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第五草
37・親玉?
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「まてー!!」
「とまれぇぇぇぇ!!」
すばしっこく走る小動物。足がはやすぎる。
「精霊術で強化しているのに追いつけません」
「いや、これなら」
オレは全力で飛びかかる。
「よっしゃー、捕まえたぞ! って、あれ?」
「ユーリ捕まえました!!」
「ユーリ! 捕まえたよ!」
三人で顔を見合わせる。それぞれの手にいる。
「増えた?」
「これだけいるなら一本くらい……」
「あ、駄目です。ユーリ」
かぷりと噛みつく。ふむ、これは!
「あぁー、もう! なんで食べるんですかぁ」
何でって、そこに草があるからだよ! それより……。
「チャミちゃん、こいつら」
「あ、見て。ユーリ! おっきいのー」
「大きいの?」
緑色のふさふさがたたずんでいた。これはまさか、いやいや、まさかなぁ。
「ぷぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
親玉らしきそれは大きな鳴き声を出した。
「怒ってます! 怒ってますよー!」
「いやいや、草だろ? オレ達は草集めしてたよな?」
「そうですけど、でも怒ってますよー!!」
草。あれは草だ!!
「とりあえず一度、あちらに返してみては」
「いやー、あれは無理だろ」
とりあえず一匹離してみた。そのまま、そいつは親玉の中に吸い込まれる様に消えた。
だが、怒りの声は続いている。
「草を集めなきゃ、許可がもらえないんだ。二人とも、ソレしっかり持っててくれ」
オレは先ほど口にした草を思い出しながら、魔術を発動させる。
「眠りの歌」
回収出来るなら大きな方も回収したいが、三人では運びきれないだろう。こいつは斬り刻むとすぐ変色して食べられなくなるらしいからな。
特殊な手法で調理すると聞いていた。
実際小さな方は噛じった場所が茶色くなり、口の中には妙な味が広がった。
眠る草と魔術の組み合わせはどうやら効果があったらしい。
「止まった?」
「止まりましたね」
ほっとするのもつかの間。小さい方が二人の腕の中で暴れ出した。
「みぇぇぇぇぇぇぇぇ」
鳴き声に反応して、大きな方も動き出した。
これは終わらないな。
「チャミちゃん、もう一回かけたら全力離脱。その後小さいやつにもかけるから」
「了解です!!」
こうしてオレ達は大きなのを諦め、小さな二匹を手に一度街に戻ることにした。
「ウィル、あいつにぶつからないといいけど」
ヨキがそんな心配をしていた。
「そうだな。魔術が使えないって言ってたからな」
姉と弟。なぜ彼らはこの草を集めてるのか。もし、次に会うことがあったら聞いてみてもいいかもしれない。
「ユーリ、もし次会ったらなんですが――」
ほらね。優しいチャミちゃんはそうやってすぐ手を差し出そうとするから。
「とまれぇぇぇぇ!!」
すばしっこく走る小動物。足がはやすぎる。
「精霊術で強化しているのに追いつけません」
「いや、これなら」
オレは全力で飛びかかる。
「よっしゃー、捕まえたぞ! って、あれ?」
「ユーリ捕まえました!!」
「ユーリ! 捕まえたよ!」
三人で顔を見合わせる。それぞれの手にいる。
「増えた?」
「これだけいるなら一本くらい……」
「あ、駄目です。ユーリ」
かぷりと噛みつく。ふむ、これは!
「あぁー、もう! なんで食べるんですかぁ」
何でって、そこに草があるからだよ! それより……。
「チャミちゃん、こいつら」
「あ、見て。ユーリ! おっきいのー」
「大きいの?」
緑色のふさふさがたたずんでいた。これはまさか、いやいや、まさかなぁ。
「ぷぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
親玉らしきそれは大きな鳴き声を出した。
「怒ってます! 怒ってますよー!」
「いやいや、草だろ? オレ達は草集めしてたよな?」
「そうですけど、でも怒ってますよー!!」
草。あれは草だ!!
「とりあえず一度、あちらに返してみては」
「いやー、あれは無理だろ」
とりあえず一匹離してみた。そのまま、そいつは親玉の中に吸い込まれる様に消えた。
だが、怒りの声は続いている。
「草を集めなきゃ、許可がもらえないんだ。二人とも、ソレしっかり持っててくれ」
オレは先ほど口にした草を思い出しながら、魔術を発動させる。
「眠りの歌」
回収出来るなら大きな方も回収したいが、三人では運びきれないだろう。こいつは斬り刻むとすぐ変色して食べられなくなるらしいからな。
特殊な手法で調理すると聞いていた。
実際小さな方は噛じった場所が茶色くなり、口の中には妙な味が広がった。
眠る草と魔術の組み合わせはどうやら効果があったらしい。
「止まった?」
「止まりましたね」
ほっとするのもつかの間。小さい方が二人の腕の中で暴れ出した。
「みぇぇぇぇぇぇぇぇ」
鳴き声に反応して、大きな方も動き出した。
これは終わらないな。
「チャミちゃん、もう一回かけたら全力離脱。その後小さいやつにもかけるから」
「了解です!!」
こうしてオレ達は大きなのを諦め、小さな二匹を手に一度街に戻ることにした。
「ウィル、あいつにぶつからないといいけど」
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ほらね。優しいチャミちゃんはそうやってすぐ手を差し出そうとするから。
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