次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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三話 国王、悪役令嬢になることを承諾してしまう

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黒澤リリアは地球という星の日本というところに住む高校生で冬休みに入り、大好きな乙女ゲームを時間を忘れる程やり込んでいた。

攻略者全員のハッピーエンドをコンプリートし終えて大満足してそのまま寝落ちしたのだが、目覚めたら自分が眠る前までやっていたゲームの悪役令嬢、リリアナ・ハーベントになっていた。

「ここまででもたくさんの事柄が出てきましたが、サラディアナついてきてますか?」

ウルヴァランに問いかけられたが、まったく何のことか何故そんなことを聞かされるのかさえわからない。

「いや、まったく…それにサラディアナと呼ばれるのは慣れてないんだが…」


「貴方は元々サラディアナですのでそう呼びます。とにかくすべて終わるまで画面を見て話を聞いていて下さい」

まったく納得はいかないが、ウルヴァランの言葉に仕方なく頷く。

リリアナは処刑された瞬間に何故か王太子と婚約した翌日の10歳に戻っていた。
そしてその中にリリアの人格も同時に入ってきたのだ。

リリアは最初夢かと思った。自分はゲームをやっていて寝落ちしただけで死んだ覚えはないしリリアナになっても中でリリアナ本人の人格、意思もしっかりとあり、リリアナの声がしっかりと聞こえたからよくライトノベルなどで読む異世界転生ではないと思ったのだ。

リリアは夢の中ならと最初は興味本意でずっと泣いているリリアナに話しかけてみた。
初めは泣くばかりで話しにならない状態だったが、リリアが根気強く話を聞いてやっぱり自分がやり込んでいた乙女ゲーム『聖なる夜のロイヤルファンタジー』の世界だと知る。

しかしリリアナは処刑されたはずなのに10歳に戻っている。
おまけにヒロインを毒殺しようとしたのは自分じゃないと。毒殺未遂に関しては冤罪であると、それなのに処刑されてしまったと言う。

そこでまだ夢の中だと思っているリリアは自分がよく読んだ小説の世界でよくある巻き戻りだとすぐ思い、リリアナに「やり直し出来るってことだよ」と提案する。

訳がわからないリリアナだったが、リリアはどうしていけばいいか、アドバイスする。

ずっと泣きっぱなしで「もう嫌だ」「怖い」というリリアナをリリアは可哀想に思い、また話を根気強く聞いてリリアはリリアナ説得する。
それで何とかリリアナがやり直すことに納得したのだが、リリアの夢は一向に覚めなかった。

そこでリリアは夢でなく本当にリリアナに憑依した事実を知る。
そこで今度はリリアがパニックに陥り元の世界に帰りたいと泣き暮らす日々になる。

でもそんなことをしていてもどんどんと時間が過ぎてしまうことに気付いた二人は断罪を回避すべく協力して動くことにした。

まず肥満なリリアナを痩せさせる為となるべく王太子との接点を失くす為に領地に引き籠ることにした。

リリアナに甘い両親に体調が良くないからと嘘をついてリリアナは領地へと行く。

元々外交であちこちの国へ仕事で行っている父親は帰ってくることが少ない。
そして母親もそんな父親のサポートで領地経営、社交などを一手に引き受けていたのでリリアナが領地に引き籠っても心配する手紙等は頻繁に届いたが、あまり干渉されることがなかった。

両親はリリアナに愛情を持ってはいるが、あまり一緒にいることが出来ないから欲しいものは何でも買い与える。
リリアナが我が儘を言っても周りに言う通りにさせるというものだった。
兄とは元々仲が良くなかったのでリリアナには無関心だった。

リリアナはそのことに気付き、両親は本当は自分を愛していなかったのではと思い余計ショックを受ける。
そして一度目の人生で自分がどれほど傲慢で我儘であったか、周りの人間、使用人たちたに対してもどれだけ我儘に苛烈に接していたか、王太子にこんなに嫌われていたかということに知り、今までの自分を反省するが、自信を失くし弱気になってしまう。

