もふもふうさぎの元最強魔術師~無実追放されたオレ。本当は草うめぇぇして引きこもっていたいけど……。草ぱわーで大事な人を守り、地上を目指す~

花月夜れん

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第五草

38・囚われの女の子

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「はぁ、そういうことか……」

 オレ達は別々の部屋に分けられてしまったようだ。
 縛られていないが、いきなり暴れてその罰だと二人に何かされても困るので、少し確認をとる。

「チャミちゃんー! ヨキー!」

 返事はなかった。
 二人は音に反応する草ヒアーイヤーを持っているからこちらにと案内されるまま別の場所に行ってしまい、残されたオレは手伝って欲しいと、アレクの屋敷の地下へと連れてこられた。
 ここじゃあ、人を簡単に信用しないほうがいいな。
 わかってるんだが、チャミちゃんと一緒にいるともう一度人を信じたくなる。だが、その結果がこれか。

「だから来るなと言ったのに」

 少し離れた場所から声がした。

「お前は、……ウィルの姉か?」

 来るなと叫んだ赤と青の鳥女。

「ウィルに会ったのか。弟は元気にしてたか?」
「元気というか、ボロボロになりながら草集め……、草に突っ込んでたな」
「良かった、生きてるんだな。私は久しく顔を見れていないんだ」
「そうなのか」
「あぁ。弟の話が聞けて良かった。私はウィナ。お前は羽のある方か? 耳の大きな方か?」

 そうか、オレの姿が見えないからヨキかオレかわからないのか。だいぶ見慣れて、ヨキは女の子だと認識出来ていたが、初見だと男の子に見えるんだな。

「耳の大きい方だ。ちなみに羽のある黒髪は女の子だからな」
「へぇ。で、アンタは?」
「あぁ、オレはユーリだ。ウィナは、ここから出られるのに逃げないのか?」

 少しの沈黙。たぶん、答えはわかっている。

「私が逃げれば、弟が殺される」
「だよな。向こうもそんな感じだった」
「……置いて逃げてくれればいいのに」
「向こうもそう思ってるだろうな」
「ははは、それで二人ともこのザマじゃあ、本当ばかだよなー」

 オレ達もたぶんそうやって、何かをさせられるんだろう。
 ヨキはまだ魔術が上手く使えない。ウィルと同じように……。

「アンタも大事な人と一緒だったのか?」
「あぁ」

 チャミちゃん――、彼女だけでも助けに行かないと。
 ヨキは……。ヨキは……。

『ユーリ!』

 ……あの信頼してくれる目を思い出してしまう。そうだ、彼女も、もうオレの大切な人だ。

「二人、助けなきゃいけない人がいる」
「助ける? どうやって逃げて、合流するつもりだ? その間に殺されるかもしれないのに」
「まあ、なんとかなるって」

 オレはそう言って魔術をいくつか発動させた。
 小さな小さな魔術を。

「魔術で攻撃してもこの柵はびくともしないよ」
「攻撃じゃない」

 チャミちゃんのところに飛んでいけ。
 オレは魔力で形づくった小動物を隙間から外へと走らせた。
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