次こそは平和な世でのんびり気楽に生きていくつもりだったのに何でか悪役令嬢として生きていくことになってしまった!

asamurasaki

文字の大きさ
46 / 65

四十四話 国王、仲間が集結してる!?

しおりを挟む






オットがナミアの食べ物や飲み物を用意しに行く時にロランを呼んできてもらうように俺は頼んだ。

すぐにロランがやってきたので、レンにナミアを任せて俺はロランと部屋を出た。

「オットのお姉さん、本当に見違えるくらい元気になったようですね」

ロランもナミアが先程とは比べものにならないくらい顔色が良くなったのがわかったようで、笑顔で嬉しそうだ。

「うん!レンがあっという間に治してくれた。
レンは怪我や身体の外側だけでなく内側も治せるのね!
本当に良かったわ」

「それが神獣の力なのですね。
大昔にはこの世界に神獣や精霊がいてその姿を人間も見ることが出来て、人間と共存していたと言われています。
今や伝説的な話になっていますが。
今は見ることが出来る人間がほとんどいないので、伝説として語り継がれるようになったようです。
私たちは自分の魔力と火やそれぞれの精霊の助力により魔法を使えると言われてますので、精霊が存在するのは間違いないと思いますが、いつの頃からか神獣だけでなく精霊の姿も見れなくなってしまったようです」

俺はロランの神獣と精霊の話に何か引っかかりを感じた。
でもそれが何なのかわからない。

「…」

「リリアナ様どうされましたか?」

「…えっ?大丈夫よ。
ところでオットと話をしたいのだけど、さっきセシルティアがいることを忘れてしまっていたわ」

「リリアナ様だけではありません。
私もです。
仕方なかったでしょう、ここでまさかオットに出会えるとは思ってもいなかったことですから」

ロランはまた感極まった顔をしている。

「そうね…そうだわ!ラルフたち長い時間出てこないから心配しているんじゃないかな?」

「ご安心ください。リリアナ様たちがオットのお姉さんの部屋に行った時に私がラルフ様たちの所へ行き、事情を話しておきました。大丈夫です」

「さすが、ロランね。ありがとう」

ロランに礼を言うとロランはニッコリと笑った。

「いえいえ、ところでセシルティア様ですが、先程のオットのことは誤魔化せないと思うのです」

「そうよね~セシルティアは聡いし勘も良いからまた知る人が増えてしまったわ…陛下が何とおっしゃるか…」

ふぅ~と俺は息を吐いた。

「そうですね。
陛下にはお叱りを受けるかもしれません。私も一緒に叱責を受けましょう。
セシルティア様にはある程度お話した方がいいのではないでしょうか?魔道具のこともあって協力して頂かなくてはなりませんし…リリアナ様と個別に魔法契約を結んでもらうことも考えて」

ロランの提案に俺は頷く。

「そうねぇ。セシルティアは魔法契約などせずとも約束したら、絶対話さない人だと思うけど、お互いの安心の為にはその方がいいかもね。
セシルティアにどこまで話すかだけど…ゲームの世界の話はなるべくしたくないわ」

「そうですね…断罪、ジョシュア様との婚約破棄のこととかセシルティ様には話さない方がいいかもしれません」

「わたくしの前の世の話はしても大丈夫だと思うけど…」

俺はどうしようか思案する。

「セシルティア様ならレンの時もそうでしたが、すんなりと受け入れそうではあります」

「ふふっ、そうだね。前の世の話はして俺がリリアナであったことを10歳で思い出したということにしようか。
全属性が使えることに関しては話さなくてもいいかもしれないけど、陛下と相談してからにするわ。
ジョシュアに先に話しておいた方がいいわね」

「承知しました。ジョシュア様にはラルフ様に呼ばれましたと言って外に連れ出して、ジョシュア様にお伝えしましょうか?」

「お願いするわ」

「承知しました」

話し終えてロランが戻って行ってすぐにオットがトレーにパンや果物と温かい飲み物を乗せて帰ってきた。
恐らく俺たちが話すことをわかっていてそれを見計らってから来たのだろう。

