次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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三十一話 国王、攻略者の婚約者と友達になる

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俺は16歳になりこの国の王族、貴族が通う貴族学院に入学した。

ゲームの攻略者だという王太子ベンヘルト、メッケンナー侯爵の第一男で宰相子息のルドルフ・メッケンナー、カスティーニャ公爵家第一男で王国騎士団団長子息のレアンドロ・カスティーニャ 、そして俺の護衛のケングレットも同学年で入学した。

もう一人のテンペフト伯爵の第一男で王国魔術師団団長子息のジョシュア・テンペフトは1つ下なので来年入学することになるだろう。


俺と王太子とはこの時にはもう修復不可能なくらい険悪と言っていい仲になっていた。
王太子が一方的に俺を嫌っているだけなんだが。

俺が王太子妃教育で王宮に通い始めて最初週に一度あったお茶会も1ヶ月程すると王太子がほとんど来なくなってそのうち月に一度になったが、それさえも王太子が無視した為に王太子とのお茶会はなくなった。
王太子より王妃と王女と頻繁にお茶会をするようになったくらいだ。 

王太子は第二王子が生まれたのにまったく危機感がなかった。
それより王妃の愛情が第二王子や王女に向くようになったことを僻んでいる。
それもリリアナのせいにしてリリアナを責めるようになった。


学院では成績でSABCにクラス分けされているのだが俺、ケングレット、ルドルフがSクラス、レアンドロがAクラス、王太子はBクラスと別のクラスになった。
ひとクラス十人の少人数クラスだが、俺たち以外の高位貴族もみなSクラスかAクラスなのに王太子がBクラスでいいのかと思った。
まあ、王宮でもサボってろくに教育を受けていなしプライドだけが高くて向上心がまったくない。

王太子とは同じクラスではないからほとんど会うことはないと思っていたが、俺からは絶対近寄ることがないのに、王太子が何かにつけて俺にケチをつけようと絡んできて俺に暴言を吐いてくる。

しかしその時に王太子の側近候補であるルドルフもレアンドロも俺に何か言ってくることはなかった。
昼休みなど、彼らは側近候補であるので王太子の側にいるようだが。

ゲームの時はヒロインが1年後に編入してきてから、側近候補たちも王太子と一緒になってリリアナに罵詈雑言を浴びせていたと聞いていたが、ヒロインがまだいないこともあるのか、最初はリリアナのことを警戒していたようだが、それでも宰相子息のルドルフは俺に向かい暴言を放ってくる王太子を諫めたりしている。
レアンドロの方は何も言わないが、眉間に皺を寄せ厳しい顔をしていた。

王太子は俺のことを
「僕の事を王太子とも思わない不遜で無礼な人間だ」
「無表情で何を考えているかわからない不気味で陰湿な人間だ」
「可愛気のない生意気な女だ」
「婚約はハーベント公爵家が強引に推し進めた結果で俺が望んだものでは決してない」
など好き放題言い、それをそのまま噂として流すようにしているようだが、俺はまったく気にしていない。

生徒の中には王太子に同調する者もいるが、だいたいが静観の構えのようだ。
特に高位貴族たちは静観してる者たちがほとんどで同調しているのが下位貴族という構図が出来ていた。

学院の教室内では護衛や従者は付けることは出来ないが、他では付けていいことになっているので、護衛にラルフとアルフ、侍女のミラン、従者にロランを付けている。
ケングレットは同じクラスなので教室内でも目を光らせてくれてるので安心だ。

その他にハーベント家の影と陛下から王国直属の影が俺にはついている。
王太子の言動はすべて陛下にも俺のお父様にも伝わっている。
王太子にももちろん影がついているはずなのにわかっていないのか本当にどうしようもない奴だ。
あの国王からどうしてあんな王太子が出来るのだろう。
ゲームの世界だからわざとなのかと思えてくる。


宰相子息のルドルフの婚約者のメリアンナ・プロファード伯爵令嬢も騎士団団長子息レアンドロの婚約者テレサ・ミュクリード侯爵令嬢も同じSクラスだった。

俺は今のところクラスで遠巻きにされているので友達など出来ないだろうなと思っていたのだが、ある日Sクラスの教室を出たすぐの廊下で男女の揉める声がきこえてきた。

関わらないでおこうと思っていたのだが、次の授業が違う教室の為、今から移動しなくてはならず、ケングレットと共に外に出た時に目撃してしまった。

赤い髪のガタイの良い男、レアンドロと婚約者のプラチナブロンドの髪に青い瞳のクールな美貌のテレサが言い争っていた。

レアンドロがテレサに向かい「女のくせに生意気だ」と言っているのが聞こえたが、テレサも気が強いのか「私がSクラスになったのがそんなに気に入らないのですが?大人気ない」等と言い返していた。

