次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

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三十話 国王、魔法契約を結ぶ

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10日後、陛下から俺宛に文書が届いた。
俺の出した条件通りの魔法契約を結ぶので王宮に来るようにとの返答だった。

文書が届いた次の日に再び陛下の執務室を訪れて陛下、宰相、騎士団団長、そして神殿で属性判定を行なう大神官長も呼び、リリアナの方は両親とお兄様、ラルフ、ロランとで魔法契約を交わした。


・一つ、リリアナは己の能力を自分の利益の為に使ってはならない。
(自分のケガ、病を治すこと、自らに危険が及んだ場合の正当な防衛はこれに当たらない)

・一つ、リリアナが全属性魔法が使えることは決して他者に漏らしてはならない。

・一つ、リリアナの安全を第一に考え、クロットガス王国はリリアナとハーベント家を必ず守らねばならない。

・一つ、他国と絶対戦をしてはならない。
他国から攻め込んできた場合は除くが、その場合にもなるべく先に他国の動きを見極めなるべく戦にならぬように努力し、それでも戦になった場合は民のことを第一に考え、被害が最小限となるよう努めること。

・一つ、リリアナ、ラルフ、ロラン、ハーベント家に関わる者すべてを戦はもちろんのこと、国内外との駆け引きに使ってはならない。
但し、どうしても戦になりそうな時など例外とし現国王陛下とリリアナが話し合いを持ち、抑止力となる場合認めることとする。

・一つ、リリアナ、ラルフ、ロラン、ハーベント家に関わるすべての者たちの力は現国王陛下の命令でこれを行なう場合、民を助ける為にしか使ってはならない。
そしてその最終決断はリリアナがすることとする。

・一つ、民を守る為の魔物討伐をリリアナ、ラルフ、ロラン、ハーベント家に関わる者たちはこれを成さなければならない。
しかしその最終判断はリリアナのみが下すことが出来ることとする。

・一つ、他国との取引で自国だけに有利なだけの取引で魔物討伐を行ってはならない。
この時も現国王陛下とリリアナが話し合いを持たれなばならない。

・一つ、神殿でのリリアナの属性判定は今ここにいる者のみで成されること。
そして結果を誰にも言ってはならない。

・一つ、ラルフとロランへの魔物討伐に関わる命令はリリアナ以外はしてはならない。

・一つ、リリアナを従わせる為の脅迫や魔法、武力、魔道具の使用等を行使してはならない。

・一つ、リリアナが婚姻するまではハーベント家で家族と暮らすことを阻んではならない。

・一つ、リリアナの婚姻は貴族学院卒業後でなくてはならない。
婚姻については今現在は王太子ベンヘルトとの婚姻とは限らないこととするが、クロットガス王国の王族か貴族と婚姻すること。

・一つ、リリアナは現国王陛下にに忠誠を誓うこと。
但し、必ず双方話し合いを持ちリリアナの判断により拒否することが出来るとする。

・一つ、この魔法契約は現国王陛下存命中、1年ごとに更新するものとする。
その時は、契約した者たちすべてが集まり契約を行なわなければならない。
もし、契約者が死亡した場合や病により伏せていたり、他の契約者たちの判断によりそれに含まれないこともあるものとする。

・一つ、この魔法契約を破った者は何人たりとも死することとする。


このすべて重い契約を俺たちは交わした。


そしてその足で神殿へと赴き、俺の属性判定が行なわれた。
大神殿講堂の白亜のウルヴァラン神の像の前にある、俺の顔くらいの大きさの水晶に手を触れると火(赤)、水(青)、風(緑)、土(茶)、光(白)、聖(金)、闇(黒)、雷(水色)すべての光が渦を巻いて講堂内一面を覆う強い光が放たれた。

すべての者たちが目が潰れそうな光に腕で両目を塞いだ。 

そしてその後、領地の神殿で起こったのと同じく白亜のウルヴァランの像から光が溢れ、そこにいる皆を包んだ。

俺自身驚いたが、大神官長は二、三歩後退り

「おぉ~なんと凄い強い光でしょうか…こんなに強く光るとは…ハーベント公爵令嬢の魔力は膨大です。このような凄い光り方は見たことがございません。
そして確かに全属性の光が発せられました!
そしてそしてウルヴァラン神の像から光が!これはウルヴァラン神の加護以外に考えられません」

