次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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十二話 国王、戦いと有り得ない再会に唖然とする

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ゼノンの目眩し魔法を使いながら順調に瘴気の沼まであと10メートルくらいの所に来た時。

ヌウッと頭から全身を鮮やかな赤い鱗に覆われた全長10メートル以上はあろうかという魔物が沼から出てきたのだ。

コイツは…ドラゴン…Aランクのイグニスドラゴンだ!こんな時に出てくるなんて予想外だ!
まだCランクまでしか出現していなかったのにいきなりAラング。


俺もそこにいるメンバーたちも息を飲んでその場に固まる。
厄介なのが出てきてしまった!
前方のメンバーたちは思わずズルズルと数歩後退った。 

みんなも俺も動揺を隠せないが、俺が落ち着かないととみんなパニックになる。

ドラゴンは攻撃力防御力共に高く強いくAランクとSランクに属する。
イグニシスドラゴンはSランク程ではないが、物理に強くほぼ効かないだろうから魔法で攻撃するしかない。赤い身体をしているから火属性のドラゴンだ。

水属性か光属性が弱点で一番有効だ。
弱点であっても水属性や光属性の初級程度なら少しのダメージも与えられないだろう。
ここは一番の弱点である光属性を俺が使った方がいいが、俺はどの属性も最上級をまだ完全に制御出来ていない。

ゲオングじいさんが言っていたが、俺は光の精霊と相性が良いようで、光魔法が一番威力がある。だからなのか何故なのかわからないが、他の属性より制御に苦労していて、今のところ光属性に対しては最上級だけでなく上級もたまに制御出来ない時がある。

ここはアルフに強化補助してもらって水の応用で水より威力のある氷属性で攻撃した方がいいだろう。

周りに魔術師たちがいるが、より魔力が高いものもは後方に残ってもらっている。
俺がやるしかない!

上級氷魔法のグラシヴィルでアルフに補助してもらえばいけるだろうか?

もしものことがあってはならない。
ここは確実な方法でいった方がいいな!
グラシヴィルで補助で強化してやった方がいいだろう。この一発で倒せなくてもかなりのダメージは与えられるはずだ。

一発で倒せなくてもドラゴンもすぐ攻撃出きる状態にはならないだろうから、またその時に次の手を考えればいい。

「俺がグラシヴィルを使う!アルフ補助してくれ!後の者たちは俺の後ろに下がれ!」 

「はい!」

アルフが俺の側にやってくる。

「リリアナ様!」

ケングレットも俺の側にやってきた。

「お前もグラシヴィル使えたな?一緒にやるぞ!」
「いや!ここは私が!リリアナ様は下がっていて下さい」
「大丈夫だ!コイツを倒しても沼を消す魔力は十分残るはずだ!それに協力した方が一発で倒せる可能性が上がって、みんなに被害が及ぶ確率がより低くなる」
「わかりました!」
「俺とケングレットでタイミングを合わせてグラシヴィルを使う!アルフ合図するからタイミング合わせてくれ!時間がない!ゼノンは俺たちの右方向と後方に目眩まし魔法をかけてくれ!後の者たちは他の魔物を頼む!
焦ることはない。お前たちなら大丈夫だ」

「「「はい!」」」

後ろに下がったメンバーから

イグニスドラゴンがどうやら俺をロックオンしたようでその鋭い牙を見せてヨダレを垂らしながら大口を開けた。
攻撃される前に!

「いくぞ!」

ケングレットの詠唱中に俺は腹の魔力を一気に両手に集める。
アルフの補助魔法とケングレットとタイミングを合わせる。

「今だ!」

俺とケングレットで一気にグラシヴィルを打ち放った!

大口を開けて今にも炎を吐き出そうと大きな口を開けている状態のイグニスドラゴン全身を氷が覆いつくし真っ白な氷漬けになり、そしてすぐにバーンッと凄い音がして身体全体が弾けた。
イグニスドラゴンが破裂してグチャグチャになった。

「「「おお!」」」

周りの魔術師や騎士たちが驚愕と歓喜の声を上げるが、ドラゴンが破裂した勢いで俺たちはドラゴンの青い血が音と共に辺り一面に飛び散り、俺たちは青い返り血を浴びた。

顔についた血を腕の服で拭う。
けどそんなことを気にする余裕はない!

