前略、転生した勇者ちゃん、ちゃんと探してます。【凡人に】転生した魔王より

花月夜れん

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第30話 続、挟み撃ちされる魔王

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 それは突然だった。いや、必然だったのか?

「今日は体調悪いからお兄ちゃんだけで行ってきて」

 と、妹。昨日の今日だ。様子を見ておきたかったが家のなかならおかしなことが起こってもきっと大丈夫だろう。使い魔開放の印は消しているし、仮だが契約はしている。使い魔が永遠から出て移動すればすぐわかるはずだ。たぶんだが――。

「今日は無理ッス。足が痛いッス。筋肉痛ッス」

 と、鉄拳。

「家の中が至高ッス。外は危険ッス」
「治ったらまた行こうね」
「ハイッス!」

 真由の誘いは断らないのだろう。いい返事をして今日は鉄拳は引っ込んだ。
 というわけで、オレ夜真由の三人で走ることになった。あ、犬も一緒に。

「なら、ちょうどいいな」
「ん?」
「ほら、たっくん。調べるんだろ!? 子どもの影の事」
「あぁ、そうだなー。探してみるか」
「カゲ? って、昨日の?」
「そうそう。このあたりでけっこう見られるらしいからさ。捕まえて正体明かしてみようぜって夜とさ」
「幽霊かな、なんだろうね」

 夜がやたらとグイグイ迫ってくるのでオレは追いやられ真由に近づいていく。

「幽霊なのかな。あまり危ないことに足を突っ込むのは……」
「真由ちゃん怖いの? なら、ボク達二人だけで行ってこよ――」
「別に怖くない! 行こう、拓也君!」

 真由もオレに近づいてきて、ふたたび挟み撃ちにされる。なんだ、これ。幸せか?
 じゃない、オレ走られなくなる。気がついたオレは前へと脱出し走り出す。

「よし、行くぞ! どこだ子どもの影ー!!」

 心臓が持たねぇ。なんだ、なんで突然ラブコメ主人公みたいに両手に花状態なんだよ?
 大好きな真由にドキドキするし、男っぽい格好をしているが実際は女の子な夜にドキドキする。やはり、妹。妹がいなければ危険だ。妹が間に入ってくれないと無駄に二人を意識してしまう。

 ガブリ

 まるで狙ったかのように犬が足に喰らいつく。ありがとうケルベロス。少しだけ冷静さを取り戻せたぜ。

「あ、またたっくんに噛みついてる」
「駄目だよケルちゃん。こっちにおいでー」

 この言葉によりオレは解放されたが、真由から逃げるようにオレの後ろに隠れたケルベロスのせいで彼女の顔ががっかりになってしまったのは言うまでもない。
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