大神官長は驚きと畏怖、そして歓喜で興奮してウルヴァランの像に跪つき、祈りを捧げてから俺を目を潤ませながら見上げてきた。

「何とこれは素晴らしい!魔力もこれ程までとは…我もウルヴァラン神からの光を初めて浴びることが出来た。
何と幸せなことか…
しかし我の責任は重いな…」

陛下が驚き、喜びつつも気を引き締めるように言った。

「陛下」

俺は陛下を見つめる。

「いや、本当であるからな。
リリアナ嬢、ハーベント家を国で守り、その力を民の為に使うよう我は誓う」

陛下もウルヴァランの像に跪つき祈りを捧げている。

「陛下のお言葉しかと聞きました。
有り難き幸せにございます」

お父様が陛下に向かい、礼を取る。
俺も礼を取る。

「ふむ、ハーベント公爵よ。
リリアナ嬢をしかと守るのだぞ!我らも出来る限り協力を惜しまぬ」

「承知致しました」

お父様だけでなくお母様、お兄様、ラルフ、ロランも陛下に礼を取る。


やっとこさ開放されて邸の自分の部屋にラルフとロランと共に戻ってきた。そこにはケングレット、アルフ、ミラン、ユーラもいた。

「疲れた~」

ふぅ息を吐いてとソファに座る。

「おかえりなさいませ、お嬢様。
すぐにお茶をお入れします」

ミランとユーラが部屋にいる全員分のお茶の用意をしてくれている。

「ミラン、ユーラありがとう」

「お嬢様おかえりなさい。
お疲れ様でした」

「アルフありがとう~本当に疲れたわ」

アルフの労いに本音が溢れた。

「とりあえず、国王陛下と魔法契約を結べたことは良かったですね。王妃殿下、王太子殿下は大丈夫でしょうか?」

ケングレットが王妃と王太子の心配をした。
確かにな、王妃と王太子には知られない方がいい。

「大丈夫でしょう、契約は自分の命がかかっているからね。
それに今回のことでわたくしが王太子との婚約を前向きではなくなったことを陛下に知ってもらえたのは大きいと思うわ」

「国王は最初渋い顔をしてたけどな、でも己の息子のことをちゃんとわかっているようだったからな」

ラルフの言う通りだ。
国王まで王太子に甘いとこれからもっと大変になるだろうからな。

「王妃は息子に甘いようだけど、さすがに国王は国、民を優先に考えているのではないかと思いましたね」

ロランの言葉にケングレットたちがホッとしたように息をひとつ吐いた。

「それにウルヴァランの像からあんな光が出てきたのを見たら、国王も誰もリリアナを害そうとしたり、粗末に扱うなんて有り得ないだろうな。
ウルヴァランがリリアナを守ってると証明したようなもんだから、もし逆らうようなことしたらウルヴァランの怒りを買うことになる」

ラルフの言葉に俺はフッと笑う。

「またウルヴァランが返事してくれるとは思わなかったよ。
まあ感謝しとくわ」

ミランやとアルフが目を見開く。
俺のウルヴァランに対する相変わらずな態度に呆れたような表情をする。

「それでお嬢様はいつから王太子妃教育が始まるのですか?」

「来週からよ。王太子との週に一回のお茶会もあらたに組まれたわ」

ミランの質問に返事しながら俺は溜息をつく。

「王太子、アイツは駄目だ」

ラルフが不機嫌な顔で言う。不敬だけど、俺もそう思う。

「そうですね、リリアナ様を見てニヤニヤと下衆い顔をしていましたからね」

ロランも眉間に皺を寄せている。

「リリアナ様が美しくなられてコロッと態度が変わったということですか!」

ケングレットが不機嫌な顔になる。

「まあ、そういうとこだろうな。
でもリリアナが教育を受けて自分より遥かに優秀だとわかったらどうなるだろうな」

ラルフがニヤッと俺を見てきた。

「さあ、どうだろうね」

俺はラルフを見ながら笑った。


陛下たちと魔法契約を交わし、大神殿で属性を判定を行なった日から1週間後から王宮で王太子妃教育が始まった。

王妃や家庭教師からの厳しい教えであったが、前の世で同じような教育を受けていた俺はちゃんとついていけているようで、王妃や家庭教師に褒められた。

その国々で王族のマナー、礼儀等は多少違うとはいえ、基本的なことは同じなのですぐに出来るというのはおかしく思われると、少し加減を考えたが、元々身についていたものなので、無意識にすんなりと出来てしまうのを誤魔化すのはなかなか難しかった。
マナー、礼儀は王妃に教えてもらう。
どんなに厳しくされても嫌味を言われても顔に出さず文句一つ言わずついていき、すんなり出来るようになる俺に王妃は「ハーベント公爵家はしっかり教育されているのね」と褒めてくれた。

