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第10話 夜の散歩をする魔王③
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「大丈夫!?」
「大丈夫ですか!?」
中型犬に吠え続けられている、飼い主らしき人物。そこにたどり着き、オレと真由は盾になるように間に立つ。
「あ、真由さん。うちのエリザベスが突然吠え出して……」
よく見ればクラスの眼鏡っこ、魔次佳凛さんじゃないか。
「落ち着いて、エリー。どうしたの?」
飼い主である魔次佳さんの呼びかけを無視しその犬は吠え続ける。
ついでにだがうちの犬はふるえながら腕に噛みついている。いてぇ。
と思ったら、口を離してワンッとひと吠えした。
まあ、そんなので状況が変わるとは思わないが……。
「私がなんとか押さえるからとりあえず凛さんはリードを……。このまま何処かに行っちゃうと大変だよ」
「う、うん。でも……こんなこと初めてで、どうしよう」
オレは? オレは? って、役割りを与えられるのを待つなどと魔王のする事じゃないな。
『お兄ちゃん、これ持って行って。絶対に役に立つから』
散歩前に妹に手渡されたバッグ。おそらくこれには犬を喜ばせるおもちゃやお菓子なんかがあるはずだ。それを使えば――。
いざ、おーぷん!!
――オオマタクヤはお散歩カバンをあけた。中身はう○ち回収袋と畳まれた少量のトイペ、スコップが入っていた。
いや、最低限だけじゃねーか!! もう少し愛情をだな!!
「行くよ!! 凛さん」
「う、うん」
ちょ、まっ! オレも――。
参加しようと手を伸ばす。そこで気がついた。犬の後頭部に小さな何かがいる事に。
あれは、まさか?
「あぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「エリー、駄目、帰ってきてぇぇぇ!」
そうだ。真由は動物から逃げられる習性があった……。例にもれず魔次佳さんの飼い犬エリザベスもまた後退りしたあと全力で逃げてしまった。真由から――。
「ごめん、ごめんね。どうしよう」
「わたし、家から親連れてくる。探さなきゃ……。ありがとう、真由さん、大間君。ごめんね、巻き込んで、大丈夫だから」
家が近いようだ。凛さんはそう言って走り出した。
残されたのはオレと真由。
「どうしよう。私のせいだよね。私が近付いたから」
「違うから、真由のせいじゃないから。ちょっとヤンチャしたいお年頃なだけだ。だから、真由はもう」
「まだその辺にいるかもしれない。探してくる!!」
「って、おーい!!」
まったく、責任感まで勇者マユにそっくりだ。
はーっ、こんな暗いのに女の子が一人でいるのは危ないと思うんだが……。
「こい! 覗き魔」
尻ポケットに忍ばせた魔法陣を使い、呼び出す。
覗き魔の頭にはリボンが飾り付けられていた。どういうことだ?
まあ、いまはそんなことよりも、犬だ。
「覗き魔、ここの魔力痕を追跡をしてくれ」
さっきまで犬がいた場所を指差す。犬の後頭部に使い魔らしき姿があった。
「キィ!!」
どうやら見つけたようだ。さすが、覗き魔。目がいい。
んん? どうやら犬は真由が走っていった方角に走っていってる。というか、追い詰め終わっている。ここはさっきお散歩してきた近くの公園ではないか。さすが真由。まるで勇者のような感の鋭さ。覗き魔を使わなくても正確に探し当てるとは――。
だけど、急がないとな。さっきのように犬は真由から逃げようとするだろう。いつまでも堂々巡りだ。
それと、アイツの頭に乗ってるヤツ。姿を確認し、確信した。あれは厄介だ。オレは犬と真由の元へ走り出す。
「真由に手を出すなよ!? 脱衣魔!!」
使い魔の中でも低級だがとても厄介なヤツだ。字面からもうかがえるだろう? 攻撃力、素早さが高い。だがコイツは高い攻撃力を脱衣にのみ使用する変態だ。だがまあ、勇者達の装備を奪い無力化させるのにうってつけであり、入り口付近に配置する使い魔だ。
だが、ここは現代日本!
真由がそんな事になっては駄目だ!! 今すぐ、助けに行かなくてはっ!!
「今行くぞ! 真由!!」
噛みついてくるケルベロスの歯を華麗に躱し、抱えあげる。不服そうだが今は我慢してもらおうか。
こんな時、魔法が使えたら、もしくは移動に便利な使い魔がいてくれたら。オレの走りはいわゆる凡人。平均。普通である。
カッコよく一瞬で駆けつける事ができず、歯痒い。
とりあえず、公園の入口だ。人影が見えるが今はかまってる場合じゃない。
「真由!! 真由ー!!」
どこにいるかはわかっているが一応、探すふりを入れつつ近づいていく。
「――拓也君!? こっち」
真由の返事があった。よしと駆け寄ろうとする。
「きちゃ駄目!! 危ないっ」
「へ?」
ダメと言われてももうすぐそこだ。まさか、もう脱衣魔の魔の手に!?
「真由っ!?」
茂みを越え飛び出すと真由がいた。気絶したエリザベスをしっかり抱きしめている。
エリザベスの頭の上に脱衣魔がいない。どういうことだ?
「グルルル――」
もっと向こうから違う犬の唸る声がした。大型犬の雑種だろうか。かなりデカい。
「そこで止まって! この子を連れて逃げて」
真由はエリザベスを渡そうとする。オレはそれに答えるため数歩だけ前に出る。
唸り声が大きくなる。デカ犬の頭上にアイツがいた。その右腕に光の剣が刺さっている。
勇者がいる――!?
やはり、真由が勇者なのか? なら、このまま後ろで様子を見ておけば――。
「お願いね」
エリザベスを受け取る。彼女の上着が破れていて下着が見えた。
何言ってるんだ、オレ!!!!
自分で自分の顔を叩き、向き直る。
受け取ったエリザベスと一緒にケルベロスを真由に押し付ける。危険か? と思ったがケルベロスは勇者の腕の中に移動された瞬間気絶した。どういう仕組みなのかという謎は今は置いておこう。
「あ、あの、拓也君?」
「真由こそ後ろに下がってろ! オレがなんとかする!!」
勇者を探す? 見つけられるかも?
そんな事で好きな女が傷つけられるのを見過ごす馬鹿は魔王でも男でもねぇ!!
そう、オレは勇者と約束した。けど、それを思い出す前から真由の事が好きだった。彼女の言葉で距離を置いてみたりしたけれど、やっぱり駄目だ。オレは真由が好き。好きなんだよ!!
だから、守る。勇者を見つけるのは後だ!!
「うぉぉぉぉ、きやがれ、野良犬!! 真由(の服)はオレが守る!!」
脱衣魔は装備を狙ってくる。オレの装備はそれなりに厚い。まず犬のマナー袋入れ盾で防御、長袖長ズボンだから真由より装甲力がある。
大型犬を抑え込むのは難しいかもしれないが、頭の上の脱衣魔を気絶させれば宿主になってる犬も一緒に気絶するはず。
この体、魔法は使えないが魔力保有はしている。体内に魔王の魔力はあるのだ。それを使って使い魔を使役できるのだ。野良状態の脱衣魔にオレとの使役契約を結ぶ魔力を流し込めば……。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
ビリビリと左袖が持っていかれる。きれいに服だけ。スースーする。だが、触れた。脱衣魔の頭に。しかし、手応えがなかった。何かに弾かれたような感覚。
「うぎゃぁぁぁ」
今度はズボンの右側。やべぇ、すげぇパンクだ。
「や、やるな。さすがだ」
「拓也君! だから危ないって。やっぱり私が」
二匹の犬がいて戸惑っている真由。
オレは破れかぶれの服で格好をつける。
「大丈夫だ。問題ない」
その間にもズボンの尻部分が削られる。いや、どんな魔法だ?