それをリリアが何とか励まし二人で領地でまず痩せることを頑張ることにした。
しかしいくら食事制限をしても運動しても何故かまったく痩せることが出来なかった。

こうなったら貴族学院に行かないようにしようと領地に引き篭ったまま、過ごした。
でも結果は同じだった。
王太子には一度会っただけ、ヒロインとは一度も会っていないのに卒業パーティーの前に領地に騎士たちがやってきて無理矢理連行され、謂れのない罪状を挙げられ、二度目も抵抗しても抗議してもまったく聞き入れられず断罪され処刑されてしまった。


そしてまた10歳の王太子と婚約した翌日に巻き戻っていた。
絶望する二人だが、リリアナとリリアはお互いを励まし合い、何とか断罪を回避しようと王太子との関係を改善しようとしたり、国外逃亡したり修道院に入ったりいろいろ試行錯誤して頑張ってきたが、どれも上手くいかず結果はいつも卒業パーティー前に見つけ出されて同じ結果になった。
何とそれをリリアナは五度、リリアは四度経験したのだ。

二人の精神状態はもうギリギリの状態なのだという。

「ということです」

ウルヴァランが何てことはないようにサラディアナに告げた。
そのことにサラディアナは腸が煮えくり返った。

「お前!ということですとは何だ!お前神なんだろ!罪を犯してない少女が五度も処刑されてるんだぞ!」

サラディアナが椅子を蹴り倒しウルヴァランに詰め寄る。

「私はこの世界の神ですが、人間たちの生活、行いに干渉することは出来ないのです」

「はあ?だからと言ってこのままでいい訳ないだろ!神なら何とか出来たんじゃないのかよ!」

俺は背伸びして背の高いウルヴァランの胸倉をつかんで叫んだ。

「そこなのです。この世界はリリアの言う通りに言えばゲームが現実となった世界で5人の攻略者がいて今まではヒロインがその攻略者を攻略するまで強制的に話が進んでいました。これは理という決まったものだったのです。
なので私にもどうにも出来ませんでした。しかし次からはその理もなくなるはずです」

俺に首をグワングワン揺さぶられながらもウルヴァランが冷静に話す。

「理?何だそりゃ?それでも無実の子が何回も処刑されるなんておかしいだろ!」

俺は尚も冷静に何のことはないように話すウルヴァランに苛立つ。

「そうなのですよね~いくら決まったこと、理といえど普通なら犯してもない罪が裁かれるはずはないのですが…」

この神という奴は何でそんな軽いことのようにすんなり言うんだ?

「そのクソ王太子がおかしいんじゃねえのか?」

「そうですね。王太子はヒロインのことを信じ切ってますので、ヒロインのフローラ・サイアインがおかしいというかリリアと同じくこの世界を知っているようでして、彼女がリリアナを処刑になるように持っていくんですよ」

「はあ?じゃあそのヒロインっていうのがゲーム通りに事を運ぼうとして、今までそれが上手くいってたってことか?」

俺がウルヴァランの胸倉を掴んだまま睨み付けると

「そうなります。一度目は王太子ベンヘルト、二度目は宰相子息ルドルフ・メッケンナー、三度目は王国魔術師団団長子息ジョシュア・テンペスト、四度目は王国騎士団団長子息レアンドロ・カスティーニャ、五度目はリリアナの護衛騎士ケングレッド・ファンディとすべての攻略者を攻略しようとしてましたから。ですが、それがすべて終わりました」

「終わりってどういうことだよ?」

俺がウルヴァランをさらに睨み付けながら言うと

「この世界は地球の日本人が作り出したゲームを元に私の上司の創造神が生み出した世界なのですが、リリアナが違う行動をしたことや別の世界から来たヒロインや人生が巻き戻るなど、異例な事が初めて起りましたが、ゲーム通りだとするとすべての攻略が終わったということになります。
なので強制力という理もなくなってると思います」

