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第四章・風の精霊の国
103話・出番がもうきた?
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「それは?」
「フーガ様から貴女に宛てた手紙だと聞いております」
そう言うと、カノンは急いで手紙を取り、開いて読んでいた。
そして、大粒の涙をあの紫水晶の様な瞳からぽろぽろぽろぽろと溢していた。
「バカな子……」
そう言って、彼女は涙をこすり、外へ走って行ってしまった。
何が書いてあったかは、私達にはわからないけれど。渡せたなら、良かったのかな?
ーーー
「エルフはね、長い寿命だけれど、男女が結ばれると短くなるんだ。その相手が、別種の人間だと、もっと短くなる。子のハーフエルフは相手の寿命と同じぐらい、かな。長寿は引き継がれない」
部屋に戻り、また衝撃の事実をアリスから聞いた。
じゃあ、フーガは命懸けの恋をしていたのかな――。どれだけ寿命が減るのかは言っていなかったけれど、アリスの口振りからとても短くなってしまう様な気がした。
命懸けの恋かぁ。それだけ愛されるって羨ましいけれど、反面、怖くもある。だって、せっかく愛し合う事が出来たのに、一緒にいられなくなるってことだよね。それは、――寂しいな。
「フーガ様亡き後、すぐに追いかけてしまわれたそうです――。一人の子を両親に託し――」
ルードがポツリと呟いた。
「そうなんだ……」
暗い話になってきちゃった。場の空気を入れ替えたいなと、思っているとコンコンと戸をノックする音がした。
「アリスト様、お客様がおいでなのですがお通ししてもよろしいですか?」
受付のエルフさんの声だ。
「誰かわかる?」
「スペードと名乗っていらっしゃる人ですが」
え、飛んで火に入る夏の虫? ロープの出番?
「わかった、いいよ」
「では、ご案内してきます」
トントントンと遠ざかる足音がする。
「どういうつもりなんだろう?」
「捕縛の準備でもしておきますか?」
「アリスちゃん、ロープの準備しとこう!」
捕まえる気満々の私に、アリスは苦笑していた。
少しして、コンコンとまた、今度は少し強いノックの音がする。
「皆さん、おはようございますっすー」
とても、元気にスペードは登場してきた。探す手間は省けたけれどいったい何のつもりなんだろう。
「あ、ロープは勘弁してくださいっすよ」
何で、さっきの会話を聞いていたような言葉が出てくるんですか!
三人の視線を一斉に浴びて、怪しげな呪われた王子様は帽子をぎゅっと押さえながら部屋の中に入ってきた。余っている椅子を自分に寄せ、ガタリと座る。
彼の唯一読める表情の口がにやりと弧を描き、その口が発する言葉に私達は、驚愕した。
「僕も一緒にタカマガハラまで連れていってもらえませんっすか?」
「フーガ様から貴女に宛てた手紙だと聞いております」
そう言うと、カノンは急いで手紙を取り、開いて読んでいた。
そして、大粒の涙をあの紫水晶の様な瞳からぽろぽろぽろぽろと溢していた。
「バカな子……」
そう言って、彼女は涙をこすり、外へ走って行ってしまった。
何が書いてあったかは、私達にはわからないけれど。渡せたなら、良かったのかな?
ーーー
「エルフはね、長い寿命だけれど、男女が結ばれると短くなるんだ。その相手が、別種の人間だと、もっと短くなる。子のハーフエルフは相手の寿命と同じぐらい、かな。長寿は引き継がれない」
部屋に戻り、また衝撃の事実をアリスから聞いた。
じゃあ、フーガは命懸けの恋をしていたのかな――。どれだけ寿命が減るのかは言っていなかったけれど、アリスの口振りからとても短くなってしまう様な気がした。
命懸けの恋かぁ。それだけ愛されるって羨ましいけれど、反面、怖くもある。だって、せっかく愛し合う事が出来たのに、一緒にいられなくなるってことだよね。それは、――寂しいな。
「フーガ様亡き後、すぐに追いかけてしまわれたそうです――。一人の子を両親に託し――」
ルードがポツリと呟いた。
「そうなんだ……」
暗い話になってきちゃった。場の空気を入れ替えたいなと、思っているとコンコンと戸をノックする音がした。
「アリスト様、お客様がおいでなのですがお通ししてもよろしいですか?」
受付のエルフさんの声だ。
「誰かわかる?」
「スペードと名乗っていらっしゃる人ですが」
え、飛んで火に入る夏の虫? ロープの出番?
「わかった、いいよ」
「では、ご案内してきます」
トントントンと遠ざかる足音がする。
「どういうつもりなんだろう?」
「捕縛の準備でもしておきますか?」
「アリスちゃん、ロープの準備しとこう!」
捕まえる気満々の私に、アリスは苦笑していた。
少しして、コンコンとまた、今度は少し強いノックの音がする。
「皆さん、おはようございますっすー」
とても、元気にスペードは登場してきた。探す手間は省けたけれどいったい何のつもりなんだろう。
「あ、ロープは勘弁してくださいっすよ」
何で、さっきの会話を聞いていたような言葉が出てくるんですか!
三人の視線を一斉に浴びて、怪しげな呪われた王子様は帽子をぎゅっと押さえながら部屋の中に入ってきた。余っている椅子を自分に寄せ、ガタリと座る。
彼の唯一読める表情の口がにやりと弧を描き、その口が発する言葉に私達は、驚愕した。
「僕も一緒にタカマガハラまで連れていってもらえませんっすか?」
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