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第二草
4・最初の街へ
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「あー、草うめぇー」
手に抱えた大量の草をもしゃもしゃと食べる手足の長いうさぎは言った。まあ、オレだ。人間だった味覚が少し戻ったのか雑味を感じてしまう。何てこった。
でも、始まりが草食で良かったよ。食い物に困ることがそうそうなさそうだ。草だけに。
肉食獣スタートだったら苦労したんだろうな。じーちゃんがたまにもらしていた苦労話を思い出す。
「あの、ユーリ」
チャミちゃんが呆れたようにオレを見ていた。
「はっ! ごめん。ちょっと魔力の回復を」
回復させて、ここを出る前に蛇避けを作り直していくつもりだった。今度はもう少ししっかりしたものを作ることができる。チャミちゃんにも手伝ってもらった。
「これに魔力をこめてっと」
流れこんだ魔力はすっと雨のように染み込んでいき蛇避けの魔術が完成した。
「これでもう蛇はきませんか?」
「あぁ、でも永続するわけじゃない。何かがこれに触れて形を変えたりすればそこまでだし、気休めだよ」
「それでも、少し平和であれば」
「うん、オレ達と仲良くしてくれた人達だもんな」
「さぁ、行こうか」
「はい」
◇
赤色のラインが続く場所。ここを越えれば、第二の層だ。
オレ達がいた第一の層は、比較的穏やかな場所。今から踏み出すのは、まったく違う世界。
「チャミちゃん、ここからはオレ達みたいな知性を持った者達や凶暴性がつよくなった獣が多くなる。次に進めば進むほど大変になっていく。ごめんね。巻き込んで」
「なぜ、謝るの? 私は後悔なんてしてないよ。あなたを守れるようになったんだから」
彼女がそう言ってくれてオレの心は少し軽くなった。
「オレも後悔はしない。チャミちゃんが言ってくれてるのに、悪いよな」
じーちゃんから聞いた話のままなら、ここから進めば少ししてあそこに辿りつけるはず。
嘘か本当かわからないけれど……。
緑色の木々の中を進む。たまに休憩しながら前に前に進んでいく。
たまにガサリと草が揺れ動物と遭遇したりした。
ただ、警戒していたような怪物には出会わなかった。
「チャミちゃん、下がって!」
「あ、小鳥です」
そんな事が何度か続いたあと、川の流れる音が聞こえてきた。
「川がある……、もうすぐだ」
「何か、あるんですか?」
「うん、街があるんだ。じーちゃんから聞いた通りなら」
川の音を辿っていく。あった。街だ。
「あれが始まりの街ヒーラスター」
「街?」
泥を重ねて作ったような小山。地面には穴がポコポコとあいている。
「そう。あれで立派な街なんだ。人間だった頃見てたのとだいぶ違うけどねー」
「……」
チャミちゃんは前に耳を向けて何かを聞いているようだった。
あー、そういえばオレもうさぎだった。
チャミちゃんのように耳を動かすと、何かが動く音が聞こえてきた。おぉー、なんかすげぇー。あまり気にしていなかったが、かなり遠くの音も拾えるみたいだ。
「良かった。誰かいるみたいだな」
「行くのですか?」
「あぁ、そんなに難しいのはいないって話だけど。変わってないといいなぁ」
入り口らしき場所につくと、狼のようなヤツと狐のようなヤツが門番に立っていた。二人とも布のようなものをまとっていた。ここなら服になるような布を手にいれられそうだ。葉っぱや蔓はさすがに萎びてしまうからな。いくら毛皮で隠れているとはいえ、チャミちゃんは女の子だ。この先、もっと人間の姿に近付くような事があれば恥ずかしいだろう。
近付いて見ると、オレ達よりでかい。上からじろじろと見られることになった。まさか、いきなりぱくっとなんてされないよな。
「あの、ここにロイスさんって人いますか?」
じーちゃんから聞いたこの街で一番偉い人の名前。まだいるのかな。
「○✕△✕△□ロイス?」
「あー……」
ヤバい。言葉がわかんねぇ!!