俺は授業以外の王妃の自慢や愚痴も嫌な顔一つせず聞いた。
そして王妃だからもちろんだが、教えを乞う教師でもあるから常に尊敬の念を持って真摯な姿勢で接していった。

そのことが王妃に伝わっていったのか、俺に対する態度がだんだんと変わり、認め心を許してくれるようになっていった。

王妃は3代前の大公の公爵家の子女でもっとも力を持つ貴族の出身で、政略結婚で国王と結婚したが、婚約時代から国王との関係は良好で、婚約時代は友人のような同志のよくな関係だったが、結婚後国王の真面目で仕事熱心で、決して浮気をすることなく自分を大切にしてくれる国王を見て、愛するようになったようだ。
国王もずっと側妃や愛妾を娶ることなく王妃を一途に大切にしている。

王妃は生まれながらの高位貴族令嬢で何不自由なく両親に愛され、周りからチヤホヤされていた世間知らずなお嬢様で我儘でみなが自分を立てるべきと思っている女王様気質な人だが、幼い頃から王妃となるべく厳しい高度な教育を受けてきた人で、王妃自身とても優秀で国王とともに難なく政務をこなし、国王を影に日向にサポートしている人だ。

自信家でプライドが高く多少傲慢なところがあるが、根は純粋な人なのだろう。
俺は王妃の性格を把握し、大袈裟に持ち上げるのではなく、常に尊敬の念を持ち接しながら徐々に自分の意見などを言うようにしていった。

月日が経つと、王妃は息子の王太子には相変わらず甘いが、盲目的に可愛がるというものから少し変わってきた。
リリアナの努力を見てきて普段の王太子の行ないを見て王太子の目に余る言動に王妃が王太子を諫めるようになったり、俺に王太子の愚痴を言うようになっていったのだ。

王太子とは週に一度お茶会の席を設けられた。
最初の方こそデレデレとしていた王太子も俺が何でも卒なくこなすことにだんだんと態度が変わっていった。

他国の言語や歴史、情勢など王太子と一緒に学ぶこともあったが、すぐに俺と王太子で出来の差が広がりそのうち教師も別にして学ぶことになった。

王太子はサボり癖があるようで王太子教育を何度も抜け出して教師たちを悩ませている。
そのくせプライドが高く王族である自分が一番偉いと思っているところがあり、俺は何度か『王族は民あってこそのものです。民の為に働くものです』
『王太子教育はご自分の為であると同時に国の為、民の為なのです』『王族は国の為にという大きな責務を背負っているのですよ』等と助言したが、それが気に入らなかったのだろう。

だんだんと俺を疎んじるようになってきた。
俺は仲良くしようとも思っていなかったが、別にわざと嫌われようとしていた訳ではない。
当然のことと思い、王太子のことを思い、これでも気を遣って王太子に言うようにしたのだが、どう言っても伝わらなかった。

あまりにも話が通じないので、そのうち週に一度のお茶会が憂鬱なものとなっていった。
それは俺だけじゃなく王太子もそう思うようになってきたようで、度々王太子がスッポかすようになり国王、王妃に度々注意をされているようだったが、それが余計に俺に対する反発となって返ってきた。

「何だ!公爵令嬢風情が僕に命令するのか!」
「聖魔法を使えるからって偉そうにするな!」
「澄ました顔して可愛気のない奴だ!」
「無表情の鉄仮面め!」
「ちょっと出来るからと言っていい気になるな!」
「お前のせいで僕が出来ない人間みたいに言われているじゃないか!僕の婚約者ならちゃんと王太子である僕を立てろ!」

と八つ当たりして俺に罵詈雑言を浴びせるようになってきた。
俺はやっぱり駄目なんだなと諦めるようになった。

でも常にどこにいようと何をしていようと俺は王太子妃に相応しいか見られている。
王太子もそうなのに王太子はやたら自己評価が高く、もう立太子しているので自分がいずれ国王になることを信じて疑っていないのだろう。

