37 / 46
第五草
37・親玉?
しおりを挟む
「まてー!!」
「とまれぇぇぇぇ!!」
すばしっこく走る小動物。足がはやすぎる。
「精霊術で強化しているのに追いつけません」
「いや、これなら」
オレは全力で飛びかかる。
「よっしゃー、捕まえたぞ! って、あれ?」
「ユーリ捕まえました!!」
「ユーリ! 捕まえたよ!」
三人で顔を見合わせる。それぞれの手にいる。
「増えた?」
「これだけいるなら一本くらい……」
「あ、駄目です。ユーリ」
かぷりと噛みつく。ふむ、これは!
「あぁー、もう! なんで食べるんですかぁ」
何でって、そこに草があるからだよ! それより……。
「チャミちゃん、こいつら」
「あ、見て。ユーリ! おっきいのー」
「大きいの?」
緑色のふさふさがたたずんでいた。これはまさか、いやいや、まさかなぁ。
「ぷぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
親玉らしきそれは大きな鳴き声を出した。
「怒ってます! 怒ってますよー!」
「いやいや、草だろ? オレ達は草集めしてたよな?」
「そうですけど、でも怒ってますよー!!」
草。あれは草だ!!
「とりあえず一度、あちらに返してみては」
「いやー、あれは無理だろ」
とりあえず一匹離してみた。そのまま、そいつは親玉の中に吸い込まれる様に消えた。
だが、怒りの声は続いている。
「草を集めなきゃ、許可がもらえないんだ。二人とも、ソレしっかり持っててくれ」
オレは先ほど口にした草を思い出しながら、魔術を発動させる。
「眠りの歌」
回収出来るなら大きな方も回収したいが、三人では運びきれないだろう。こいつは斬り刻むとすぐ変色して食べられなくなるらしいからな。
特殊な手法で調理すると聞いていた。
実際小さな方は噛じった場所が茶色くなり、口の中には妙な味が広がった。
眠る草と魔術の組み合わせはどうやら効果があったらしい。
「止まった?」
「止まりましたね」
ほっとするのもつかの間。小さい方が二人の腕の中で暴れ出した。
「みぇぇぇぇぇぇぇぇ」
鳴き声に反応して、大きな方も動き出した。
これは終わらないな。
「チャミちゃん、もう一回かけたら全力離脱。その後小さいやつにもかけるから」
「了解です!!」
こうしてオレ達は大きなのを諦め、小さな二匹を手に一度街に戻ることにした。
「ウィル、あいつにぶつからないといいけど」
ヨキがそんな心配をしていた。
「そうだな。魔術が使えないって言ってたからな」
姉と弟。なぜ彼らはこの草を集めてるのか。もし、次に会うことがあったら聞いてみてもいいかもしれない。
「ユーリ、もし次会ったらなんですが――」
ほらね。優しいチャミちゃんはそうやってすぐ手を差し出そうとするから。
「とまれぇぇぇぇ!!」
すばしっこく走る小動物。足がはやすぎる。
「精霊術で強化しているのに追いつけません」
「いや、これなら」
オレは全力で飛びかかる。
「よっしゃー、捕まえたぞ! って、あれ?」
「ユーリ捕まえました!!」
「ユーリ! 捕まえたよ!」
三人で顔を見合わせる。それぞれの手にいる。
「増えた?」
「これだけいるなら一本くらい……」
「あ、駄目です。ユーリ」
かぷりと噛みつく。ふむ、これは!
「あぁー、もう! なんで食べるんですかぁ」
何でって、そこに草があるからだよ! それより……。
「チャミちゃん、こいつら」
「あ、見て。ユーリ! おっきいのー」
「大きいの?」
緑色のふさふさがたたずんでいた。これはまさか、いやいや、まさかなぁ。
「ぷぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
親玉らしきそれは大きな鳴き声を出した。
「怒ってます! 怒ってますよー!」
「いやいや、草だろ? オレ達は草集めしてたよな?」
「そうですけど、でも怒ってますよー!!」
草。あれは草だ!!