手に抱えた大量の草をもしゃもしゃと食べる手足の長いうさぎは言った。まあ、オレだ。人間だった味覚が少し戻ったのか雑味を感じてしまう。何てこった。
でも、始まりが草食で良かったよ。食い物に困ることがそうそうなさそうだ。草だけに。
肉食獣スタートだったら苦労したんだろうな。じーちゃんがたまにもらしていた苦労話を思い出す。
「あの、ユーリ」
チャミちゃんが呆れたようにオレを見ていた。
「はっ! ごめん。ちょっと魔力の回復を」
回復させて、ここを出る前に蛇避けを作り直していくつもりだった。今度はもう少ししっかりしたものを作ることができる。チャミちゃんにも手伝ってもらった。
「これに魔力をこめてっと」
流れこんだ魔力はすっと雨のように染み込んでいき蛇避けの魔術が完成した。
「これでもう蛇はきませんか?」
「あぁ、でも永続するわけじゃない。何かがこれに触れて形を変えたりすればそこまでだし、気休めだよ」
「それでも、少し平和であれば」
「うん、オレ達と仲良くしてくれた人達だもんな」
「さぁ、行こうか」
「はい」
◇
赤色のラインが続く場所。ここを越えれば、第二の層だ。
オレ達がいた第一の層は、比較的穏やかな場所。今から踏み出すのは、まったく違う世界。
「チャミちゃん、ここからはオレ達みたいな知性を持った者達や凶暴性がつよくなった獣が多くなる。次に進めば進むほど大変になっていく。ごめんね。巻き込んで」
「なぜ、謝るの? 私は後悔なんてしてないよ。あなたを守れるようになったんだから」
彼女がそう言ってくれてオレの心は少し軽くなった。
「オレも後悔はしない。チャミちゃんが言ってくれてるのに、悪いよな」
じーちゃんから聞いた話のままなら、ここから進めば少ししてあそこに辿りつけるはず。
嘘か本当かわからないけれど……。
緑色の木々の中を進む。たまに休憩しながら前に前に進んでいく。
たまにガサリと草が揺れ動物と遭遇したりした。
ただ、警戒していたような怪物には出会わなかった。
「チャミちゃん、下がって!」
「あ、小鳥です」
そんな事が何度か続いたあと、川の流れる音が聞こえてきた。
「川がある……、もうすぐだ」
「何か、あるんですか?」
「うん、街があるんだ。じーちゃんから聞いた通りなら」
川の音を辿っていく。あった。街だ。
「あれが始まりの街ヒーラスター」
「街?」
泥を重ねて作ったような小山。地面には穴がポコポコとあいている。
「そう。あれで立派な街なんだ。人間だった頃見てたのとだいぶ違うけどねー」
「……」
チャミちゃんは前に耳を向けて何かを聞いているようだった。
あー、そういえばオレもうさぎだった。
チャミちゃんのように耳を動かすと、何かが動く音が聞こえてきた。おぉー、なんかすげぇー。あまり気にしていなかったが、かなり遠くの音も拾えるみたいだ。
「良かった。誰かいるみたいだな」
「行くのですか?」
「あぁ、そんなに難しいのはいないって話だけど。変わってないといいなぁ」
入り口らしき場所につくと、狼のようなヤツと狐のようなヤツが門番に立っていた。二人とも布のようなものをまとっていた。ここなら服になるような布を手にいれられそうだ。葉っぱや蔓はさすがに萎びてしまうからな。いくら毛皮で隠れているとはいえ、チャミちゃんは女の子だ。この先、もっと人間の姿に近付くような事があれば恥ずかしいだろう。
近付いて見ると、オレ達よりでかい。上からじろじろと見られることになった。まさか、いきなりぱくっとなんてされないよな。
「あの、ここにロイスさんって人いますか?」
じーちゃんから聞いたこの街で一番偉い人の名前。まだいるのかな。
「○✕△✕△□ロイス?」
「あー……」
ヤバい。言葉がわかんねぇ!!
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