もふもふうさぎの元最強魔術師~無実追放されたオレ。本当は草うめぇぇして引きこもっていたいけど……。草ぱわーで大事な人を守り、地上を目指す~

花月夜れん

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第四草

23・青色の魔術師

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 まったく、どうかしている。過去にとらわれすぎている。そうだ、オレはもうあの頃のオレじゃない。
 今は白うさぎ生を送るユーリなんだ。
 過去を振り返ったところで彼女達が戻ってくる訳じゃない。今は前だけ向いて進まないと!!

 砂に穴があった。上に砂がかかっていて気がつきにくいが、中に続く穴だ。

「ヨキ!!」

 蓋になっていた砂を蹴り出し中へと突入する。
 まわりを何かで固めてあるのか砂が崩れてくることはなかった。

「ユーリ!!」

 ヨキの声がした。オレはホッとする。
 急いで彼女を取り戻し、チャミちゃんの元に行かないと。
 大きな部屋に出た。その中に何人かがいる。

「ごめん。ごめんな!!」

 ナツメが老婆に抱きついていた。

「ヨキ……、フィン……」

 フィンがヨキの腕を引っ張っていた。

「アイツいなくなった?」

 フィンが聞くのでオレは頷いた。アイツとはあの靄のことだろう。

「あぁ、だけどチャミちゃん……仲間が連れていかれたみたいなんだ」

 手がヨキから離れた。もしかして、彼女はヨキを助けてくれたのだろうか。

「チャミが!? 行かなきゃ」
「あぁ! それで」
「ダメ!! 危ない。アイツらは吸えなくなったら返してくれる。だから、諦めて」

 フィンは知っているのだろうか。拐った犯人を。

「アイツらということは複数いるのか?」

 こくりと頷くフィンは後ろにいる母親らしき人物を見た。

「最初からいたのは夫と一緒にきた男でした。それから増えたのが……私の夫と、彼の娘です」

 フィンの母親はそう言って、ナツメの方へと視線を向けた。

「他にもいるのかは分かりません。だけど、危険です」
「でも、いかないと。チャミちゃんはオレの大切な人だから」
「ヨキちゃんもいっちゃうの?」

 フィンが止めてくる。ヨキが嫌だと言ったらどうしようもなくなってしまう。チャミちゃんと違って、ヨキは出会って日が浅い。

「行くよ! 友達は大事にするってロイスとの約束だから」

 オレの考えを軽々と押しのけ、ヨキは返事をする。

「行こう、ユーリ。場所はわかるの?」
「あぁ、また空を飛ばないとらしい」
「あはは、じゃあ練習も兼ねてだね!」

 ヨキは急いで出ていこうとする。

「すみません、ナツメさんをよろしくお願いします。戻ってきたら、お話聞かせて下さい」

 もときた道を戻り、空を見上げる。
 白い靄が固まっている場所があった。

「あそこにチャミミがいるなの」

 フェリが声だけで教えてくれた。

「ヨキ、今から少し姿が変わるがあとで説明するから急いでくれよ!!」
「ん? 了解」

 オレは魔術師のオレを思い出す。ここに突き落とされたあの日のオレを。

「あまりしない方がいいなの」

 フェリが言った。だけど、オレはチャミちゃんを助ける為には必要だと判断した。

変化術ディープインサイド

 耳がなくなった。かわりに体の中を流れる魔力流が強くなった。魔術師だった頃のオレになったはずだ。青の魔術師と言われた、青い髪、青い瞳のオレに。

風舞ウィンドダンス

 ヨキの翼に風の魔術をかける。うさぎの時よりも正確に魔術が使える。
 ただ、草ブーストはやはり無理そうだった。

「ヨキ、よろしく」

 びっくりして目を真ん丸くしていたヨキは、はっと気がついたようにうんうんと頷いて飛び上がった。

「任せて!」

 ヨキも姿をドラゴンに変化する。軽く咥えられその背に乗せられた。
 待ってて、チャミちゃん。今行くから!!
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