「とりあえず一度、あちらに返してみては」
「いやー、あれは無理だろ」
とりあえず一匹離してみた。そのまま、そいつは親玉の中に吸い込まれる様に消えた。
だが、怒りの声は続いている。
「草を集めなきゃ、許可がもらえないんだ。二人とも、ソレしっかり持っててくれ」
オレは先ほど口にした草を思い出しながら、魔術を発動させる。
「眠りの歌」
回収出来るなら大きな方も回収したいが、三人では運びきれないだろう。こいつは斬り刻むとすぐ変色して食べられなくなるらしいからな。
特殊な手法で調理すると聞いていた。
実際小さな方は噛じった場所が茶色くなり、口の中には妙な味が広がった。
眠る草と魔術の組み合わせはどうやら効果があったらしい。
「止まった?」
「止まりましたね」
ほっとするのもつかの間。小さい方が二人の腕の中で暴れ出した。
「みぇぇぇぇぇぇぇぇ」
鳴き声に反応して、大きな方も動き出した。
これは終わらないな。
「チャミちゃん、もう一回かけたら全力離脱。その後小さいやつにもかけるから」
「了解です!!」
こうしてオレ達は大きなのを諦め、小さな二匹を手に一度街に戻ることにした。
「ウィル、あいつにぶつからないといいけど」
ヨキがそんな心配をしていた。
「そうだな。魔術が使えないって言ってたからな」
姉と弟。なぜ彼らはこの草を集めてるのか。もし、次に会うことがあったら聞いてみてもいいかもしれない。
「ユーリ、もし次会ったらなんですが――」
ほらね。優しいチャミちゃんはそうやってすぐ手を差し出そうとするから。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました
黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった!
これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。
【状態異常無効】の俺、呪われた秘境に捨てられたけど、毒沼はただの温泉だし、呪いの果実は極上の美味でした
夏見ナイ
ファンタジー
支援術師ルインは【状態異常無効】という地味なスキルしか持たないことから、パーティを追放され、生きては帰れない『魔瘴の森』に捨てられてしまう。
しかし、彼にとってそこは楽園だった!致死性の毒沼は極上の温泉に、呪いの果実は栄養満点の美味に。唯一無二のスキルで死の土地を快適な拠点に変え、自由気ままなスローライフを満喫する。
やがて呪いで石化したエルフの少女を救い、もふもふの神獣を仲間に加え、彼の楽園はさらに賑やかになっていく。
一方、ルインを捨てた元パーティは崩壊寸前で……。
これは、追放された青年が、意図せず世界を救う拠点を作り上げてしまう、勘違い無自覚スローライフ・ファンタジー!
勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。
そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。
しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。
そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。
追放されたので辺境でスローライフしてたら、いつの間にか世界最強の無自覚賢者になっていて元婚約者たちが土下座してきた件
にゃ-さん
ファンタジー
王都で「無能」と蔑まれ、婚約破棄と追放を言い渡された青年リオン。
唯一の取り柄は、古代語でびっしり書かれたボロ本を黙々と読み続けることだけ。
辺境で静かに暮らすはずが、その本が実は「失われた大魔導書」だったことから、世界の常識がひっくり返る。
本人は「ちょっと魔法が得意なだけ」と思っているのに、
・竜を一撃で黙らせ
・災厄級ダンジョンを散歩感覚で踏破し
・国家レベルの結界を片手間で張り直し
気づけば、訳あり美少女たちに囲まれたハーレム状態に。
やがて、かつて彼を笑い、切り捨てた王都の貴族や元仲間たちが、
国家存亡の危機を前に「助けてくれ」と縋りついてくる。
だがリオンは、領民と仲間の笑顔を守るためだけに、淡々と「本気」を解放していくのだった——。
無自覚最強×追放×ざまぁ×ハーレム。
辺境から始まる、ゆるくて激しいファンタジー無双譚!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる