次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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二十二話 ロラン(メテオ)side ④

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私も60を超えて病になり、やっとお迎えが来てくれた。

サラ様、ウェン様、マンデラン様、仲間の元へ行けると思った。

死んだら私の魂はサラ様の元へ行けると思っていたのに、私の生涯は終わっだはずなのに目を閉じてからすぐオギャアと声が聞こえ驚いた。

私がオギャアと泣いた赤ん坊だった。
私は違う世界に生まれたことに気付いた、記憶をそのまま持って。

今度はクロットガス王国のポータント子爵家の第三男として生を受けたみたいだ。
顔は違うが、茶色の髪に薄灰色の瞳は前と同じだった。

今度は貴族として生まれた。
魔法を使え、魔物や精霊がいる世界、前とはまったく違う世界だった。

人間同士の戦はないが、その代わりなのか魔物がしょっちゅう出現して魔物と人間が戦っている世界。

また戦うことから逃れられないのかと思った。
この世界では両親がいたが、国でも魔物が多く出現する領地で親は対魔物の為に子供のことなど気にしていられないくらい忙しい毎日を送っていた。

衣食住には困らなかったが、親に何かしてもらった記憶などない。
でも私は前の世で孤児だった自分を覚えているから何ともなかった。

しかし上の兄や姉たちはそうではなかったようだ。親から得られない愛情に餓え卑屈になっていき、何かと言えば一番下の私を「弟のくせに」と虐げるようになった。

でも兄や姉の虐めなど、前の世に比べれば何とも思わなかった。
幼稚で稚拙だなと思っていたくらいだ。

でもそんな大人びた私のことが兄たちは余計に気に入らなかったようだ。
おまけに兄弟の中で私が一番魔力が高く複数の属性魔法を使えてそれによって父に期待され、目をかけられるようになってから兄のたちの嫉妬が酷くなって毎日のように暴力を振るわれるようになった。

正直親の愛情や期待などどうでもいいと思っていた私は10歳を越えてからは家に帰らなくなることが増えていった。
外で遊び呆けていると思った両親は兄たちの私を貶めるような虚言を真に受けて憤り、落胆しそのうち私に期待しなくなった。

それでも私は何とも思わなかった。
だって私にとってはこの世界の親などサラ様に比べたら塵にもならないと思っていたから。

外を出歩いている時に冒険者という職があることを知り、一人で生きていこうと着々と力をつけてランクも上げていき、一人立ち出来る時を待って、13の時に家を出た。

それから冒険者として生きてきた。
なんとそこでギルドマスターピートになっていたマンデラン様に出会ったのだ。
髪や瞳の色、顔も違うのに、雰囲気や表情口調でお互いにすぐわかってしまった。

そこでウェン様もいることをマンデラン様から聞き、実際にお会いして私の心は踊った。
もしかしたらこの世界にサラ様がいるかもしれないと思ったからだ。

マンデラン様とウェン様がいるんだからいてもおかしくないと。

そして冒険者をしながらもしかしたらあの仲間たちハント、ブレイン、レン、オットもいるかもと思い、いろんな土地の依頼を進んで受けて彼らも探した。

でも仲間たちにもサラ様にも会えずに月日だけが過ぎていった。
私は気付いたらA級冒険者になっていた。

A級冒険者も貴重だが、ウェン様はその上のS級冒険者ラルフとして有名になっている。

私はまだまだだが、私はクラスを上げることより仲間たちやサラ様を探す方に心血を注いでいた。
ウェン様も口に出さないが、マンデラン様と私に出会ったことによってこの世界にサラ様がいるかもしれないと思ったようだ。

マンデラン様、ウェン様と密に連絡を取り合いながら冒険者として働きながらサラ様、仲間たちを探す日々。

そんなある日、自分の母国のハーベント公爵領でスタンピードが起こり、ウェン様にも私にも依頼がきた。

報酬は2倍。でも母国は散々探し回って誰も見つからなかったところだ。

断ろうと思っていたが、ギルドマスターのピートであるマンデラン様に「ラルフはゲオングじいさんから直々に依頼されたから受けるみたいだぜ」ニカッと笑顔で言われて、何だかわからないけど気になって私も依頼を受けることにした。

朝に馬に跨って昼前には現場に着いた。
そこにあまりにも場違いな少女が二人いた。
そのうちの一人の薄紫色の髪に紫色の瞳の少女が気になった。

飛びっきりの美少女であることもだが、スタンピードの現場で一切動揺することなく、堂々としているところ。
ハーベント公爵令嬢、リリアナ様だと聞いたが、サラ様の金色の瞳とは違う紫色の瞳なのに強く光っていてサラ様のように叡智を感じ、澄んでいて凄く気になった。

まさかなあんなに探したのに見つからなかったんだ。そんな訳ないよな…
でも今まで感じたことのない感覚にどこか期待してソワソワして、気になって少女を目で追ってしまっていた。

だいぶ遅れてからラルフ様が到着した。
ラルフ様は他には目もくれず一直線にハーベント令嬢のところへ行き

「ここは子供の遊び場か~」

とハーベント令嬢に嫌味を言ったが、それでも彼女は一切動じない。
堂々とラルフ様に挨拶をする。
それにラルフ様は目を見開き驚いているようだった。

そして作戦を開始してハーベント令嬢の口調、冷静に落ち着いて指示を出す姿、遠くなっていっても仕草や姿勢も走り方もサラ様そのものだった。

サラ様だ!間違いない!
やっとやっと私の命、サラ様を見つけることが出来た。
全身が歓喜で震える。
作戦中だというのに呆然と立ち尽くしてしまった。

「こら!ロラン!わかってるけど、作戦中だぞ!報酬分ちゃんと働け」

隣にいるラルフ様に笑いながら言われて

「…はい」

と魔物に応戦するが、やはりラルフ様もサラ様だと気がついたんだということに感激して涙が溢れてきそうになった。

緊張感がないと言われそうだが、このくらいのスタンピードだとラルフ様なら一人ですんなり終わらせることが出来ることがわかっているし、これくらいの魔物なら私でも余裕で倒せると思っているから余計に緊張感がなくなり、サラ様である少女をずっと見つめてしまう。

サラ様たちが瘴気の沼の近くまで到着した時にAランクのイグニスドラゴンが沼から出てきた。
私はラルフ様がいるし、サラ様ならきっと大丈夫だと思った。

ラルフ様と私以外の後方の者たちはイグニスドラゴンの出現に驚き、一気に緊張感が高まったが、ラルフ様がいつでも仕留められるように構えているし、サラ様自身がちっとも焦ることなく対峙しているのを見て、みんなには悪いけど私はサラ様を見つけられたことに感激して浸っていた。

ブォンという疾風と炎の熱い温度にハッとなった。
気付いたらサラ様たちがイグニスドラゴンを倒し、ラルフ様が紅炎のドラコですべての魔物を殲滅した後だった。
風も炎も治まってすぐラルフ様がサラ様に向かい走っていき、いきなり抱きしめてる。

私は全身が歓喜に震えながらサラ様とラルフ様に近付いていく。

ラルフ様(ウェン様)はサラ様に恋をして唯一無二の存在として愛している。
私にとってもサラ様は唯一無二の存在だが、ラルフ様と違い、私にとっては永遠の主、一生お仕えする私の命だ。

本当にサラ様にまた出会えた…
私は生きてきて初めて神に感謝した。






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