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第一章 聖女と竜
第18話 あの人達、どうしてるのかな?
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滅多にその姿を見ることがない。そう言われてるはずの竜にたった二日で三匹も出会った。
そして、私の体重は、――おそらく減っていない。これだけハードでバイオレンスなのに何故なのでしょう?
答えを知っていそうな青竜はブレイドに連れていかれてしまった……。
「エマぁ」
「うーん、うーん」
「エマー!!」
はっ!! 自分の世界に入りすぎていた。
「何? ルニア」
「それ、わたしの分」
「あっ……」
私達は寝る前にごはんにしようと食堂にきていた。どうやら考え事をしてる間にルニアの分まで手を伸ばしていたみたい。あぁもう、気をつけなきゃ。しぶしぶと朝と同じあの果物を返す。
スピアーが言ってた事はわからないけど、一つわかったことがある。【聖女の一撃】のこと。
あれは使うと恐ろしい反動があることがわかったわ。
「うぅ、お腹すいたぁ」
ものすごくお腹が空く。痩せるために食欲を抑えたいのになんてこと。
もう絶対使わない! と決めたところで、スピアーに話を聞くにはこれをしないといけないみたいだからなぁ。
「はいはい、今日だけだぞ」
見かねたのかルニアが自分の分から一つ渡してきた。
「大丈夫! 大丈夫だからルニアが――」
ぐぅぅぅぅ
「腹の虫は素直だな。そんな死にそうな顔で大丈夫って言われても心配してわたしが寝れないだろ」
「ごめんね。もらいます……」
素直にもらってしゃりとかじる。
あのあとブレイドの姿を見ていない。ここにきてないかなと思ったけれどいないし、こない。ブレイド何してるんだろう。
お肉のお礼というか、そのずっとここにいるからには何か役に立てないかと私なりに考えてみた。
もし、迷惑でなければだけどシルのように姿が変わってしまった人たちを元に戻す事って出来ないだろうか。
ただ、この力は【聖女の一撃】と同じ、めちゃくちゃお腹がすく。シルの時倒れたのは今思えばこれが原因だったんだと。
「一日一人ずつなら……」
頑張っているところを見せたら、私の事【食べてやる】じゃなくて【好き】って気持ちになってくれないかなぁ。――なんて。
「ん、どうした?」
「あ、えっとね」
そうだ……。ルニアの顔を見て思い出した。
私はたぶん好きになってしまった。ブレイドの事を。
だけど、ルニアも初めてブレイドを見た日顔を赤くしていた。あれは、きっと恋だわ。女のカンがそう言っている。
これははっきりしておいたほうがいいよね。だって、ルニアとは仲良しでいたいもの。
「ルニア!!」
「ん、なんだ? 改まった顔をして」
きゅっと手を握る。言って大丈夫なのかと言う私と、言わないとダメだよと言う私がいる。
「ごめんなさい。私、ブレイドの事を好きになってしまったかも……しれ……ない。たぶん……」
だんだん声が小さくなっていく。言ってしまった。ルニアを見るのが怖い。だけど、しっかり見なくては。
ルニアを見る。彼女の口は変な風に曲がりにやにやと笑っていた。
「そうかー、そうかぁ。良かったなぁ。いいと思うぞー。食べてもらっちゃうのか?」
いや、食べられたくはないのだけど、それよりも!
「え、えっと、あれ? ルニアもブレイドの事好きなんだよね。だから、その同じ人を好きになってしまったら、あの、その……」
思考がまとまらない。私が言葉を紡ぐ度に彼女の笑いが大ききくなっていく。
「あ、あははははは、は、ははっ。もう、何でそうなってるんだよ。わたしが、ブレイドを?」
「え、あれ、違ったの? だって、ほら初めて会った日、ルニア顔を真っ赤にしていたじゃない」
ぴたりと笑い声が止まって、んーっと考え出すルニア。ほら、やっぱり……。
「あれは、竜が人間になるんだ! バトルしたら強いのかなぁってさ。考えてたんだよ」
…………。え? ルニアってば、そんな事考えてたの?
待って、私の女のカンは? そこまであなた戦闘狂だったの? 嘘でしょ?
「お、噂をすれば、おーい! ブレイド!!」
ブレイドが食堂に顔をだした。
「聞けよ! なんとさぁー」
「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁっ、待って待って、まってぇぇぇぇぇぇ!!」
ルニアの口をふさぎながらもう一方の手でブレイドに何でもないと手をふる。
何でもない。何でもないんですっっ!!
まだ、本人に伝えるのはお願いだから待ってぇぇぇぇぇっ!!
だって、まだ会って二日目だよ? 今だとお肉に釣られただけでは? とか思ってしまうし! あと、私自分に自信なんかないんだものっ。痩せてきれいになってこの気持ちに自信が持てたら伝えたい。だから、今はまだダメぇ!!
よし、急いで痩せるわっ!! でないと、ルニアの口から変な風に伝えられてしまうかもしれないもの。
……あれ、もともと私どうして痩せようと思ってたんだっけ。あ、あぁ、あの人達、うまくやってるのかな。毎日のストレスから開放してくれて、ブレイドと会うきっかけにもなったあの人達。今なら、ありがとうなんて思えたりしてしまうかも。
そして、私の体重は、――おそらく減っていない。これだけハードでバイオレンスなのに何故なのでしょう?