嫌な汗が流れる。コイツ、出来る。
怪我もないのに、ハァハァと息があがる。恥ずかしさからだ。これ以上、真由の前でカッコ悪い(というか、恥ずかしい)姿を見せたくない。
「次こそ、決める!!」
指先に魔力を纏わせたまま、デカ犬に向かう。
「オレに従えぇぇぇぇ!!!!」
体中に懐かしい感覚が走る。魔王の体、大きな角、背にある羽、長い尻尾、長い髪。魔力が覚えているカタチなのだろうか。それがピッタリとハマった瞬間、脱衣魔の頭を掴んだ。今度は弾かれる事はなかった。
「気絶してろっ!!」
ちょうど後ろからは掌底を当てたように見えただろう。
グゥゥと一声あげ、デカ犬は気絶した。
「大丈夫ですか!?」
中型犬に吠え続けられている、飼い主らしき人物。そこにたどり着き、オレと真由は盾になるように間に立つ。
「あ、真由さん。うちのエリザベスが突然吠え出して……」
よく見ればクラスの眼鏡っこ、魔次佳凛さんじゃないか。
「落ち着いて、エリー。どうしたの?」
飼い主である魔次佳さんの呼びかけを無視しその犬は吠え続ける。
ついでにだがうちの犬はふるえながら腕に噛みついている。いてぇ。
と思ったら、口を離してワンッとひと吠えした。
まあ、そんなので状況が変わるとは思わないが……。
「私がなんとか押さえるからとりあえず凛さんはリードを……。このまま何処かに行っちゃうと大変だよ」
「う、うん。でも……こんなこと初めてで、どうしよう」
オレは? オレは? って、役割りを与えられるのを待つなどと魔王のする事じゃないな。
『お兄ちゃん、これ持って行って。絶対に役に立つから』
散歩前に妹に手渡されたバッグ。おそらくこれには犬を喜ばせるおもちゃやお菓子なんかがあるはずだ。それを使えば――。
いざ、おーぷん!!
――オオマタクヤはお散歩カバンをあけた。中身はう○ち回収袋と畳まれた少量のトイペ、スコップが入っていた。
いや、最低限だけじゃねーか!! もう少し愛情をだな!!
「行くよ!! 凛さん」
「う、うん」
ちょ、まっ! オレも――。
参加しようと手を伸ばす。そこで気がついた。犬の後頭部に小さな何かがいる事に。
あれは、まさか?
「あぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「エリー、駄目、帰ってきてぇぇぇ!」
そうだ。真由は動物から逃げられる習性があった……。例にもれず魔次佳さんの飼い犬エリザベスもまた後退りしたあと全力で逃げてしまった。真由から――。
「ごめん、ごめんね。どうしよう」
「わたし、家から親連れてくる。探さなきゃ……。ありがとう、真由さん、大間君。ごめんね、巻き込んで、大丈夫だから」
家が近いようだ。凛さんはそう言って走り出した。
残されたのはオレと真由。
「どうしよう。私のせいだよね。私が近付いたから」
「違うから、真由のせいじゃないから。ちょっとヤンチャしたいお年頃なだけだ。だから、真由はもう」
「まだその辺にいるかもしれない。探してくる!!」
「って、おーい!!」
まったく、責任感まで勇者マユにそっくりだ。
はーっ、こんな暗いのに女の子が一人でいるのは危ないと思うんだが……。
「こい! 覗き魔」
尻ポケットに忍ばせた魔法陣を使い、呼び出す。
覗き魔の頭にはリボンが飾り付けられていた。どういうことだ?
まあ、いまはそんなことよりも、犬だ。
「覗き魔、ここの魔力痕を追跡をしてくれ」
さっきまで犬がいた場所を指差す。犬の後頭部に使い魔らしき姿があった。
「キィ!!」
どうやら見つけたようだ。さすが、覗き魔。目がいい。
んん? どうやら犬は真由が走っていった方角に走っていってる。というか、追い詰め終わっている。ここはさっきお散歩してきた近くの公園ではないか。さすが真由。まるで勇者のような感の鋭さ。覗き魔を使わなくても正確に探し当てるとは――。
だけど、急がないとな。さっきのように犬は真由から逃げようとするだろう。いつまでも堂々巡りだ。
それと、アイツの頭に乗ってるヤツ。姿を確認し、確信した。あれは厄介だ。オレは犬と真由の元へ走り出す。
「真由に手を出すなよ!? 脱衣魔!!」
使い魔の中でも低級だがとても厄介なヤツだ。字面からもうかがえるだろう? 攻撃力、素早さが高い。だがコイツは高い攻撃力を脱衣にのみ使用する変態だ。だがまあ、勇者達の装備を奪い無力化させるのにうってつけであり、入り口付近に配置する使い魔だ。
だが、ここは現代日本!
真由がそんな事になっては駄目だ!! 今すぐ、助けに行かなくてはっ!!