婚約者同士のケンカだから中に入らない方がいいだろうと通り過ぎようとしたところ、レアンドロが突然テレサを突き飛ばしてテレサがよろめいて俺にガツンッと当たって俺がテレサを受け止める形になってしまった。

俺の後ろでケングレットが支えてくれているのもあるが、俺は鍛えているから受け止めることが出来たが、一般の令嬢だったら一緒に倒れていただろう。

そんなことよりレアンドロ程ガタイの良い男が女性を突き飛ばすなど何てことをするんだ!と俺は思った。
レアンドロも自分がしたことながら驚いて固まっている。苛立ちからか突発的だったのだろう。
でもだからと言って許せることではない。

「ミュクリード侯爵令嬢大丈夫ですか?」

俺はテレサを受け止めながら彼女の顔を見た。

「あっ!…ハーベント公爵令嬢、申し訳ございません!」

テレサが慌てて俺に謝って態勢を整えようとしているが、明らかにショックを受けたような顔になっている。

「ミュクリード侯爵令嬢が謝ることではございませんわ。何があったのか知りませんが、カスティーニャ公爵令息!男性が女性を突き飛ばすなどとということなどあってはならないことではありませんか?」

俺は冷気を放たんばかりに冷たい目でレアンドロをキツく睨み付ける。
ケングレットからもこころなしか冷気を発してるような気がする。

「そ、それは…」

レアンドロは焦って言葉を濁している。

「言い訳なら結構です。カスティーニャ公爵令息は騎士団団長子息であられますよね?王国の騎士団は国を民を守って下さる尊い存在です。お父様の騎士団長様とはお会いしたことがありますが、女性に対してとても紳士な方です。貴方様のお父様は貴方様のことを厳しく接していらっしゃるかもしれませんが、わたくしはそれは貴方様に立派な騎士として後を継いで欲しいからだと思うのですが、貴方様はどうお考えで?
それにしてもお二人に何があったのかわたくしは知るよしもございませんが、今の貴方様の行為は騎士として誇れるものですか?」

俺はそう言ってレアンドロを見据える。

「…申し訳ない…」

レアンドロは俯きながら俺に謝罪してきた。

「謝るべきはわたくしではございません」

「テレサ!…つい頭に血が上ってしまった。
申し訳ない」

「…私も大きな声を上げてはしたないことをしてしまいました。
レアンドロ様申し訳ございません」

慌てて謝るレアンドロにテレサも焦って謝罪している。

「さあ、ケンカ両成敗と申します。
双方謝罪をされたのですから握手しましょうか?」

「「はい?!」」

俺が二人に笑いかけながら言うと二人が揃って目を見開き声を上げて俺を見た。

「まあ、息ピッタリではございませんか。
さあ、仲直りの握手しましょ」

俺が圧を込めて笑顔を深めながら言うと二人が渋々と握手した。

「良かったですわ。
それではミュクリード侯爵令嬢次の授業は教室を移動しなければなりません。よろしければご一緒しませんこと?」

俺が笑顔でテレサを覗き込むとテレサが少し顔を赤らめて

「ハーベント公爵令嬢よろしくお願いします」

テレサが顔を赤らめ恥ずかしそうに俺に向かって返事した。

「ありがとうございます。嬉しいですわ!
カスティーニヤ公爵令息そろそろ教室に戻られた方がよろしいんではなくて?」

「あ、ああ…それでは失礼する」

レアンドロが少し俯きながらトボトボと教室に戻っていく。

「さあ、ミュクリード侯爵令嬢参りましょうか?お怪我はないですか?足元など挫いたりしてませんか?大丈夫ですか?」

俺はテレサをエスコートするように手で背中辺りを添える。

「は、はい!大丈夫です!」

俺はテレサを軽く支えながら一緒に並んで歩く。

「あ、あの…ハーベント公爵令嬢ありがとうございました」

「礼には及びませんわ。どんなことがあったにせよ、男性が女性を突き飛ばすなどあってはならないことですから」

「…はい…ですが、私も言葉が過ぎました」

テレサはシュンっと音がするように俯いてしまった。
先程のことにテレサ自身も責任を感じているのだろう。

「ミュクリード侯爵令嬢元気を出して。
もういいではありませんか。
何かあるのなら話を聞くことくらいしか出来ないかもしれませんが、わたくしで良ければいつでもお話伺いますよ」