訳がわからないことばかりで頭が痛くなってきた。

「ウルヴァラン、お前が異例な事と言ったってことは今までなかったことというとこか?」

「はい。今までリリアナが違う行動をしたこともありませんでした。
別の世界から魂が転生することはありましたが、その場合別の世界の魂はいったん私の所へ来るはずでした。しかし今回のヒロインは私が関係しておりません。
ヒロインは別の所から来たと思われます。
それがどこから来たのか私もまだわからないのですが、もし今のヒロインのような少女が私の所に来たとしても私はヒロインには転生させませんし、あの少女はまず私の所へは来られないと思います。
それもあってかリリアナの行動が変わったのかもしれません」

「う~ん、ウルヴァランが関係していないということはその創造神とやらじゃないのか?」

俺は訳がわからないながらも聞いた話を総合的に考えて聞いてみる。

「いえ、創造神をではありません。
それなら私にわかるはずですから…
どこかの別の力が働いたと考えられます」

「神なのにわからないのかよ!」

「すみません。私はまだ修行中でして創造神のように全知全能ではないので…」

神でもいろいろいるというのか?

「創造神に聞けばいいじゃないか?」

「それは出来ません。この世界を任されているのは私なので、この異例な出来事も私が解決しなければならないのです」

「ふぅ~ん、それで今、解決しようとしているとそういうことか?」

「はい、そうなのです。
今回やっとリリアナとリリアをここに連れて来ることが出来ました」

ウルヴァランがゆっくりと頷きながら。

「今までこの世界ではリリアナが既定通りではない行動をしたこともありませんでしたし、人生が巻き戻ることもありませんでした。
一度目に巻き戻った時にここにリリアナを呼びよせようとしましたが、出来なかったのです。
別の力に邪魔されていることはわかったのですが、それが何者によるものなのか今のところはわかっていません」

「じゃあその邪魔してる存在を探すことが先決なんじゃないのか?」

「それは今調べているところです。
ですが、今回も巻き戻ったとはいえ、リリアナの人生は続いていくのですが、リリアナもリリアも今もうギリギリの状態です。このままで精神が壊れてしまうとリリアナは次の輪廻にいけず魂が消滅してしまいます。
そしてリリアはここから元の世界に戻らないと戻れなくなってしまうのです。
それでサラディアナ、貴方にリリアナとして生きてもらいたいのです」

「は?いやいや、何で俺?」

俺は目を見開く。

「別の世界でリリアナと同時に亡くなった人の中から相応しい人を私が選抜しました」

「はあ?」

ウルヴァランがまた訳のわからないことを言ってる。

「サラディアナ様お願いします!」
「私からもお願いします!」

リリアナとリリアに必死に懇願される。

「いや、でも…」

少女たちに深刻な顔で懇願されてウルヴァランへの勢いが削がれる。

「わたくしたちのことを思ってお願いします」

リリアナがハラハラと泣きながら俺を見上げてくる。
リリアナもリリアももう王太子、ヒロインや攻略者たちの顔を見るのも嫌で怖くて仕方ないと必死に訴えてくる。
やめてくれよ~何なの?

「貴方の前の人生もその前の人生も見てきました。また巻き戻ってしまってますので、次も恐らくヒロインのフローラは同じ子だと思われます。貴方なら逆境に打ち勝ちリリアナを救い巻き戻りせず、リリアナの人生を全う出来ると判断しました」

「いやいや、俺前に散々人を殺してきたんだよ?どう考えても地獄行きでしょ?」

「たくさんの命を奪ったので、本来ならそうなるでしょう。それでも貴方はそんなに酷くない所で反省を促してまた輪廻することになるはずでした。貴方は王女として生まれてきたにも関わらず、不遇な王子として生きてそして逆境を跳ね返し国王にまでなり、自分の為ではなく国民の為にやってきたことです。あれだけのことがありながら貴方のようにバイタリティーがあり、魂が穢れていない人はそうそういません。
国の民の為に大嫌いな戦を早く終わらせようと奮闘してきた結果です。リリアナと同時に亡くなった人の中で貴方が最適なのです。
通常なら私はこの世界に生きる人間に干渉することは出来ません。すみませんが。
ですが、せめてもの助力にこの世界では人間は魔法を使うことが出来ます。
貴方にはすべての魔法が使えるようにしますので」

