異世界もふもふのお医者さんっ!! 〜獣人村でみんなから愛されるお医者さん目指します〜

花月夜れん

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第一章

第19話 アルラウネが持ってるって何?

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 日はまだ明るく夜まで時間はありそうだ。

「急ぐぞ。いいか?」
「うん、いいよ」

 少し恥ずかしいけれど、自分の体を小さな背中に押しあてぎゅっと腕を回す。首が苦しくならないように気をつけながら。
 私は今カナタに背負われていた。彼は木々の間を走り抜け、風のように駆ける。
 すごい速さだ。これなら――。

「間に合うかな? カナタ」
「大丈夫、間に合わせる」

 朝までいた丘のふもとにたどり着く。

「あれ?」

 鼻をヒクヒクとさせ、カナタは不思議がる。

「どうしたの?」
「いや、なんか朝の時ほど匂いが……ない」
「え?」

 村に残る人達の分の解毒薬を作るため再び戻ってきたのだ。いくつかまだ残ってはいたけれど、人数によっては足りなくなるかもしれない。
 全部カナタにあげるって言ってたから、もう少しもらっていっても大丈夫だよね。
 そう思ってこの場所にもどってきたのだけれど。

「根こそぎ持ってかれてる……」

 朝まではそこに生えていた解毒草の花畑が何者かによってすべてむしり取られていた。

「そんな……。いったい誰がこんな事」
「おんなじだ。薬草の時と……」
「え?」
「全部全部持っていく……」
「あの、とりあえず、ここが駄目なら他の場所は?」

 今は解毒草探しが先だと思い確認する。だけど、カナタは首を振った。

「朝はあった匂いがどこも消えてる。この近くは全部だ。となると、他の種族や魔物の縄張りに入る事になるかもしれない」
「それじゃあ……」
「今ある分でやるしかない。あとは種がこぼれててこのあたりで再び芽を出すのをまつか……。アルラウネに多すぎるって言わなきゃ良かったな……。誰かに持ってかれるなんて思いもしなかった」

 足りるかな。足りますように。神様にお願いする。

「カナタ、じゃあ帰ろう。ウルズさんも戻ってるかも」
「あぁ、戻るか……。――ハルカっ!!」
「え?」

 大きな影がこちらにやってくるのが見えた。

「また出やがったな! オーク。今度はいったい何の用だ!!」

 姿を消したあのオークがまた私達の前に現れる。

「まさか、この花畑。お前の仕業か!!」

 カナタは叫び、オークに飛びかかった。
 だけど彼は簡単に足を捕まれ逆さ吊り状態にされる。

「放せ! このっ!!」

 このままじゃ、カナタがまた危険な目にあってしまう。だけど、前とは明らかに違う。毒を治した後のあのオークだからか、どこか冷静な感じだ。私はオークに言葉を投げかけた。

「カナタを放して下さい!!」

 すると、オークは私の言葉を聞いてくれカナタの足を掴んでいた手を放してくれた。
 いきなり放されたカナタはくるりと体をねじり着地すると私の元に戻ってきた。

「ハルカ、アイツも魔物使いのスキルで言う事聞かせられるのか?」
「ううん。違うよ。オークさんがお願いを聞いてくれただけ」
「じゃあ、味方ってわけじゃないんだな」

 牙をむき威嚇の体勢を崩さないカナタ。

「ライム、ちょっと押さえてて。カナタを」
『了解ラム』
「なっ!?」

 ぐるぐるとライムがカナタにまとわりつく。

「おぃっ、ハルカ!?」
「オークさん、何か知ってたら教えてくれませんか? ここに何があったか」

 オークの腕があがる。私のいる方向に――。

『そこにあった解毒草、全部風狼族が持っていったゾ』
「え?」

 また風狼族。薬草を持っていったのも確か風狼族って、ライム達が言ってたよね。もしかして、薬の材料をこの辺から根こそぎ持っていってしまってるの?

「オークさんは風狼族の関係者なんですか?」

 風狼族という言葉にカナタが驚く。

『違う。けど、近い。主人の命でここにまた戻った。お前、恩人。急ぎ、ここから去ってくれ』
「え、え?」
「ハルカ、風狼族って何だよ? オークは何て言ってるんだ?」

 よくわからないけど、はやく立ち去れと言うオークの目は真剣だった。

「カナタ、戻りながら説明するから……。村に戻ろう。ライム、もういいよ」
「何だよ!? うー、だけどここにいても意味がないのはわかる。さっさと行こう」
「うん」

 後ろを気にしながら私達は丘から去る。
 オークには主人がいる。主人ということはカナタがいう魔物使いの人がいるって事なのかな。
 いったいあそこで何をするつもりなんだろう。

『解毒草なら、アルラウネが持っている』

 横を通り過ぎる時、オークは教えてくれた。
 アルラウネが持ってる。もしかして、彼女が戻ってきてくれたら解毒草が手に入るのかな。

「カナタ、暗くなっちゃう。急ごう」

 まだまだ時間があると思っていたけれど空が暗くなりだしていた。

「雨がくるか」

 鼻や耳を動かしてカナタが言った。
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