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第一章 聖女と竜
第4話 ありがとうって嬉しい
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前回のあらすじ。
私、瘴気浄化だけじゃなくて魔物を人に変化させちゃう能力があった?
じゃなくてっ!!
「シル。シルだっ!! お前も元の姿にもどれるなんて」
「ブレイド様ぁぁぁぁ」
かっこいい男の人って感じのブレイドと美少女に見えなくもない細身の男の子が森の緑色を背負って抱き合ってる。まるで一枚の絵画みたい。
でもなくて……。
「エマ、すごいなっ。聖女様はそんなことも出来たのか!?」
さっきからルニアにぐわんぐわんと振り回されてるんですけど。そして聞かれてるんですけど。私、瘴気の浄化しかしたことないから、自分でもびっくりしてるんだけど。でも、やっぱりそうなのかな?
「あ、あのー、シルってこっちの姿がシルなんですか?」
我ながらおかしな事を聞いている気もする。
「はい! シルです。少し髪がボサボサですが……。人間だ……」
嬉しそうに笑う可愛い男の子。彼が先ほどまで緑色の肌をしていたなんて誰が信じるだろう。どこにもそのあとは残っていない。
シルが離れたからか、ブレイドが立ち上がった。そしてそのまま、なんだか近付いてきてません? ちかっ、ちかい!!
ブレイドを改めて見る。黒い衣装をまとった青年。身長はだいぶ高い。手……、先ほど人ならざる姿に変化していた箇所は人の姿に戻っている。
金色の瞳がじっと見つめてくる。
「なに?」
負けじと見上げる私の手を彼が持ち上げて唇を落とされた。
とたん、顔が熱くなる。婚約者にだってこんなことされたことない。ないのよ!! だって私、王子とは本当に何も……、何もなかったから。
「あぁぁぁのぉぉっ、な、な、なぁぁぁ!?」
聞いた通り、私の頭の中は混乱中。なのに、ブレイドったらそのまま話を続けるの。もう、この熱い顔なんとかしてから話してよって思ったわ。
「先ほどの非礼を詫びる。本当にすまなかった。ボクの竜化だけでなくシルの魔物化まで解いてもらって、なんと礼を言えばいいだろう。それなのに、出会った時ボクは酷いことを」
あー、うん。痛かった。婚約者から婚約破棄された理由であり傷心の原因でもあるこの体。それを思いっきりえぐってくれたものね。でも、私だっていきなり殴りかかったし(パンチ力なんてゼロだろうけど)、何も知らなかっただけだし、うん。
少しずつ頭が冷静になっていく。よし、今ならと手の自由を取り返した。まだ、ブレイドが触れた部分が熱を持っている。
「あの、私も――」
「あー、それなんだけどさ。ブレイド、さっきも言ったけど」
ルニアが私を遮り話し出す。さっきも言った? 何の話?
今、私が喋ろうとしてたのだけど。そう思ってルニアの方を向くと任せとけって彼女の顔に書いてあった。
何を!?
「もうすぐ、アレが来るよな? だから、お願いしていいかな」
だから、何を? ルニアは大きな胸をブレイドにつきつける。スタイルがよくて、そのお胸は凶器ではないでしょうか。羨ましくなんてっ……。
私がぼうっと二人のやり取りを見ていると、シルが間に入ってきてもう一度私の手をブレイドの手の上へとのせ直した。
「あ、あぁ、そうだった。まずはその話置いておこう。きちんと感謝を伝えさせてくれ」
「えっと……」
感謝? 感謝って?
「ありがとう」
ブレイドの言葉が耳に届いたその時、私の目から大きな涙が溢れた。
「お、おぃ。どうした?」
「ごめんなさい。……私、わたし……」
焦る彼に悪いと思いつつ、私の涙は止まらなかった。
祈りを捧げるのは、私にとってしなくてはいけないことで褒められたり、ありがたがられることなんて、なくて……。
ありがとうなんて、あの人からも貰ったことなくて……。
「……ありがとうってこんなに嬉しいんだね」
感謝されたかったわけじゃない。だけど、言葉で伝えてくれるのがこんなに嬉しいなんて知らなかった。
ありがとう。私も伝えようと思った。教えてくれたあなたに。
「あの……」
なのに、私は言葉を発する前にぱたりと倒れてしまった。恥ずかしいけれど、お腹がすきすぎて……。
私、瘴気浄化だけじゃなくて魔物を人に変化させちゃう能力があった?