いやいやそんなこと突然言われてもな…

「でもその邪魔してる存在を探し出して何とかしないと同じじゃないのか?」

「それは必ず私が何とかします。
そしてその邪魔してる存在がわかったら必ずサラディアナにお伝えしますから」

「ウルヴァラン、お前さっき人の人生や行ないに干渉出来ないって言っただろうよ?」

俺は納得出来ずウルヴァランを睨む。

「確かに言いましたが、今回異例な事が起こってます。リリアナもリリアもここに連れて来ることが出来ましたし、多少のことは創造神もお許しになると思いますので、なるべく私も助力しますので、サラディアナどうかリリアナとして生きてもらえませんか?」

「その強制力とやらは本当に大丈夫なのか?」

「はい。私も今までいろいろと試してきましたが、今回やっとリリアナとリリアを呼び寄せることが出来たりと私も少し介入出来るようになりましたのて、まだ確実ではありませんがその邪魔してる存在とヒロインの中に入っている魂が何らかの契約をしたのではないかと思ってます。
その契約が今回で切れたのではないかと私は思ってますので、強制力は働かないと思います」

俺はまだ信じられないない。

「そのヒロインって子をここに呼び寄せて元の世界に戻すなりすればいいんじゃないのか?」

「それも試しましたが、彼女を私の力で呼び寄せることは出来ませんでした。彼女は神の力でこの世界に来たのではないと私は思ってます」

ウルヴァランが首を横に振りながらも少し深刻な顔になった。

「へっ?神の力ではない?悪魔とか死神とか言うんじゃないだろうな!」

俺はウルヴァランの顔を真剣に見上げる。

「う~ん死神は神ですよ。彼らは死を司る神で悪事を働いたりしません。悪魔は神になりそこね堕落したもので神の力に及びません…ん?悪魔…いやそんなはずは…ですが調べてみる必要があるかもしれません。
サラディアナ助言をありがとうございます」

ウルヴァランに感謝されたよ。

「お前が邪魔してる存在を見つけて排除すればそれで解決するんじゃないのか?」

「もちろん私も突き止める為に尽力します。
そのことに関しても私と波長の合う者が良いのです。だからサラディアナがピッタリなのです」

ウルヴァランがニッコリする。
ウルヴァランと波長が合う?何か嬉しくないな。
でも断われない気がする。

「リリアナはどんなにしても痩せれなかったんだよな?今回は大丈夫なのか?」

「はい、大丈夫だと思います。
サラディアナには申し訳ないですが、いろいろと試してみて欲しいです」

「う~ん…」

俺はまだ納得出来ず唸ってしまう。


けどそれからリリアナ、リリアにも泣きながら懇願、説得され俺は首を縦に振ってしまった。

リリアナの魂は新たな輪廻に組み込まれ違う人生を送ることになり、リリアは元の世界に飛ばされた直後に戻れることになった。

俺はリリアナ・ハーベントとして生きていくことになってしまった。

乙女ゲームのこと。ゲーム攻略者のことをわからないながらも聞いた。

その中でリリアナが気に入り強引に護衛騎士にしたケングレット・ファンディはリリアナのことを毛嫌いしていたはずなのに、最後の5度目の人生で違う動きをしたらしい。

ヒロインは彼を攻略しようとしたのだが、一切靡くことなく、それどころかリリアナを庇い続けたらしい。

そして卒業パーティーで以前と違いケングレットがリリアナを庇った為にその場で斬られそうになったリリアナをケングレットは庇い斬られて亡くなったと聞いた。

それでもリリアナの処刑は覆らなかったらしい。
リリアナが処刑されないと終わらないとでもいうように。
そして巻き戻るのもリリアナが処刑されることが引き金になっているようだということらしい。

リリアナもリリアも自分のことより自分の為に動いてくれたケングレットを助けて欲しいと言っていた。
優しい子たちじゃねえか!


まずその護衛のケングレットを解放してやらんといけないのか…

引き受けてしまったからな。仕方ない…




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