奴隷はツライよ。

百合子

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5. 閣下の欲しいモノプレゼントは自然と手に入ります

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チャポン……。

チャポン…。


冷んやりとした空間に雫の落ちる音が響いている。



ジャブ

ジャブ

ジャブーン!

アレクセイは長い男らしい足で力強く進み沈んでいく。。






先鋭の護衛数人だけをともない、馬で駆けて数時間。。

キフリンの神殿に到着すると、そのまま出迎えの神官達に
神殿の奥深くの……地下に湧く泉へ通される。


「閣下、お召し物を脱がれ聖水の泉へお入り下さい。
お身体全てを聖水に浸しお清め下さいますように。。

これより先は聖域にて、私どもは入ることを許されておりませぬゆえ、お一人でお進み下さいませ…」



「わかった」



衣服を全て脱ぎ捨てて、深さのある泉の中へ進み頭の先まで浸かり目を閉じる。


水はその空間にそぐうかなりの冷たさだが、不思議と痺れは全く感じない。。
それどころか、徐々に徐々に全身が軽くなってゆくのだ。。


「おいちゃーん!久しぶりやねーっ」
「おいちゃんやっ」
「かなり久しぶりなんや!」


《神の使い達か…?》
意識の中で答える。


「神さんがおいちゃんが心配だって!」
「そうや、おいちゃん心配やったんや!」
「神さんは心配なんや!」


《おい、お前達、、誰がおいちゃんだ…》



「体が気持ちいいやろ!嫌なんもう溶けたでっ!」
「怖いのおらんくなったでーっ」
「怖いのはいらんのや!」


《ああ、体が軽い…悪くない気分だ》



「でもおいちゃん、これは神さんの安息やないよ!祓いやっ」
「そうや!!別なんよこれは違うよっ」
「神さんと僕等がおいちゃんに選んだボインだよ!」


《なんだそれは…私はこれでよい》


「いや、神さんからのプレゼントは今からやっ!」
「おいちゃんのやで!」
「おいちゃんのっ!楽しくなるんよっ」


《…?…………》



……気がつくと泉に体が浮いていた。。



濡れた髪をかきあげながら、泉を後にする。

いったいどれ位いここにいたのか…?

久しぶりに眠れたのか五感が冴えわたっている。。



身を整えて、顔を布で隠し王都へと出立した。

このキフリンは都市と都市を繋ぐメーンの道が多く重なる場所で交易が盛んな土地だ。


活気で溢れている街中を馬でゆっくりと進む。。




「今日の奴隷は2度と会えないとびっきりの上玉だよーっ!!!
寄った寄った!旦那様方!」

貴族、豪商しか入れないエリアの天幕の前で男が叫んでいる。。


……………。。

無意識に馬の歩みをとめて立ち止まる。。


「おいちゃん、天幕が気になるやろっ!」
「安息行かなダメだよっ」
「神さんのプレゼントなんやっ!欲しいだろ。。」


「おっ!旦那方はお貴族様かい?!さあ、見ていってくだされっ!」


気づけば天幕の中に足が向いていた…。
幕の中は供を連れ、自身を飾り立てている男達で溢れている。。


丁寧な細工の台の上に1人、子供の様に小さいくせに凛とした佇まいで怒り顔を浮かべた白い女が立っていた。



ドクッドクッドクッと体をかけ巡る血の音が脳に響く。。




………あの女が欲しい…………。




「欲しいんやろ、おいちゃん。」
「アレはおいちゃんのやで」
「おいちゃんを幸せにするんに神さんが空間から呼んだんや!」




「私が買う」そう声にしていた。



皆が振り返り天幕の中は一瞬でシーンとなる。



「いやいや、旦那様これはオークションでございます!!
入札の金額をおっしゃって頂かないと!」



「…無意味なことだ。サハル、話をつけ連れてこい」


「はい」


幕を出るとき、、強い視線を感じて振りかえる。

女が真っ直ぐに私を見ている。
いや、睨んでいるのか…?

意思の強そうな綺麗なスミレ色の瞳に今までにないほど興奮を覚えた。



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感想 7

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みんなの感想(7件)

クロウ
2020.02.27 クロウ

何ヵ月も更新していないけどブックマークは
付けっぱ。
更新が遅いやつはブックマーク消している私としては珍しい。

とても面白いので続きを見たい。
応援しています!

解除
クロノス
2019.07.24 クロノス

感想失礼しますm(_ _)m
面白く一気に読んでしまいました。
続きがとても気になります。
続き楽しみにしてます(・∀・)人(・∀・)

解除
クロウ
2018.06.11 クロウ

小説家になろうの方も見させて頂きました。

あちらの方の更新は、次はいつくらいになるのでしょうか?

2018.06.12 百合子

クロウ様、コメントありがとうございます(^-^)

他の物語も並行して書いているので更新はいつですとクロウ様にお伝えするのは難しいのですが、次話は出来るだけ早く書かせて頂こうと思っております。

ご感想お寄せいただきありがとうございますm(_ _)m!

解除

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