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第43話 それは弱いかもしれない魔王
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がぶり
「うぉぉぉ、いってぇぇぇぇ。おいっ、離せケルベロスぅぅぅ!!」
小さめの中型犬サイズなのにありえない力でかじりつかれオレは目の前の男を殴る事ができなかった。
「あはは、なかなかの忠犬だね。流石、僕達の進路を阻んだ子だ。そうだね、この世界ではそれが正解だ」
スッとヒイロの姿が池照へと戻る。
「僕を殴れば、大間は捕まる。スマホで通報したり近くにある交番に僕が駆け込めばね……。暴力はダメだよなぁ。ははは、本当に頭が良い犬を飼っていて良かったな。大間」
オレはお巡りに二回もお世話になったのを思い出しグッとこらえた。拳をおろす。ただ、感情の拳だけは振り下ろせずにいた。
真由は偽物なんかじゃない。真由がマユであると知る前から、オレは真由を好きだったんだ。真面目で、正義感が強くて、優しくて、可愛い。
真由がマユであってもなくても真由が好きなんだ。まだ、言えてないけど。でも、そんな真由の事を偽物だと言われて悔しくて悔しくて。
オレは真由が勇者マユだったから好きになったんじゃない。真由が真由だから好きなんだ!
「さて、言葉で魔王に戻ってもらえなさそうなら、行動にでるしかないかな」
池照が手を叩く。それに答えるように数匹の小さな気配が動いた。
黒くて丸い体に顔と手足がついた姿の小鬼達。
あいつらもまた開放の印で勇者側の言う事をきくようにされているんだろうか。さすがに数が多すぎる。
「おいおい、暴力はダメだってさっきお前が言っていただろ……」
「暴力? そんな事するわけないだろ。さぁ、いけ! 小鬼達!!」
声がかけられ多数の小鬼がオレめがけて飛んでくる。その手にはとくに何もないけれど、いったい何のために!?
とっさに腕を前に出し防御態勢をとる。だが、無意味だった。なぜならコイツラの狙いは――。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁはははははははは、やめっ! はははっはは」
くすぐるために飛び付いてきたのだ。あ、ダメ。死ぬ、死ぬぅぅぅ!!!! やめてくれぇぇぇぇ!!
「さぁ、どうする! 大間。止めてやってもいいが約束してくれるならな!!」
「あぁぁぁぁぁはははははぁぁぁぁ」
誰が約束するものか。例えこの身が朽ち果てようとも、あ、アァァ、そこはダメだって――。ぬぁぁぁぁぁ!
オレは負けな、あ、あぁぁ笑い死ぬ。オレはここでもう……。
小さな指がヤバいくらいくすぐったくて悶えるしか出来ない。たぶん知らないやつが見たら一人で笑いまくってるヤベーやつにしか見えないだろう。
「お、オレは……」
「覚悟は決めたかな?」
「お、ひゃはひゃはは、お、オレは!!」
「たっくん!!!!」
聞き覚えのある声がした。その声と同時に小鬼達が離れて池照の後ろへと次々隠れていった。池照が離れるようにでも指示したのだろうか。とりあえずオレはくすぐり地獄から開放された。犬のかじりつきは外れていなかったけど。
一緒にこしょばされていたのに今まで口を離さなかったのは正直すごい。
「たっくんどうしたの? 大丈夫!?」
そして聞き覚えがある声の主は夜だった。
「うぉぉぉ、いってぇぇぇぇ。おいっ、離せケルベロスぅぅぅ!!」
小さめの中型犬サイズなのにありえない力でかじりつかれオレは目の前の男を殴る事ができなかった。
「あはは、なかなかの忠犬だね。流石、僕達の進路を阻んだ子だ。そうだね、この世界ではそれが正解だ」
スッとヒイロの姿が池照へと戻る。
「僕を殴れば、大間は捕まる。スマホで通報したり近くにある交番に僕が駆け込めばね……。暴力はダメだよなぁ。ははは、本当に頭が良い犬を飼っていて良かったな。大間」
オレはお巡りに二回もお世話になったのを思い出しグッとこらえた。拳をおろす。ただ、感情の拳だけは振り下ろせずにいた。
真由は偽物なんかじゃない。真由がマユであると知る前から、オレは真由を好きだったんだ。真面目で、正義感が強くて、優しくて、可愛い。
真由がマユであってもなくても真由が好きなんだ。まだ、言えてないけど。でも、そんな真由の事を偽物だと言われて悔しくて悔しくて。
オレは真由が勇者マユだったから好きになったんじゃない。真由が真由だから好きなんだ!
「さて、言葉で魔王に戻ってもらえなさそうなら、行動にでるしかないかな」
池照が手を叩く。それに答えるように数匹の小さな気配が動いた。
黒くて丸い体に顔と手足がついた姿の小鬼達。
あいつらもまた開放の印で勇者側の言う事をきくようにされているんだろうか。さすがに数が多すぎる。
「おいおい、暴力はダメだってさっきお前が言っていただろ……」
「暴力? そんな事するわけないだろ。さぁ、いけ! 小鬼達!!」
声がかけられ多数の小鬼がオレめがけて飛んでくる。その手にはとくに何もないけれど、いったい何のために!?
とっさに腕を前に出し防御態勢をとる。だが、無意味だった。なぜならコイツラの狙いは――。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁはははははははは、やめっ! はははっはは」
くすぐるために飛び付いてきたのだ。あ、ダメ。死ぬ、死ぬぅぅぅ!!!! やめてくれぇぇぇぇ!!
「さぁ、どうする! 大間。止めてやってもいいが約束してくれるならな!!」
「あぁぁぁぁぁはははははぁぁぁぁ」
誰が約束するものか。例えこの身が朽ち果てようとも、あ、アァァ、そこはダメだって――。ぬぁぁぁぁぁ!
オレは負けな、あ、あぁぁ笑い死ぬ。オレはここでもう……。
小さな指がヤバいくらいくすぐったくて悶えるしか出来ない。たぶん知らないやつが見たら一人で笑いまくってるヤベーやつにしか見えないだろう。
「お、オレは……」
「覚悟は決めたかな?」
「お、ひゃはひゃはは、お、オレは!!」
「たっくん!!!!」
聞き覚えのある声がした。その声と同時に小鬼達が離れて池照の後ろへと次々隠れていった。池照が離れるようにでも指示したのだろうか。とりあえずオレはくすぐり地獄から開放された。犬のかじりつきは外れていなかったけど。
一緒にこしょばされていたのに今まで口を離さなかったのは正直すごい。
「たっくんどうしたの? 大丈夫!?」
そして聞き覚えがある声の主は夜だった。
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