「サラさ…いや、今はリリアナ様ですね。
お話は終わりましたか?」

オットが大きい身体を少し屈めながら聞いてくる。

「ええ、終わったわ。
ナミアさんにそのトレーを渡してからオットにも話すわ」

「わかりました」

ナミアの部屋に戻り、トレーを渡してレンに様子を見ていてもらうように話してからジョシュアたちがいる部屋に戻る前にオットにも先程ロランに話したことを軽く話しておいた。

オットは「わかりました。私は余計なことは話さないようにします」と了解してくれて、俺たちはジョシュアたちが待つ部屋に戻って行った。



「リリアナ様!店主の姉上殿はどうなりました?」

ジョシュアは心配もあるだろうが、それよりもレンがどう治したかに興味があるようだ。
そして先程ロランから話を聞いたとウィンクをして目で合図を送ってきた。

「レンがちゃんと治してくれたわ。
いきなり魔力が流れ始めたから今日はゆっくりしておいた方がいいけど、すぐ元気になると思うわ」

「それは良かった~僕もレンの治療見たかったな~」

「私もです!」

やっぱり(苦笑)
ジョシュアとセシルティアはそういう子だ。
魔法に関してとても好奇心があり、探究心も旺盛だ。

「レンの治療はこれから見る機会あるかもしれないわ」

「本当ですか?ぜひ、僕とセシルを呼んで欲しいです!」

「わかったわ。呼べそうならね」

横に立っているオット見るとオットも苦笑していた。

オットがお茶の替えを用意するとキッチンへと向かった。 
それにロランもいそいそとついて行った。

俺は空いてる席に座る。

「さあ、何から話そうかな」

ジョシュアとセシルティアを見ながら言う。

「リリアナ様、店主さんのこと何かあるのわかりましたけど、私誰にも言いませんよ」

セシルティアが真剣に俺を見つめてそう言った。
セシルティアはやっぱり賢いわね。
ジョシュアから魔法や魔道具に没頭していて、人にあまり興味のない子だと聞いていたけど、まだ短い期間だけど今まで接してきて人の機微には鋭く悟る子だ。

「セシルティア、ありがとう。
貴方なら大丈夫だと思ってるわ」

「でもリリアナ様と魔法契約結びたいです」

俺は思わずフフッと笑う。
 
「セシルティアは魔法契約の方に興味があるんじゃないの?」

「それもあります!
私は魔法契約を結んだことがありませんから。
でも私はリリアナ様のことが大好きなのです!
リリアナ様と魔法契約を結んだら、何て言うか、同じ秘密を保持する同志になれて強い絆で結ばれるでしょ」

セシルティアはニコニコしながら言う。
人に興味がない子だとはとても思えないな。
俺のことを大好きだと言ってくれることに素直に嬉しいと思った。

「セシルティア嬉しいわ、ありがとう。
でも知ってると思うけど、魔法契約ってとても重いものよ。
命を賭けたりするのものなのよ」

「そこがいいんですよ~リリアナ様と私の間で命のやりとりをする!そんな強い契約って凄いことですよ」

セシルティアの言葉にジョシュアも苦笑いする。

「セシル、まぁまぁ話を聞いてからでいいじゃないか」

「そうだけど、ジョシュアも私もまだ魔法契約を扱えないわ。
だからロラン様の魔法契約も経験してみたいです!」

セシルティアはキラキラとした瞳をしている。自分の興味のあることに純粋なんだなと思う。
魔法契約の魔法自体はそんなに難しいものではないけど、扱う人間の魔力レベルが関係してくるもので、魔力が高くより才能がある者にかけてもらうことが一般的だ。
それに成人になるまで使ってはいけないと厳しく法律で決められていて、まだ成人していないジョシュアとセシルティアは例え魔法契約を扱えても使ってはいけない。

