世でもこんな美形まずいないくらい!
ここはみんな恐ろしいくらいの美形ばかりで、その中でも王太子のギルバード様やネーシア様の旦那のノアレス様も凄い美形でフィンレルと同じくらいだけど、フィンレルとはタイプがそれぞれ違うのよね。
ギルバード様はブロンドの髪に碧眼のザ・王子様っていう甘い美形でノアレス様は真っ赤な燃えるような赤い髪、漆黒の瞳に褐色の肌で鋭い目の野生的な美形。
一方フィンレルは水色の髪と瞳の大きいけど切れ長の目の前世のアニメとかで、ラスボスとかにいる冷たく周りを圧倒する美貌なのよ。
ラスボス云々は私の中のイメージだからね。
うん、で私の元々のタイプはどちらかというとノアレス様なのよ。
同じ美形でも野生的だったりちょっとやんちゃな雰囲気を持った人が好きだったの。
でも今の私は完全にフィンレルに見惚れて顔が熱くて心臓がずっと煩く鳴り響いていて、平常心を保てずにヒィーッ悲鳴を上げそうになっている。
恋するって怖いわ!今まで何とも思わなかったフィンレルの指の先にある色艶のある爪とか、唾を飲んだ拍子に上下する喉仏を見るだけでもドキドキしてしまう。
駄目!駄目!今からちゃんと話聞かないといけないんだから、私は頭の中で円周率を考えて唱えながら切り替えようとした。
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