もふもふうさぎの元最強魔術師~無実追放されたオレ。本当は草うめぇぇして引きこもっていたいけど……。草ぱわーで大事な人を守り、地上を目指す~

花月夜れん

文字の大きさ
22 / 46
第四草

22・提示された条件

しおりを挟む
 赤い光は人の集まる場所にある。引き寄せられるように近くに住みだすのか、人の集まる場所に光が出現するのか――。
 つまり巣だったり、街だったり、そうたぶんだけどこのあたりにもあるはずなんだ。
 ついでにではないが、一緒に探すなら別にいいかと家族探しに付き合っている。

「この辺だったよな」

 昨日釣りをした場所。オレがあそこに座ってた。
 チャミちゃんが大きな葉をちぎった植物もそこにある。

「はい、ここですね」
「フィンはいないね」

 昨日は夕方だったからな。曖昧な約束で朝早くからいるとは限らないよな。

「フィンー! お願いだ!! いたら返事してくれぇ!!」

 ナツメが叫ぶ。オレは怪物が出るかもしれないと耳を立て警戒した。

「……つ……」

 小さな小さな声が波の音の間に聞こえた。
 チャミちゃんにも確認してほしくて手招きしたその時――。
 ぶわっと白い靄が広がった。オレは目の前にいるはずのチャミちゃんに手を伸ばす。
 間に合えっっ!! お願いだから、消えないでくれ。
 目の前からいなくなるのはもう嫌だ。

『――君には失望したよ。もし――に会いたければい上がってこい』

 最後に会った時に喧嘩した。彼女は泣いていた。彼女の父親から会うために出された条件は生還者になれと言うことだった。

『会いにはきてくれないんだな』

 ……そうだ。なんで忘れていたんだろう。
 地上にいる彼女はまだ泣いているのか、それとも可笑しくて笑っているのだろうか……。

「チャミちゃん!!」
「もう遅いなの」

 オレの伸ばした手に手を添えたのはフェリだった。

「チャミミもヨキもそこにいないなの」
「いるだろ!! だってさっきまでそこに!!」

 守るって決めたのに。どうしていなくなるんだ。どうしてこの手からこぼれ落ちてしまうんだ。
 チャミちゃんを探して手を必死に伸ばす。

「チャミミもヨキも生きてるの。だから今は静かにするの」

 ぺちんっと小さな手で頬を叩かれた。

「フェリはガイドだから、……ユーリに死なれたら困るの。死ぬ時は一緒なのだから」
「死ぬ時は一緒?」
「ガイドは案内する人が死んだら、一緒に死ぬなの」

 オレは冷静さを少し取り戻す。
 静かにするとフェリがしゃがむように言った。

「靄が晴れていく」
「去ったなの」

 そこにはオレたち以外誰もいなかった。

「フェリ、あれが何かわかるのか!? チャミちゃんとヨキはどこに!?」
「少し待つなの。ガイドのいない男はわからないけどあとはわかるなの」

 ナツメまでいなくなっていた。

「お願いだ!! はやく」

 急いで取り戻さないと。会えなくなる。そんな焦燥感が襲ってくる。

「あっちにヨキがいるなの」
「チャミちゃんは!?」
「……ヨキを先に助けた方がいいなの」
「どうして!!」
「チャミミは、空に捕まってるなの。ヨキが一緒にいないとたぶん助けられない」

 フェリは空を見ながらそう言った。彼女が目を向けた先には先ほどの靄と大きな魚の影が見えた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。 そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。 しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。 そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした

夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。 しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。 やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。 一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。 これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!

追放されたので辺境でスローライフしてたら、いつの間にか世界最強の無自覚賢者になっていて元婚約者たちが土下座してきた件

にゃ-さん
ファンタジー
王都で「無能」と蔑まれ、婚約破棄と追放を言い渡された青年リオン。 唯一の取り柄は、古代語でびっしり書かれたボロ本を黙々と読み続けることだけ。 辺境で静かに暮らすはずが、その本が実は「失われた大魔導書」だったことから、世界の常識がひっくり返る。 本人は「ちょっと魔法が得意なだけ」と思っているのに、 ・竜を一撃で黙らせ ・災厄級ダンジョンを散歩感覚で踏破し ・国家レベルの結界を片手間で張り直し 気づけば、訳あり美少女たちに囲まれたハーレム状態に。 やがて、かつて彼を笑い、切り捨てた王都の貴族や元仲間たちが、 国家存亡の危機を前に「助けてくれ」と縋りついてくる。 だがリオンは、領民と仲間の笑顔を守るためだけに、淡々と「本気」を解放していくのだった——。 無自覚最強×追放×ざまぁ×ハーレム。 辺境から始まる、ゆるくて激しいファンタジー無双譚!

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

処理中です...