俺たちは陛下たちと魔法契約をする時はロランにしてもらっている。
陛下の直属の部下の魔術師にしてもらっても良いのだろうけど、より優秀な者と陛下が判断してロランにお願いしたのだ。

この魔法契約にはロランも含まれているが、術者であっても契約は絶対破ることは許されない。
ある意味術者が一番重責を担うことになると言っても過言ではない。
もし術者が契約を破った場合、例え命を賭けた契約でなくても術者は契約を破った時点ですべての魔力を失うと言われている。

この世界で一切の魔力を失うと言うことは死を意味する。
そういう意味で魔力は血液と同じとも言える。

ロランはそれを引き受けてくれたのだ。


ジョシュアとセシルティアと話してる間にオットとロランが戻ってきて、お茶とお菓子を出してくれた。

「貴族の皆様のお口に合うかどうかわかりませんが、私が作ったものです。
出来立てではございませんが、どうぞ」

お菓子は丸い形のシンプルなクッキーだ。
そういえば、前の世で料理の才能に目覚めたレンがお菓子などもいろいろ作ってくれたことを思い出した。
それのどれもが素朴で美味しかった。
そのうちレンだけでなくメテオやオット、ハント、ブレインと仲間たちがレンに教わり競うように俺にお菓子を食べさせようとしたっけ!なんて思い出して浸っていた。

「僕たち名乗ってないのにわかったの!?」

ジョシュアはキョトンとした。

「すぐわかりましたよ」

オットはフッと口元を緩めて微笑む。

「いくら平民のような服装をされていてもわかるものですよ」

ロランも微笑みながら席に座る。

「そうなんですね~完璧に平民に見えると思ってました」

セシルティアは驚いた顔をしている。

「みんな席についたわね。ワイルのお姉さんはレンが見てくれているから、まずわたくしたちの前の世の話からしましょうか?」

ジョシュアはもう知っているが、知らなかった振りをして俺の顔を見てきた。
俺は前の世の話と10歳でそのことを思い出したと話した。




「はぁ~っリリアナ様前からカッコいいカッコいいと思ってましたが、前の世で女性だったのに第二王子として生きて国王までになられたんですね。
本当にカッコいい!」

セシルティアは無邪気に喜ぶ。

「すぐ信じて受け入れるんだね~」

ジョシュアは隣に座ってるセシルティアの方に顔を向けて苦笑いしながらも優しい眼差しで見やる。

「当然よ!リリアナ様が嘘を言うはずないもの。
ラルフ様もロラン様もリリアナ様の臣下ってだけじゃなくて、リリアナ様のことは特別に思ってることが、何故かわかりました!前の世でそんなことがあったんですね。凄い絆ですよ~」

「そうかしら」

「私にとってサラ様は命の恩人であり、私の全て、私の命でした」

ロランが恥ずかしげもなくそんなことを言うので、俺は照れてしまった。

「ラルフ様、ロラン様、ピート様、レン様、そしてオット様と出会ったんですよね?
後の方との出会いもありそうですよね?」

ジョシュアは大層興味深いって顔をしている。

「それはどうなんだろうね。
ロランはラルフとピートと出会ってずっと仲間を探してきたけど、なかなか見つからなかったのよ、ね。」

「ラルフ様とピート様と出会ってからもしかしたら仲間みんなこの世界にいるかもしれないってずっと探し続けてきたんですけど、何年もまったく見つからなかったです。
それで諦めかけていたところにサラ様に出会ってからレンとオットと出会えたんです。
あとの二人、ハントとブレインも絶対いると思ってます」

ロランは生き生きとして答えた。

「そうですか~リリアナ様の為にみんなが集結していってるみたいで、何だか物語のようですね」

セシルティアは目を輝かせた。


















 
    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

家出を決行した結果

恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。 デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。 自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。 ※なろうさんにも公開しています。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。

四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」 突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?

サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。 「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」 リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。

処理中です...