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第三草
16・ある剣士の記憶
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さっさともとの姿に戻ると、草うめぇぇぇぇぇが戻ってきた。良かった。
「ユーリ、今の――あなたですか?」
「あ、あぁ」
オレは頷く。まあ、あれはあくまでも一人目のオレ。これなら、オレは三人変化出来そうだ。必要があれば剣、魔術、神聖術で使い分け出来るだろう。しまった、草パワーが使えるかは考えていなかったな。
「魔術に剣も出来るなんて、凄いですね」
「あー、いや、その……」
たぶんあの体の時は剣しか出来ないと思うが、期待するチャミちゃんのキラキラする目に負けて、言い出せなかった。
「ユーリぃ、ボクさすがにあのサイズは食べられないよ」
ヨキが涙目で訴えてくるので、追加で小さくカットして必要分だけ運び、少し離れた場所で火を起こして焼き始めた。
味付けは、草の実。ぴりっとした香辛料として使えるものをちょうど見つけたので採取してその辺の石で砕き肉にふりかけた。あとはコイツに生えてたキノコを薄切りにして張り付ける。香り付けだ。
うーん、草最強。
これまたちょうどいいところに臭みがとれる煙が、焼くことで出る草があった。
いい香りの草だ。
あぁ、苔! あれはあぶって最後にパラパラ振りかければ塩気を感じるヤツだった。ちょうどいい。
肉が焼かれるために背負ってきたのか? なんてことはないだろうがとても都合が良かった。
「いい香りですね」
「はやく、はやく!!」
って、なんでオレがいつの間にか炊事担当に!?
いや、まあ出来るぜ。三回も人生歩んでれば、旅やら自炊やらしてたからな。
わくわくと待たれる。あぁ、悪くないな。
『美味しいです、――――。交代で作るのはどうですか?』
『はぁ? オレは――。いいよ、ただし味の保証はしないからな』
『了解』
『あー、ずるい。あたしもいれてよぉ』
『お、なんだ。オレ様も話にいれろよ』
懐かしい、イルア……仲間達との記憶。
「ユーリ、焦げてる!!」
ヨキの声ではっと我に返る。危なく失敗するところだった。魔術で起こした炎を調節して小さくする。
「そろそろいいだろう」
こんがりといい色になり、なかなか旨そうだ。だが、やはりこの体では草の方が旨そうに見えてしまう。
すんすんと匂いを嗅ぐがいまいち食欲がわかない。本体より焼けた草の方が旨そうに見えてしまう不思議。
「いっただきますっ」
ヨキががぶりと噛みつく。お、おぅ。見事に噛みちぎられた肉には鋭い歯形が残っていた。その歯がオレたちに向かう事がないように祈ろう。
「美味しいよ、チャミ! ユーリ! 二人も食べなよ!」
「あ、私は……」
遠慮気味のチャミちゃんにオレは言った。
「人間になってれば味覚もたぶん人間だ。途中で戻らない事をおすすめするが」
「本当ですか!?」
チャミちゃんはすぐに変化の術を使って人の姿になっていた。
日の光で金に輝く髪。森の中にある湖のように緑にも青にも見える瞳。
「ユーリ!! すごい発見です。良かった。最近草の味が変わってしまって気になっていたんです」
チャミちゃんも同じだったか。草の味が楽しめるのは今だけなのかな。先にすすめば進むほど人に近くなっていくんだろうか。
「美味しい」
「だよな。ロイスにも食べさせたいなぁ。あ、でも食べるかな」
持ってきた分を二人はぺろりと食べてしまった。美味しそうに食べる二人をオレは笑いながら見ていた。
「あ、ユーリの分は」
「オレ? オレはこれで!」
やっぱり、草うめぇぇぇぇぇ。
肉なんて、なかった。そうだ、なかったんだ。
「ユーリ、今の――あなたですか?」
「あ、あぁ」
オレは頷く。まあ、あれはあくまでも一人目のオレ。これなら、オレは三人変化出来そうだ。必要があれば剣、魔術、神聖術で使い分け出来るだろう。しまった、草パワーが使えるかは考えていなかったな。
「魔術に剣も出来るなんて、凄いですね」
「あー、いや、その……」
たぶんあの体の時は剣しか出来ないと思うが、期待するチャミちゃんのキラキラする目に負けて、言い出せなかった。
「ユーリぃ、ボクさすがにあのサイズは食べられないよ」
ヨキが涙目で訴えてくるので、追加で小さくカットして必要分だけ運び、少し離れた場所で火を起こして焼き始めた。
味付けは、草の実。ぴりっとした香辛料として使えるものをちょうど見つけたので採取してその辺の石で砕き肉にふりかけた。あとはコイツに生えてたキノコを薄切りにして張り付ける。香り付けだ。
うーん、草最強。
これまたちょうどいいところに臭みがとれる煙が、焼くことで出る草があった。
いい香りの草だ。
あぁ、苔! あれはあぶって最後にパラパラ振りかければ塩気を感じるヤツだった。ちょうどいい。
肉が焼かれるために背負ってきたのか? なんてことはないだろうがとても都合が良かった。
「いい香りですね」
「はやく、はやく!!」
って、なんでオレがいつの間にか炊事担当に!?
いや、まあ出来るぜ。三回も人生歩んでれば、旅やら自炊やらしてたからな。
わくわくと待たれる。あぁ、悪くないな。
『美味しいです、――――。交代で作るのはどうですか?』
『はぁ? オレは――。いいよ、ただし味の保証はしないからな』
『了解』
『あー、ずるい。あたしもいれてよぉ』
『お、なんだ。オレ様も話にいれろよ』
懐かしい、イルア……仲間達との記憶。
「ユーリ、焦げてる!!」
ヨキの声ではっと我に返る。危なく失敗するところだった。魔術で起こした炎を調節して小さくする。
「そろそろいいだろう」
こんがりといい色になり、なかなか旨そうだ。だが、やはりこの体では草の方が旨そうに見えてしまう。
すんすんと匂いを嗅ぐがいまいち食欲がわかない。本体より焼けた草の方が旨そうに見えてしまう不思議。
「いっただきますっ」
ヨキががぶりと噛みつく。お、おぅ。見事に噛みちぎられた肉には鋭い歯形が残っていた。その歯がオレたちに向かう事がないように祈ろう。
「美味しいよ、チャミ! ユーリ! 二人も食べなよ!」
「あ、私は……」
遠慮気味のチャミちゃんにオレは言った。
「人間になってれば味覚もたぶん人間だ。途中で戻らない事をおすすめするが」
「本当ですか!?」
チャミちゃんはすぐに変化の術を使って人の姿になっていた。
日の光で金に輝く髪。森の中にある湖のように緑にも青にも見える瞳。
「ユーリ!! すごい発見です。良かった。最近草の味が変わってしまって気になっていたんです」
チャミちゃんも同じだったか。草の味が楽しめるのは今だけなのかな。先にすすめば進むほど人に近くなっていくんだろうか。
「美味しい」
「だよな。ロイスにも食べさせたいなぁ。あ、でも食べるかな」
持ってきた分を二人はぺろりと食べてしまった。美味しそうに食べる二人をオレは笑いながら見ていた。
「あ、ユーリの分は」
「オレ? オレはこれで!」
やっぱり、草うめぇぇぇぇぇ。
肉なんて、なかった。そうだ、なかったんだ。
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