「今行くぞ! 真由!!」
噛みついてくるケルベロスの歯を華麗に躱し、抱えあげる。不服そうだが今は我慢してもらおうか。
こんな時、魔法が使えたら、もしくは移動に便利な使い魔がいてくれたら。オレの走りはいわゆる凡人。平均。普通である。
カッコよく一瞬で駆けつける事ができず、歯痒い。
とりあえず、公園の入口だ。人影が見えるが今はかまってる場合じゃない。
「真由!! 真由ー!!」
どこにいるかはわかっているが一応、探すふりを入れつつ近づいていく。
「――拓也君!? こっち」
真由の返事があった。よしと駆け寄ろうとする。
「きちゃ駄目!! 危ないっ」
「へ?」
ダメと言われてももうすぐそこだ。まさか、もう脱衣魔の魔の手に!?
「真由っ!?」
茂みを越え飛び出すと真由がいた。気絶したエリザベスをしっかり抱きしめている。
エリザベスの頭の上に脱衣魔がいない。どういうことだ?
「グルルル――」
もっと向こうから違う犬の唸る声がした。大型犬の雑種だろうか。かなりデカい。
「そこで止まって! この子を連れて逃げて」
真由はエリザベスを渡そうとする。オレはそれに答えるため数歩だけ前に出る。
唸り声が大きくなる。デカ犬の頭上にアイツがいた。その右腕に光の剣が刺さっている。
勇者がいる――!?
やはり、真由が勇者なのか? なら、このまま後ろで様子を見ておけば――。
「お願いね」
エリザベスを受け取る。彼女の上着が破れていて下着が見えた。
何言ってるんだ、オレ!!!!
自分で自分の顔を叩き、向き直る。
受け取ったエリザベスと一緒にケルベロスを真由に押し付ける。危険か? と思ったがケルベロスは勇者の腕の中に移動された瞬間気絶した。どういう仕組みなのかという謎は今は置いておこう。
「あ、あの、拓也君?」
「真由こそ後ろに下がってろ! オレがなんとかする!!」
勇者を探す? 見つけられるかも?
そんな事で好きな女が傷つけられるのを見過ごす馬鹿は魔王でも男でもねぇ!!
そう、オレは勇者と約束した。けど、それを思い出す前から真由の事が好きだった。彼女の言葉で距離を置いてみたりしたけれど、やっぱり駄目だ。オレは真由が好き。好きなんだよ!!
だから、守る。勇者を見つけるのは後だ!!
「うぉぉぉぉ、きやがれ、野良犬!! 真由(の服)はオレが守る!!」
脱衣魔は装備を狙ってくる。オレの装備はそれなりに厚い。まず犬のマナー袋入れ盾で防御、長袖長ズボンだから真由より装甲力がある。
大型犬を抑え込むのは難しいかもしれないが、頭の上の脱衣魔を気絶させれば宿主になってる犬も一緒に気絶するはず。
この体、魔法は使えないが魔力保有はしている。体内に魔王の魔力はあるのだ。それを使って使い魔を使役できるのだ。野良状態の脱衣魔にオレとの使役契約を結ぶ魔力を流し込めば……。
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
ビリビリと左袖が持っていかれる。きれいに服だけ。スースーする。だが、触れた。脱衣魔の頭に。しかし、手応えがなかった。何かに弾かれたような感覚。
「うぎゃぁぁぁ」
今度はズボンの右側。やべぇ、すげぇパンクだ。
「や、やるな。さすがだ」
「拓也君! だから危ないって。やっぱり私が」
二匹の犬がいて戸惑っている真由。
オレは破れかぶれの服で格好をつける。
「大丈夫だ。問題ない」
その間にもズボンの尻部分が削られる。いや、どんな魔法だ?
嫌な汗が流れる。コイツ、出来る。
怪我もないのに、ハァハァと息があがる。恥ずかしさからだ。これ以上、真由の前でカッコ悪い(というか、恥ずかしい)姿を見せたくない。
「次こそ、決める!!」
指先に魔力を纏わせたまま、デカ犬に向かう。
「オレに従えぇぇぇぇ!!!!」
体中に懐かしい感覚が走る。魔王の体、大きな角、背にある羽、長い尻尾、長い髪。魔力が覚えているカタチなのだろうか。それがピッタリとハマった瞬間、脱衣魔の頭を掴んだ。今度は弾かれる事はなかった。
「気絶してろっ!!」
ちょうど後ろからは掌底を当てたように見えただろう。
グゥゥと一声あげ、デカ犬は気絶した。
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