「本当ですか?ありがとうございます!ハーベント公爵令嬢、よろしれば昼休みランチをご一緒にいかがですか?」

テレサがキラキラと嬉しそうに俺を見ながら言う。
その様がなんだか可愛らしくて声をかけて良かったと思った。

「ええ、ぜひ。楽しみにしておりますわ」

俺は笑顔で答えた。
ケングレットは何も言わず後ろで控えていてくれた。



昼休みになり、いつもはケングレットと一緒だが、今日はテレサと共にランチを食べる為に二人で学院の食堂に向かった。

「ハーベント公爵令嬢、お礼に私にランチをご馳走させて下さいませ」

「まあ、お礼なんてよろしいのに。
でも今日はお言葉に甘えてご馳走して頂こうかしら」

「ぜひ!」

二人でランチセットを選びトレーに乗せて席につく。

「ハーベント公爵令嬢、あらためて申し訳ござきませんでした」

「フフッ、いいのですよ。わたくしこそご馳走様してもらうなんて初めてなのでとても嬉しいわ。 
とにかくミュクリード侯爵令嬢が怪我しなくて本当に良かったですわ」

俺が微笑むとテレサがまた顔を赤くする。

「ありがとうございます。
私も悪かったのです!レアンドロ様とは昔から言い合いばっかりで…気にしているだろうにクラスのことでつい上から貴方の努力が足りないのでしょというようなことを言ってしまいまして…」

「なるほど…ミュクリード侯爵令嬢はカスティーニャ公爵令息のことお嫌い?」

俺がストレートに聞くとテレサはわかりやすく焦って顔を赤らめた。

「い、いえ…嫌い等とは思っておりませんが、レアンドロ様と私は家同士の決められた婚約で…幼い頃はケンカをしながらも仲良かったと思うのですが、ここ1年はレアンドロ様の方が何かにつけて突っかかてこられて私もつい、ムキになってしまいまして…」

テレサが苦笑いしながらお茶を一口飲む。
王国貴族学院では王族、貴族が通う学院で食後の紅茶やデザートなども食堂に用意されている。ランチを食べ終わってお茶を飲みながら話をしているのが今。

「そうなのですね。カスティーニャ公爵令息も大人になろうとしている微妙なお年頃なんでしょうかね。殿下と上手くいっていないと言われているわたくしが言うのもなんですけど」

貴族は相手に弱味を見せてはいけないと教育されているが、俺はテレサに正直に王太子と上手くいっていないと自分から言った。
まあ、言わなくても見てたら誰しも分ることだと思うが。

「ハーベント公爵令嬢…私はお二人のことをよく存知上げませんが、見ていてハーベント公爵令嬢が悪いところなど一つもないように見えますわ」

俺の言葉にテレサが目を瞬き少し驚いた顔をした。

「ミュクリード侯爵令嬢ありがとうございます。
ですが、わたくしにも悪いところが一つもないことはありませんわ。
わたくしも殿下に歩み寄る努力はしてきたつもりですが、これもわたくしの至らなさ、力不足ということでしょう。
しかし国や家同士で決めれた婚約というのは難しいですわね」

「本当に…」

テレサは少し悲しそうに俯く。
俺と王太子はもう無理だろうけど出来るならレアンドロとテレサはお互いを思いやる良い夫婦になってもらいたいと俺は思った。

このままいってヒロインが現れてレアンドロとテレサが婚約破棄になるとテレサが傷物になったと言われる。
 
貴族の社会ではまだ男尊女卑が強く残っでいる。
婚約破棄や解消等で被害を被るのは女の方なのだ。

「ミュクリード侯爵令嬢がカスティーニャ公爵令息のことをお嫌いでないのでしたら、これから長いお付き合いになるのですから手の平で転がしてやればいいのですよ」
 
俺はニヤリとする。

「手の平で転がしてとは?」

テレサがキョトンと首を傾げる。

「カスティーニャ公爵令息はお父様に大変厳しく育てられているそうですね。それも彼のことを思ってのことだと思いますが、騎士団長様には何度かお会いしたことがありますが、口数の少ない方で己を厳しく律しておられ、自分にも他人にも厳し方のようです。それが男性同士ですと余計に厳しくなるのかもしれませんわね。カスティーニャ公爵令息はどこかで劣等感を持たれているのかもしれません」