「よし!今から沼を消すから後の者たちも油断するな!」

「「「はい!」」」

俺は沼に向かい手を翳して大きな光で瘴気を消すイメージをして瘴気に向かい当てていく。
シュウッという音がしながら沼が一瞬で綺麗に消えていった。

「き、消えた!」
「消えたぞ!」
「す、凄い!!一瞬だ!」

周りの魔術師、騎士たちが口々に叫ぶ。

「沼が消えた!今だ!玉を放て!」

「了解です!」

打ち合わせていた一人の魔術師が炎の玉を空に放ち合図する。

「ゼノンまだ大丈夫か?」

ゼノンがまだ目眩ましを使えるか聞く。

「あっ、…はい!リリアナ様」

ゼノンがハッとして慌てて返事する。

次の指示を出そうとした振り返った時、物凄い疾風と熱さに思わず後ずさって腕で顔を覆う。

風が止んで目を開いて前を向くと巨大な炎のドラゴンがまるで踊るように身体をくねらせて、俺たちから30メートルくらい離れた全体の魔物を凄い早さで一気に食い尽くしていった。
俺たちの近くには10体くらいの魔物しか残っていない。
それを騎士と魔術師たちが簡単に倒して魔物討伐は呆気なく終わった。

一面焼け野原になってあんなにウジャウジャといた魔物がすべて姿形がなくなって灰となっている。

火魔法の最上級魔法紅炎のドラコ(龍)だ!何て凄い強い魔法だ!こんな凄いの見たことがない!ラルフだ!何て奴なんだ!

あんな作戦立てなくてもラルフなら一人ですぐ一掃出来たかもしれない。
いや、きっとそうだろう。

俺は両手を強く握りしめ、呆然と立ち尽くす。

しばらくして

「やった!」
「やったぞ!討伐したぞ!」
「凄い!」
「リリアナ様もラルフ様も凄い!」

口々に声が聞こえてきて、終わったんだ良かったと思ってホッしているが、どこかで割り切れない思いが出てくる。

ボーッと立っていると後方のメンバーが走って集まってくる。

「リリアナ様大丈夫ですか?」
「あのイグニスドラゴンを倒して沼まで消すなんて凄すぎます!」
「リリアナ様ありがとうございます!
凄いです!」

口々に俺を称賛してくれているが

「ありがとう」

と言うだけで、まだ頭がボーッとしている。

ふと前を見るとラルフが俺に向かって走ってきてどんどん近づいてきている。
何?何?と思っていたら、いきなりラルフにガシッと抱きしめられた。

「へっ!?」

俺は間抜けな声が出た。

「お、おい!」

俺は焦ってラルフの抱擁を解こうと腕に力を入れるがビクともしない。

「やっぱり…やっぱりそうなんだ…」

ラルフが何か言いながら余計に俺を抱きしめる力を強くする。

「は、離せ!離せって…」

「嫌だ!やっと会えたんだ…サラ」

「はあ?」

コイツは何て言った?
サラだと?何で前の俺の名前、それも女の時の俺の愛称を知っているんだ?

「ラルフお前?…」

「会いたかった…ずっと会いたかったんだ…サラ」

「…えっ?ウェン?…」

俺が名前を言うとラルフは一度抱きしめる腕を緩めて自分の大きい身体を屈めて俺の顔を覗き込むように見て泣きそうな顔をしている。

「サラ!」

と言ってまた強く抱きしめてきた。
俺は呆気に取られ動けなくなった。

周りも何が起こっているのかと呆気に取られ動けなくなっているようだ。

「まあまあ、いつまでも熱く抱き合ってるんじゃないぞ!お二人さん」

ゲオングじいさんに声をかけられてハッとして

「離せ!いいから離せ!」

と俺が言うと呆然としていたケングレットとアルフがハッと正気に戻って、慌てて二人ががりで俺から引き剥がした。
ラルフが口を尖らせる。

「運命の出会いを邪魔すんなよ」

「嘘だ!そんなはずがない!」

思わず俺は叫んでしまった。
そんな俺を見てラルフは心底嬉しそうな顔で俺を見て微笑む。
さっきまでの不遜な食えない男とは思えない。
そんな顔すんな!
だってウェンのはずがないだろ!
お前は俺の後を継いで国王になって今国を立て直してるはずなのに。

「まあ、話は後だ。邸に戻ってみなを労ってやらないといけんじゃろ?リリアナ?」

ゲオングじいさんに悪戯っぽい笑顔で言われて俺はハッとする。
そうだ!みんなのお陰で魔物を討伐出来て瘴気の沼を消せたんだ。
周りにみんないることを忘れてた。
今は俺がハーベント家の人間としてちゃんとしなきゃ。

「皆様無事に作戦を成功させてくれたことハーベント家を代表しまして、お礼を申し上げます!作戦が成功したのは皆様一人一人のお陰です。
これから邸で食事など用意させて頂きます。夜にどうぞ我が邸にお越し下さいませ」

俺の一言でみんなウォーと雄叫びのような歓喜の声を上げた。

「酒も頂けますかあ?」

騎士の一人が聞いてきた。

「もちろんです!お酒も食事もたくさん用意させて頂きます」

「やったぁ!」

みんな飛び跳ねて万歳して喜んでる。

「それじゃサラ行こうか」

ラルフが俺の手を取り歩き出す。

「な、何がサラだ!その手を離せ!
リリアナ様だぞ!」

ケングレットが引き剥がそうとする。
ラルフとケングレット、アルフが入り乱れて言い合いが勃発してる。

その側で何故か俺を見ながら泣いているもう一人の男がいた。
冒険者の男のようである。

「私の命、サラ様…」

えっお前もサラと言ったか?




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