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最終章・聖女じゃなくて
158話・滅びの予言
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「いつの間にそんな魔法が出来るようになったんだ?」
「兄さん、あとで話すから集中してください」
「エント!」
魔物の攻撃をかわしながら二人は魔法と剣で攻撃する。リードが戦っているのを見るのは二回目だけどとてもすごいことはわかる。剣に魔法の力を乗せて戦っているように見える。
ルードはエントの力を上手く使っているようだ。
補助にも攻撃にもなるようで、使い分けながらリードの攻撃を助けている。
ーーー
「さっき喋っていたけれど、君は意思があるのかい?」
「…………」
「悪いけど、ボクの大切な国、人が滅びる運命なんて、看過出来ないんだ」
「…………」
アリスが剣を構えると、白ライトも同じ様に手を構える。
その手にキィンと結界をはるように光が剣の形を作った。
どちらともなく、動き出す。剣と剣の舞が始まった。
ーーー
「スペード、あの魔物達は光だから、闇の浄化魔法でいいのよね」
「僕は、全部を話すわけじゃないっすよ。知っていても話してしまうことでまた流れが変わってしまうこともあるっすから」
「そう……なんだ」
「まあ、光の精霊からなんで、その考えであってるっす。闇の精霊の時のようなことにはなってないっすよ」
「あ、ごめんなさい」
スペードは帽子を押さえながら答える。
「いいっすよ。選ぶのはリサ、君っすから」
「うん」
「僕は――、リサを巻き込んだ責任もあるっすからね」
「えっ――」
彼の口元からいつもの笑みが消えている。
「さあ、ぱーっとやっちゃいましょう」
「あ、うん」
ぎゅっと、手を握りしめてから私はネスの真名を呼んだ。
二人の光の魔物を浄化してあげて。
「シェイド!」
闇を纏ったシェイドが遠吠えをするとあちこちの影から黒い狼の形の影が飛び出して光の魔物達に取りついた。
「よかった、出来た」
まだ、あの喪失感も痛みもない。私、強くなってるんだ、本当に――――。
黒い狼達がぐるぐると集まり光の粒子も空へと昇っていく。
「リサ……ありがとう……。僕の花嫁を……助けてやってくれ」
ライトの声がした気がした。花嫁ってカナちゃんのことなのかな。
私は、もう見ることが出来ないライトの姿を思い出しながら、心の中で頷いた。
うん、カナちゃんは向こうの世界に帰してあげる。
ライトの変身した魔物は粒子だけが空へと昇っていった。
「ボクハ……ユルセナイ……。ユルセナイ……」
白ライトは子供のように泣いている。光の粒子は空へと向かっているから、その姿はどんどん薄れていっているけれど。
「アイシテイタ、アイシテホシカッタ…………アイシテ……」
その声を聞いているアリスの顔がどこか悲しげだ。
「ゴメンね、貴方の事は何も知らないの……。どうか、全部忘れて精霊になれますように――」
「ナクナッテシマエ、ナクナッテシマエ……。イッショニ……イコウ……」
最後の光の粒子の一粒が彼の声とともに昇り終えた。
リード、ルード、カトル王子がその様子をじっと見ている。
「終わった…………?」
力を抜いたところでふわりとアリスが抱き締めてきた。
「大丈夫?」
「うん」
私はアリスに身体を預けた。これで、この国は、――。
「まだっすよ」
その言葉を聞いて、私達はバッとスペードの方をみた。
「予言を思い出して下さいっす」
「予言――――」
アリスがはっとした顔になる。予言、破滅の魔物ってさっきのことじゃないの? あれ…………?
「過去の聖女が三の月に封印した魔物達が復活する」
こくりとスペードは頷いた。
森の木々が倒れる音が響く。それに地響きと、空には黒い影がこちらにむかってきているようだった。
「兄さん、あとで話すから集中してください」
「エント!」
魔物の攻撃をかわしながら二人は魔法と剣で攻撃する。リードが戦っているのを見るのは二回目だけどとてもすごいことはわかる。剣に魔法の力を乗せて戦っているように見える。
ルードはエントの力を上手く使っているようだ。
補助にも攻撃にもなるようで、使い分けながらリードの攻撃を助けている。
ーーー
「さっき喋っていたけれど、君は意思があるのかい?」
「…………」
「悪いけど、ボクの大切な国、人が滅びる運命なんて、看過出来ないんだ」
「…………」
アリスが剣を構えると、白ライトも同じ様に手を構える。
その手にキィンと結界をはるように光が剣の形を作った。
どちらともなく、動き出す。剣と剣の舞が始まった。
ーーー
「スペード、あの魔物達は光だから、闇の浄化魔法でいいのよね」
「僕は、全部を話すわけじゃないっすよ。知っていても話してしまうことでまた流れが変わってしまうこともあるっすから」
「そう……なんだ」
「まあ、光の精霊からなんで、その考えであってるっす。闇の精霊の時のようなことにはなってないっすよ」
「あ、ごめんなさい」
スペードは帽子を押さえながら答える。
「いいっすよ。選ぶのはリサ、君っすから」
「うん」
「僕は――、リサを巻き込んだ責任もあるっすからね」
「えっ――」
彼の口元からいつもの笑みが消えている。
「さあ、ぱーっとやっちゃいましょう」
「あ、うん」
ぎゅっと、手を握りしめてから私はネスの真名を呼んだ。
二人の光の魔物を浄化してあげて。
「シェイド!」
闇を纏ったシェイドが遠吠えをするとあちこちの影から黒い狼の形の影が飛び出して光の魔物達に取りついた。
「よかった、出来た」
まだ、あの喪失感も痛みもない。私、強くなってるんだ、本当に――――。
黒い狼達がぐるぐると集まり光の粒子も空へと昇っていく。
「リサ……ありがとう……。僕の花嫁を……助けてやってくれ」
ライトの声がした気がした。花嫁ってカナちゃんのことなのかな。
私は、もう見ることが出来ないライトの姿を思い出しながら、心の中で頷いた。
うん、カナちゃんは向こうの世界に帰してあげる。
ライトの変身した魔物は粒子だけが空へと昇っていった。
「ボクハ……ユルセナイ……。ユルセナイ……」
白ライトは子供のように泣いている。光の粒子は空へと向かっているから、その姿はどんどん薄れていっているけれど。
「アイシテイタ、アイシテホシカッタ…………アイシテ……」
その声を聞いているアリスの顔がどこか悲しげだ。
「ゴメンね、貴方の事は何も知らないの……。どうか、全部忘れて精霊になれますように――」
「ナクナッテシマエ、ナクナッテシマエ……。イッショニ……イコウ……」
最後の光の粒子の一粒が彼の声とともに昇り終えた。
リード、ルード、カトル王子がその様子をじっと見ている。
「終わった…………?」
力を抜いたところでふわりとアリスが抱き締めてきた。
「大丈夫?」
「うん」
私はアリスに身体を預けた。これで、この国は、――。
「まだっすよ」
その言葉を聞いて、私達はバッとスペードの方をみた。
「予言を思い出して下さいっす」
「予言――――」
アリスがはっとした顔になる。予言、破滅の魔物ってさっきのことじゃないの? あれ…………?
「過去の聖女が三の月に封印した魔物達が復活する」
こくりとスペードは頷いた。
森の木々が倒れる音が響く。それに地響きと、空には黒い影がこちらにむかってきているようだった。
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