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第二章 赤の瞳と金の瞳
第113話 隣に立つのは(元婚約者私兵だった男視点)
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オレはキルヒネア。今、元がつくが憧れの騎士団団長の横にいる。
「ルニアさん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。ありがとう」
弟のフレイル君がどうやら彼女の友でしごき相手、おっとダイエット指導の生徒エマさんを国から連れ出したかもしれないのだ。
エマさんはすぐ戻ると言っていたのに姿を消した。この国のリーダー、赤竜のブレイドさんが慌てて聞いて回っていた。オレ達は声をかけ合って城の広間に集まった。
そして、城からもう一人居なくなっていたのがわかった。それはフレイルだった。
「いったいどこに行ったんだ……?」
外は暗く、冷えている。こんな日にどこに行ったのか。知る者は誰もいなかった。
「わたしは何も聞いてない――」
ルニアさんは頭を抱えていた。フラつきそうな彼女を支えようと手を伸ばすと先に違う手が彼女を支えた。
人の姿とは違う、鬼のような姿の男だ。
「すまない、オゥニィー」
無言で鬼の姿の男、オゥニィーは頷く。いいとこ見せるチャンスをものにしたのはオレじゃなかった。
「ブレイド、あれはどうしたんだ? ほら、ハヘラータに飛んできたみたいに」
ルニアさんの問いにブレイドさんはふるふると首を横に振った。
ぎゅっと掴んでいた手の中を開いて見せてきた。リングが通ったネックレスだった。
「エマ。なんで、こんな時に……外してるんだよ」
ルニアさんの呟きに対しブレイドさんがゆっくり頭を下げ、すまないと溢す。
まったく役に立てないオレはドカッと座り込んだ。
「他にエマさんは竜魔石持ってなかったんですか? あれだけ竜魔道具の部屋にいたんなら、カケラが足についてたりなんかしてたり……」
オレがそう言うと、二人は青い丸い竜、スピアーに視線を向けた。
「え、オレ? あー、もしかしてブローチはつけたままなん? でも、オレはブレイドほどの能力はないで……。竜魔石もようけ作らされたし、どれがどれか……。あー、近場の動くのはわかるのはわかるけど方角くらいしか」
「どこ!?」
「ちょぉっ、まってや。えーっと……。あー、あれかなぁ。あれなら確かに他のとちょい違うわ」
自信なさげにスピアーは指を指す。
「あっちの方向に進んどる。あれは聖女の国がある方向やな」
「なっ――――」
聖女の国に何か用事でもあるのだろうか。オレにはわからないがブレイドさんやルニアさん達は何かわかったような顔をしていた。
そんな時だった。
「ブレイド様っ!!」
ブレイドさんの付き人、シルが急ぎ飛び込んできたのだ。
「ミリア様とクロウ様がお話したいと空で待ってます」
◆
「また留守番かぁ。ホンマお人好しやなぁー」
「ありがとうな。スピアー」
「エマちゃん、オレが迎えにいっても嬉しないやろうしな。さ、瘴気食べに行くか。今度のは食べられるヤツでありますようにっと」
ルニアさんとスピアーが並んで立っている。
オレは負けじと彼女の側に行く。もちろんオゥニィーも横にいた。
オレ達はエマさんやブレイドさんのように瘴気をどうにかすることは出来ない。けれど、もし瘴気が彼女に向かってきた時にほんの一瞬でも逃げれる隙を作る盾になるつもりだ。
――――瘴気を浴びても、魔物になるだけだとわかっているオレ達にしか出来ない仕事だ。
あとな、ルニアさんとくっつくのはオレだ!!
横にいるヤツと牽制しあいながら、オレ達は瘴気の出る場所へと向かった。
「ルニアさん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。ありがとう」
弟のフレイル君がどうやら彼女の友でしごき相手、おっとダイエット指導の生徒エマさんを国から連れ出したかもしれないのだ。
エマさんはすぐ戻ると言っていたのに姿を消した。この国のリーダー、赤竜のブレイドさんが慌てて聞いて回っていた。オレ達は声をかけ合って城の広間に集まった。
そして、城からもう一人居なくなっていたのがわかった。それはフレイルだった。
「いったいどこに行ったんだ……?」
外は暗く、冷えている。こんな日にどこに行ったのか。知る者は誰もいなかった。
「わたしは何も聞いてない――」
ルニアさんは頭を抱えていた。フラつきそうな彼女を支えようと手を伸ばすと先に違う手が彼女を支えた。
人の姿とは違う、鬼のような姿の男だ。
「すまない、オゥニィー」
無言で鬼の姿の男、オゥニィーは頷く。いいとこ見せるチャンスをものにしたのはオレじゃなかった。
「ブレイド、あれはどうしたんだ? ほら、ハヘラータに飛んできたみたいに」
ルニアさんの問いにブレイドさんはふるふると首を横に振った。
ぎゅっと掴んでいた手の中を開いて見せてきた。リングが通ったネックレスだった。
「エマ。なんで、こんな時に……外してるんだよ」
ルニアさんの呟きに対しブレイドさんがゆっくり頭を下げ、すまないと溢す。
まったく役に立てないオレはドカッと座り込んだ。
「他にエマさんは竜魔石持ってなかったんですか? あれだけ竜魔道具の部屋にいたんなら、カケラが足についてたりなんかしてたり……」
オレがそう言うと、二人は青い丸い竜、スピアーに視線を向けた。
「え、オレ? あー、もしかしてブローチはつけたままなん? でも、オレはブレイドほどの能力はないで……。竜魔石もようけ作らされたし、どれがどれか……。あー、近場の動くのはわかるのはわかるけど方角くらいしか」
「どこ!?」
「ちょぉっ、まってや。えーっと……。あー、あれかなぁ。あれなら確かに他のとちょい違うわ」
自信なさげにスピアーは指を指す。
「あっちの方向に進んどる。あれは聖女の国がある方向やな」
「なっ――――」
聖女の国に何か用事でもあるのだろうか。オレにはわからないがブレイドさんやルニアさん達は何かわかったような顔をしていた。
そんな時だった。
「ブレイド様っ!!」
ブレイドさんの付き人、シルが急ぎ飛び込んできたのだ。
「ミリア様とクロウ様がお話したいと空で待ってます」
◆
「また留守番かぁ。ホンマお人好しやなぁー」
「ありがとうな。スピアー」
「エマちゃん、オレが迎えにいっても嬉しないやろうしな。さ、瘴気食べに行くか。今度のは食べられるヤツでありますようにっと」
ルニアさんとスピアーが並んで立っている。
オレは負けじと彼女の側に行く。もちろんオゥニィーも横にいた。
オレ達はエマさんやブレイドさんのように瘴気をどうにかすることは出来ない。けれど、もし瘴気が彼女に向かってきた時にほんの一瞬でも逃げれる隙を作る盾になるつもりだ。
――――瘴気を浴びても、魔物になるだけだとわかっているオレ達にしか出来ない仕事だ。
あとな、ルニアさんとくっつくのはオレだ!!
横にいるヤツと牽制しあいながら、オレ達は瘴気の出る場所へと向かった。
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