陛下は忙しい政務の間を縫って俺と個別に会う時間を作って月に一度くらいは会談をしていた。
魔物出没の緊急の時は呼び出しもあるが、それ以外は陛下と二人きりでお茶やお菓子を用意されて話し合いをしている。
俺の監視の意味もあるかもしれないが、他愛もない話から国内での魔物の出没状況やたまに俺の魔法の稽古のこと、政務の話などもしている。

中には国の機密情報に触れることもあり、国王は敢えて俺に聞かせているのではないかと思う。
俺がこの国から出ることを許さないという警告のようなものでもあるだろうな。

陛下には「リリアナと話しているとまるで大臣たちと話しているように感じる」と言われてしまったが、俺を気に入ってくれたようで徐々に信頼関係を築いていけているように思う。
俺も陛下のことを注視している。
魔法契約を交わして大丈夫だと思うが、人は力を持つと欲を持つようになってしまうからだ。

しかし陛下と話していると本当に国や民のことを思う優れた為政者だと思った。
どうしてこんなに優秀な国王と王妃からあんな王太子が生まれるんだ?と思った。

俺からは王太子のことを陛下にも王妃にも何も言わなかったが、言わなくてもわかっているようだった。
俺からは言わない方がいいしな。


そんな日々が半年程過ぎたある日、陛下に呼び出されて王妃が懐妊したことを知らされた。
まだ正式に発表されてないことを俺に告げたのだ。陛下とはそれだけ信頼関係が出来たのかなと思う。
陛下はラルフとロランに言われたこと、そして今の王太子のことを考えて子を成されたんじゃないかと思う。


それから十月後、第二王子ジルバード様が誕生した。
俺はその時にも陛下に会い会談した。
この時には陛下は口にこそ出さなかったが、第ニ王子を王太子にすることも考えているんではないかと思った。

そして王妃も第二王子が出来たことによって今まで王太子にばっかりに向かっていた愛情が第二王子と王女にも向かうようになった。
王太子の目に余る言動のせいもあるが、俺とのお茶会では一つ年下の第一王女ミステリナ様ともご一緒することが多くなり、ミステリナ様の聡明さを目の当たりにして王女とも交流するようになった。
王女とはかなり仲良くなり「リリー姉様」と呼ばれるようになった。

王女は王太子より魔力も多く使える属性も王太子が火と風なのに対して王女は火、水、風と三属性が使える優秀さだ。
そのことが王太子が劣等感を持つ原因にもなっているようなのだが。
王妃は第ニ王子が出来てから王女にも気を向けるようになり良い傾向だと思った。

王妃は少しずつ変わっていったように思う。
リリアナ、第二王子、王女と接してきて盲目的に王太子だけを可愛がるということがなくなってきた。  

陛下ともより仲が深まったようで第二王子が誕生してからは冷静に周りを見るようになっていった。

俺は王太子妃教育を受けたりと忙しくしながらも陛下から王都入りを許可されて我が家のタウンハウスで暮らすようになったゲオングじいさんと魔法修行を続けたり、ラルフにも雷魔法を教えてもらったり、ピートもたまにやってきてくれていろんな情報を教えてくれる。

王太子妃教育が順調なので少し固まった休日も取れるようになってからは、領地にも暇を見つけては行ってグェンや使用人たち、邸周辺の農家やその子供たちとも交流を続けた。
何だかんだと忙しくも楽しい日々を過ごした。


それから年月が経ち、いよいよ俺たちは貴族学院に入学する年、16歳になっていた。
ヒロインのフローラ・サイアンは1年後に編入してくることになっている。

4年の間に年に10回程、国内で魔物のスタンピードが起こったが、それ程大規模なものはなく陛下は俺に出動要請はしなかったが、陛下と話し合ってラルフとロランには出動してもらうことはあった。

俺がなるべく聖魔法を使えることを知られないようにとの陛下の配慮だった。

後で土地を浄化する際は認識阻害魔法をロランにかけてもらい、髪の色も瞳の色もよくある茶色に顔も変え身長は変えられないらしいが、見た目別人に見えるようにして人払いをしてラルフ、ロラン、ケングレット、アルフと共に瘴気で穢された土地を浄化していった。

リリアナが聖魔法を使えるんではないかとの噂も陛下とお父様たちにより間違っていたと噂を流してもらうようにしておさまっていき、そのうちにそんな噂が上ることはなくなっていった。











 
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