前略、転生した勇者ちゃん、ちゃんと探してます。【凡人に】転生した魔王より

花月夜れん

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第31話 過去に妹を探した魔王

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 ジョギングくらいの速さで三人と一匹は走り出す。今日は勇者探しに加えて子どもの影とやらも探さなければならない。そうそう都合よくでるものなのか。
 あ、そうだった。犬の腹の中のアイツも忘れないようにしないと。正直、もう諦めてもいいかなと思いだしてはいるけれど……。
 そんな事を考えながらまわりをキョロキョロと見回してみる。
 同じようにキョロキョロしていた真由と目が合った。途端、真由はくすくすと笑い出す。

「まただね、なんだか懐かしい」
「ん? 何がだ?」
「ほら、昔あったじゃない。公園でみんなで遊んでたら突然永遠ちゃんがいなくなった事件」
「あー、あったね。そんな事! お母さん達とは別にボク達三人でも探したよね」

 確かに懐かしい。あれは夜が加わってすぐだったか。

「あったなぁ。あれ、永遠があんなとこで寝てしまうとは誰も思わないよなぁ」

 あの事件、大人じゃ入れない場所に妹はいた。オレ達三人で見つけた場所は中に入る事が出来る遊具。そこで永遠はすやすやと眠ってしまっていた。

「もしかしてその影も同じとこに隠れてたりして」

 真由の言葉にオレは頷く。

「調べてみようぜ。ちょうど通る道だしな」

 懐かしいな。オレにはもう一つ同じような出来事があった記憶がある。前世の方だ。
 まだ魔族と人の完全な敵対もなくて、魔王でもなかった小さな頃。トワイライトがどこかに行ってしまい、オレとミッドナイトの二人で探し回っていた時だ。(妹というのはどこでもこうなのか?)
 赤い髪の女の子が心配そうにオレ達を見ていて、すぐに声をかけてきた。

『誰か探してるの? 一緒に探してあげようか?』

 それが彼女、勇者マユとの出会いだった。
 人間なのにオレ達を見て怖がらず、助けようとしてくれる彼女にオレはたぶん一目惚れしてしまった。
 あれがおそらく初恋だったのだろう。初恋は実らないとはよく言ったものだ。あの後、魔王と勇者になるんだもんなぁ……。おっと、話がそれたかな。だけど、本当に懐かしい。
 公園についたので思い出をいったん片付ける。
 懐かしさに浸っていたオレ達を待っていたのは子どもの影ではなかった。

「やぁ、こんばんは!! 大間、遊佐さん、深井さん」

 ジャージ姿もイケてる男、池照緋彩いけてるひいろがこれでもかと輝く笑顔を浮かべていた。
 なぜお前がここにいる。どう見ても学校指定体操服にジャージ。オレ達と同じ格好。

「こんばんは。池照君、どうしたの?」

 真由が前に出て答える。なぜかオレと夜を守るような位置取り。たしかに池照のイケメンパワーはあまり直視したくないが真由にそれを浴びせるのはそれはそれで不愉快でもある。オレも前に行くか?
 池照はそれを気にする様子もなく、爽やかな笑顔で対応する。

「ん、君たちが体育祭に向けて練習していると鉄拳さんから聞いてね。僕も参加させてもらおうと思ってさ」

 鉄拳、あとで覚えてろよ。この場にいない鉄拳に頭の中で恨み言を述べた。
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