じゃなくてっ!!
「シル。シルだっ!! お前も元の姿にもどれるなんて」
「ブレイド様ぁぁぁぁ」
かっこいい男の人って感じのブレイドと美少女に見えなくもない細身の男の子が森の緑色を背負って抱き合ってる。まるで一枚の絵画みたい。
でもなくて……。
「エマ、すごいなっ。聖女様はそんなことも出来たのか!?」
さっきからルニアにぐわんぐわんと振り回されてるんですけど。そして聞かれてるんですけど。私、瘴気の浄化しかしたことないから、自分でもびっくりしてるんだけど。でも、やっぱりそうなのかな?
「あ、あのー、シルってこっちの姿がシルなんですか?」
我ながらおかしな事を聞いている気もする。
「はい! シルです。少し髪がボサボサですが……。人間だ……」
嬉しそうに笑う可愛い男の子。彼が先ほどまで緑色の肌をしていたなんて誰が信じるだろう。どこにもそのあとは残っていない。
シルが離れたからか、ブレイドが立ち上がった。そしてそのまま、なんだか近付いてきてません? ちかっ、ちかい!!
ブレイドを改めて見る。黒い衣装をまとった青年。身長はだいぶ高い。手……、先ほど人ならざる姿に変化していた箇所は人の姿に戻っている。
金色の瞳がじっと見つめてくる。
「なに?」
負けじと見上げる私の手を彼が持ち上げて唇を落とされた。
とたん、顔が熱くなる。婚約者にだってこんなことされたことない。ないのよ!! だって私、王子とは本当に何も……、何もなかったから。
「あぁぁぁのぉぉっ、な、な、なぁぁぁ!?」
聞いた通り、私の頭の中は混乱中。なのに、ブレイドったらそのまま話を続けるの。もう、この熱い顔なんとかしてから話してよって思ったわ。
「先ほどの非礼を詫びる。本当にすまなかった。ボクの竜化だけでなくシルの魔物化まで解いてもらって、なんと礼を言えばいいだろう。それなのに、出会った時ボクは酷いことを」
あー、うん。痛かった。婚約者から婚約破棄された理由であり傷心の原因でもあるこの体。それを思いっきりえぐってくれたものね。でも、私だっていきなり殴りかかったし(パンチ力なんてゼロだろうけど)、何も知らなかっただけだし、うん。
少しずつ頭が冷静になっていく。よし、今ならと手の自由を取り返した。まだ、ブレイドが触れた部分が熱を持っている。
「あの、私も――」
「あー、それなんだけどさ。ブレイド、さっきも言ったけど」
ルニアが私を遮り話し出す。さっきも言った? 何の話?
今、私が喋ろうとしてたのだけど。そう思ってルニアの方を向くと任せとけって彼女の顔に書いてあった。
何を!?
「もうすぐ、アレが来るよな? だから、お願いしていいかな」
だから、何を? ルニアは大きな胸をブレイドにつきつける。スタイルがよくて、そのお胸は凶器ではないでしょうか。羨ましくなんてっ……。
私がぼうっと二人のやり取りを見ていると、シルが間に入ってきてもう一度私の手をブレイドの手の上へとのせ直した。
「あ、あぁ、そうだった。まずはその話置いておこう。きちんと感謝を伝えさせてくれ」
「えっと……」
感謝? 感謝って?
「ありがとう」
ブレイドの言葉が耳に届いたその時、私の目から大きな涙が溢れた。
「お、おぃ。どうした?」
「ごめんなさい。……私、わたし……」
焦る彼に悪いと思いつつ、私の涙は止まらなかった。
祈りを捧げるのは、私にとってしなくてはいけないことで褒められたり、ありがたがられることなんて、なくて……。
ありがとうなんて、あの人からも貰ったことなくて……。
「……ありがとうってこんなに嬉しいんだね」
感謝されたかったわけじゃない。だけど、言葉で伝えてくれるのがこんなに嬉しいなんて知らなかった。
ありがとう。私も伝えようと思った。教えてくれたあなたに。
「あの……」
なのに、私は言葉を発する前にぱたりと倒れてしまった。恥ずかしいけれど、お腹がすきすぎて……。
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