答えを知っていそうな青竜はブレイドに連れていかれてしまった……。
「エマぁ」
「うーん、うーん」
「エマー!!」
はっ!! 自分の世界に入りすぎていた。
「何? ルニア」
「それ、わたしの分」
「あっ……」
私達は寝る前にごはんにしようと食堂にきていた。どうやら考え事をしてる間にルニアの分まで手を伸ばしていたみたい。あぁもう、気をつけなきゃ。しぶしぶと朝と同じあの果物を返す。
スピアーが言ってた事はわからないけど、一つわかったことがある。【聖女の一撃】のこと。
あれは使うと恐ろしい反動があることがわかったわ。
「うぅ、お腹すいたぁ」
ものすごくお腹が空く。痩せるために食欲を抑えたいのになんてこと。
もう絶対使わない! と決めたところで、スピアーに話を聞くにはこれをしないといけないみたいだからなぁ。
「はいはい、今日だけだぞ」
見かねたのかルニアが自分の分から一つ渡してきた。
「大丈夫! 大丈夫だからルニアが――」
ぐぅぅぅぅ
「腹の虫は素直だな。そんな死にそうな顔で大丈夫って言われても心配してわたしが寝れないだろ」
「ごめんね。もらいます……」
素直にもらってしゃりとかじる。
あのあとブレイドの姿を見ていない。ここにきてないかなと思ったけれどいないし、こない。ブレイド何してるんだろう。
お肉のお礼というか、そのずっとここにいるからには何か役に立てないかと私なりに考えてみた。
もし、迷惑でなければだけどシルのように姿が変わってしまった人たちを元に戻す事って出来ないだろうか。
ただ、この力は【聖女の一撃】と同じ、めちゃくちゃお腹がすく。シルの時倒れたのは今思えばこれが原因だったんだと。
「一日一人ずつなら……」
頑張っているところを見せたら、私の事【食べてやる】じゃなくて【好き】って気持ちになってくれないかなぁ。――なんて。
「ん、どうした?」
「あ、えっとね」
そうだ……。ルニアの顔を見て思い出した。
私はたぶん好きになってしまった。ブレイドの事を。
だけど、ルニアも初めてブレイドを見た日顔を赤くしていた。あれは、きっと恋だわ。女のカンがそう言っている。
これははっきりしておいたほうがいいよね。だって、ルニアとは仲良しでいたいもの。
「ルニア!!」
「ん、なんだ? 改まった顔をして」
きゅっと手を握る。言って大丈夫なのかと言う私と、言わないとダメだよと言う私がいる。
「ごめんなさい。私、ブレイドの事を好きになってしまったかも……しれ……ない。たぶん……」
だんだん声が小さくなっていく。言ってしまった。ルニアを見るのが怖い。だけど、しっかり見なくては。
ルニアを見る。彼女の口は変な風に曲がりにやにやと笑っていた。
「そうかー、そうかぁ。良かったなぁ。いいと思うぞー。食べてもらっちゃうのか?」
いや、食べられたくはないのだけど、それよりも!
「え、えっと、あれ? ルニアもブレイドの事好きなんだよね。だから、その同じ人を好きになってしまったら、あの、その……」
思考がまとまらない。私が言葉を紡ぐ度に彼女の笑いが大ききくなっていく。
「あ、あははははは、は、ははっ。もう、何でそうなってるんだよ。わたしが、ブレイドを?」
「え、あれ、違ったの? だって、ほら初めて会った日、ルニア顔を真っ赤にしていたじゃない」
ぴたりと笑い声が止まって、んーっと考え出すルニア。ほら、やっぱり……。
「あれは、竜が人間になるんだ! バトルしたら強いのかなぁってさ。考えてたんだよ」
…………。え? ルニアってば、そんな事考えてたの?
待って、私の女のカンは? そこまであなた戦闘狂だったの? 嘘でしょ?
「お、噂をすれば、おーい! ブレイド!!」
ブレイドが食堂に顔をだした。
「聞けよ! なんとさぁー」
「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁっ、待って待って、まってぇぇぇぇぇぇ!!」
ルニアの口をふさぎながらもう一方の手でブレイドに何でもないと手をふる。
何でもない。何でもないんですっっ!!
まだ、本人に伝えるのはお願いだから待ってぇぇぇぇぇっ!!
だって、まだ会って二日目だよ? 今だとお肉に釣られただけでは? とか思ってしまうし! あと、私自分に自信なんかないんだものっ。痩せてきれいになってこの気持ちに自信が持てたら伝えたい。だから、今はまだダメぇ!!
よし、急いで痩せるわっ!! でないと、ルニアの口から変な風に伝えられてしまうかもしれないもの。
……あれ、もともと私どうして痩せようと思ってたんだっけ。あ、あぁ、あの人達、うまくやってるのかな。毎日のストレスから開放してくれて、ブレイドと会うきっかけにもなったあの人達。今なら、ありがとうなんて思えたりしてしまうかも。
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