前略、転生した勇者ちゃん、ちゃんと探してます。【凡人に】転生した魔王より

花月夜れん

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第47話 魔王仲間と引き離される

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 体育館倉庫の裏についた。だが、誰もいない。
 オレはクラス旗の棒を拾いあげた。
 覗き魔デビルアイの視覚に繋ごうとしてみるがうまく繋がらない。どこかで混線しているような感じだ。ただ、繋がっている感覚は残っているので殺されたりしたわけでは無さそうだ。

「その為か――」

 もし開放の印を覗き魔デビルアイに刻まれていればオレが召喚取り消しをした瞬間勇者側に持って行かれる。このまま呼び出し続けなければ、覗き魔デビルアイはオレからひき剥がされる。
 魔王だったと思い出してからの付き合い……凡人になったオレについてきてくれた最初の使い魔。道に落ちてたアイツと……、ずっと一緒だったアイツと別れる?
 無理だ!!
 オレは覗き魔デビルアイとの繋がりが消えないように魔力を送り続ける。使い魔は普段物に触れたりは出来ない。オレの魔力を使って体を得ているのだ。
 こんな事をするのは、力を使うなと言っていた勇者マユではない。
 開放の印を持った小鬼ゴブリン達を使役していたのは池照緋彩。
 開放の印を刻めるのは勇者ではなく、池照だったのか。そして今回、覗き魔デビルアイをさらったのも恐らく……。
 このまま力を使い続ければ魔王になるってか?
 もう一度ぐるりとあたりを確認したあとオレは教室に棒を持っていった。
 教室には真由と池照がいた。
 誰もいなければ置いて帰るつもりだったんだが……。

「拓也君……?」

 真由に気がつかれ、隠れる事も逃げる事も出来なくなり教室に入る。

「これ、体育館倉庫の裏にあった」

 持っていた棒を二人の間に置いた。

「え、え? 何でそんなところに?」
「誰かがイタズラしたんじゃないかな。見つけてくれてありがとう大間」

 池照のセリフがわざとらしく聞こえる。

「どういたしまして」

 覗き魔デビルアイの気配を探すが見つからない。ここにはいないのか?

「見つかったなら鉄拳さんを呼びに行かないとだね。遊佐さん、僕が行くからもう帰ってていいよ」
「鉄拳?」

 どうしてここで鉄拳の名前が出てくるのか。

「鉄拳さんもね、責任を感じてて探してるところなんだ。メッセージも送っておくよ。じゃあ、明日頑張ろうな、大間!! 遊佐さん!!」
「うん、わかった。これ旗にくっつけてから帰るね」
「あぁ、よろしく」

 オレが一言も発せないまま、池照は走っていった。
 残されたオレと真由はゆっくりと顔を合わせた。

「なんだか、久しぶりに見た気がするね」
「そうだな、まあ忙しかっただろうし」

 ふふっと笑いながら真由は棒を手にとってクラス旗に近寄る。

「良かった。拓也君が見つけてくれなかったら、これから池照君と二人で買いに行こうって話してたの」

 オレは内心で池照と真由のデートを潰せた事を喜びつつ、勇者マユが怒っていないかで震えていた。
 使い魔の姿が見えないなら、力を使っているかどうかバレていないだろうか。

「オレも手伝うよ」
「ありがとう」

 いつもの真由だ。でも、マユはこの瞬間も見て聞いているんだろう。
 一緒になろうと約束した魔王が体は自分とはいえ意識が違う女の子とこうして仲良くしているところを見るのはどんな気分なんだろう。
 自分に置き換え考えたら涙が出てきてしまった。

「どうしたの? 拓也君」
「ごめん、何でもない。何でもないんだ」
「うん? 本当に大丈夫?」
「うん、ごめんね。本当にごめん」

 オレ達はクラス旗を完成させ、教室を後にした。
 久しぶりに真由と二人きりの帰路。覗き魔デビルアイがいなくなっていなければもっと気持ちもウキウキしていただろう。他愛ない会話を交わしながら家の前まできた。

「いよいよだね。練習最後まで頑張れた?」
「そうだな。それなりかな」
「私もちょっとははやくなれたかな。……。拓也君、明日頑張ろうね」
「おぅ、明日頑張ろうな!」

 夜の散歩の時にも勇者マユ、池照どちらからも接触はなかった。持久戦だろうか。オレは明日に備えはやく寝ることにした。体育祭勝利のためと覗き魔デビルアイを取り返す、そのために……。
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