「確かに弟のブランドン様とよく比べられるとよく言ってますわ」

テレサが頷きながら真剣な目で見てくる。

「そうですか…ミュクリード侯爵令嬢が彼の良き理解者になって差し上げるというのはどうでしょうか?」

「良き理解者?」

「そうです。カスティーニャ公爵令息が努力されていたり頑張った時は褒めて労ってあげる存在になるのです。何でもかんでも褒めるのではなく時には尻を叩きながらも彼のやっていることをちゃんと見て理解しているのは私ですよと示すのです。
それが手の平で転がすということです。
言い方はよくありませんがね」

俺はふふふと笑う。

「そ、そんなこと私に出来るでしょうか?」

テレサが戸惑った顔をする。

「ミュクリード侯爵令嬢なら出来ますとも。
面と向かって言えない時には手紙でお気持ちと労いの言葉を添えるのはどうでしょうか?」

俺はニコニコとテレサの顔を覗き込む。
するとテレサが恥ずかしそうに俯く。
テレサは少なからずレアンドロのことを思っているような気がする。
レアンドロとテレサは今なら修復可能な気がする。

「少しずつでも構わないと思いますよ。
目の前にしたらいえないことでも手紙なら本心を言えるかもしれないと思いませんか?
もし良ければわたくしも協力しますわ」

「そんな、ハーベント公爵令嬢は王太子妃教育などでお忙しいのでは?」

テレサが不安そうな顔になる。

「あら、大丈夫でしてよ。
わたくしはミュクリード侯爵令嬢さえ良ければ親しくしたいですわ。
それに学院にいる時は同じクラスですしいろいろとお話させて頂きたいわ」

「本当ですか?ハーベント公爵令嬢とても嬉しく思います。
よろしくお願い致します」

テレサはパッと顔が明るくなり笑顔を見せた。
見た目はクールな美少女なのに笑うと年相応の可愛らしい方だ。

「良かった!とても嬉しい!
ところでわたくしのことはリリアナと呼んで下さいませんか?」

俺はテレサに向かって微笑みかけた。 

「よろしいんですか?嬉しいです!私のこともテレサとお呼び下さいませ」

「それではテレサ様よろしく」

「リリアナ様よろしくお願いします」

俺たちは顔を見合わせ微笑み合った。


それからは学院でいつもテレサと共に行動するようになった。

テレサは見た目は少しキツめの怜悧な美しさを持っているが、中身はハキハキとしていて明るくそして優しくて身分関係なく誰にでも同じように変わらず接する面倒見の良い女性だ。

テレサと仲良くなるのに時間はかからなかった。
テレサと教室や食堂、中庭のガゼボなどで楽しくお喋りしながら笑い合って話を花を咲かせたり、図書館で一緒に勉強したりしていたら、そのうち他の貴族令息や令嬢と話したりするようになった。

その中には宰相子息のルドルフや彼の婚約者のメリアンナ・プロファード伯爵令嬢もいてルドルフは最初は我儘で傲慢と言われている俺を警戒しているようだったが、いつも成績で彼と1位、2位を争うようになってお互い認め合い、少しずつ会話が増えていった。

メリアンナは背が低くて緩やかなミルクティーブロンドの髪に琥珀色の大きな瞳の可愛らしい女性でいつも大人しく控えめな性格をしているが、話しかけると笑顔で答えてくれる。

メリアンナも友達がいなくいつも一人だったので俺とテレサが積極的に話しかけるようにしていたら、食堂でランチを食べたり図書館で一緒に勉強したりと行動を共にするようになった。

メリアンナは大人しいけど芯の強い瞳には叡智が宿っている聡い女性で知識も豊富でテレサと共に話していて話題が尽きることがない。
そしてメリアンナも優しくて可愛らしい魅力的な女性だった。

意識してなかったが、奇しくも攻略者の婚約者二人と仲良くなった。

俺の人生で初めての女性の友達が出来た。
前の世では女性と接することがほとんどなかったし性別を偽っていたので女性として同性の友達を作ることが出来なかった。

前の前の平民の時には同性の友達がいたかもしれないが、平民の時の記憶は農作業をして働いて居る時や戦で逃げまどっていたことがほとんどで他が朧気でこの世界に来てから家族の顔もだんだんと思い出せなくなっていたからこの時に同性の友達がいたかどうかも覚えていない。

だから俺にとって初めての女性の友達が出来たことをとても嬉しく思った。














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