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第52話 魔王昼休憩中
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いくつかの競技を終え昼休憩。親が来ていれば一緒に食べれる事になっているが男子の大半はいつも通り。オレもいつものようにいつもの場所で昼を食べ始めた。
「たっくん凄かったね!」
左に夜と。
「お兄ちゃん凄かったね!!」
右に妹。
そして目の前には真由が……いなかった。
なんで妹なんだ。なんで……。
父母は妹を置いて二人プラス犬でラブラブと昼食をとっているそうだ。おい、もう少し妹の事見てやれよと思ったが、出張から帰ってきた父さんが母さんにラブラブモードを展開しているのを見て妹も遠慮してやっているのだろう事が読めたのでオレはその優しさを汲もうと思う。
「お兄ちゃん、いっつもここでご飯たべてるし?」
「おー、食ってる食ってる」
「へー!! 高校入ったらあたしもここで食べたい!!」
「止めないが女子の人気スポットはここじゃないぞ」
「みたいだね。夜ちゃんとお兄ちゃんしかいないし」
「でも、今日は永遠ちゃんが一緒だね」
「うん、えへへ」
女子に囲まれ幸せじゃないかって? そうかもしれん。だが足りない。足りないんだよ!! 真由成分がな!!
確かに二人は可愛い。夜はカッコよくて可愛い。永遠はいつも通り可愛い。
ここに真由の超女神可愛いを欲するのは欲が過ぎるだろうか。うぅ、でも足りない……。
探しに行くのは迷惑だろう。両親とお弁当を食べているところかもしれないから。
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが走ってた時さぁ、馬――」
「馬!?」
「あ、ううん。スタートダッシュ上手かったね!」
あー、びっくりした。妹に風の暴れ馬の事が見えていたのかと思ったぜ。
「そ、そうか。やー、皆と走るの頑張ったからなー」
オレはそう言って、お弁当の卵焼きを一つ箸で摘み上げ口に運ぶ。母さんの甘い卵焼きだ。
「……たっくん、綱引きもカッコよかったよね。最後なんて気迫のあまり背後にデ――」
「デ!?」
「鬼みたいなほとばしるオーラを感じたよ。あっはっは」
ふー、違ったか。一瞬デーモンとでも言うのかと思ったが。なんだ、ただのオレの気迫のイメージか。そうか、そうだよな。
「アンカーといえば綱引きの責任者。めちゃくちゃ頑張ったからな」
オレは鼻高々になりながらブロッコリーの塩炒めをつつく。お弁当唯一の緑色。うん、程よい塩気。
「お兄ちゃんすごかったよね」
「たっくん凄かったね!」
二人はまるで魔王だった時のトワイライトとミッドナイトのように二人でオレを持ち上げてくる。懐かしいやら恥ずかしいやら、くすぐったくなりオレはほんのり熱を帯びた頬をかいた。
昼休憩中に真由が来ないか少し期待をしていたが、弁当箱が空になっても彼女は現れなかった。
「あ、ボクそろそろ準備始めないと!」
夜が立ち上がる。彼女は次の借り物競争で出走予定だからだ。
「あ、あたしもそろそろお父さんお母さんのところに行かないとだね」
永遠も立ち上がり、夜と一緒に行こうとする。
「お兄ちゃん、昼からも頑張ってね」
「たっくん、次のレース応援してくれよな」
二人は仲良さげに並んで出入り口に向かう。オレはそれに手を振りゆっくりと片付けに入った。
「こないよな……」
約束もしてない真由がくるわけないのに。
ただ、声が聞きたかった。どうして言う事を聞いてくれなかったのかと。そして理由を話させてほしかった。それならしょうがないなと言って欲しかった。
あの日からまた会えなくなった勇者マユ。魔王のオレが彼女に会いたくて仕方がなかったのだ。
一瞬の風が吹いた。その後すぐ光がオレの顔の横を通り過ぎた。
「何で、言う事を聞いてくれなかったの……」
オレの想像した声が頭上からかけられる。
天空から女神が舞い降りてきた。
「拓也君……」
「真……由……」
いや、違う。真由の姿をした彼女は勇者マユだった。
「たっくん凄かったね!」
左に夜と。
「お兄ちゃん凄かったね!!」
右に妹。
そして目の前には真由が……いなかった。
なんで妹なんだ。なんで……。
父母は妹を置いて二人プラス犬でラブラブと昼食をとっているそうだ。おい、もう少し妹の事見てやれよと思ったが、出張から帰ってきた父さんが母さんにラブラブモードを展開しているのを見て妹も遠慮してやっているのだろう事が読めたのでオレはその優しさを汲もうと思う。
「お兄ちゃん、いっつもここでご飯たべてるし?」
「おー、食ってる食ってる」
「へー!! 高校入ったらあたしもここで食べたい!!」
「止めないが女子の人気スポットはここじゃないぞ」
「みたいだね。夜ちゃんとお兄ちゃんしかいないし」
「でも、今日は永遠ちゃんが一緒だね」
「うん、えへへ」
女子に囲まれ幸せじゃないかって? そうかもしれん。だが足りない。足りないんだよ!! 真由成分がな!!
確かに二人は可愛い。夜はカッコよくて可愛い。永遠はいつも通り可愛い。
ここに真由の超女神可愛いを欲するのは欲が過ぎるだろうか。うぅ、でも足りない……。
探しに行くのは迷惑だろう。両親とお弁当を食べているところかもしれないから。
「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが走ってた時さぁ、馬――」
「馬!?」
「あ、ううん。スタートダッシュ上手かったね!」
あー、びっくりした。妹に風の暴れ馬の事が見えていたのかと思ったぜ。
「そ、そうか。やー、皆と走るの頑張ったからなー」
オレはそう言って、お弁当の卵焼きを一つ箸で摘み上げ口に運ぶ。母さんの甘い卵焼きだ。
「……たっくん、綱引きもカッコよかったよね。最後なんて気迫のあまり背後にデ――」
「デ!?」
「鬼みたいなほとばしるオーラを感じたよ。あっはっは」
ふー、違ったか。一瞬デーモンとでも言うのかと思ったが。なんだ、ただのオレの気迫のイメージか。そうか、そうだよな。
「アンカーといえば綱引きの責任者。めちゃくちゃ頑張ったからな」
オレは鼻高々になりながらブロッコリーの塩炒めをつつく。お弁当唯一の緑色。うん、程よい塩気。
「お兄ちゃんすごかったよね」
「たっくん凄かったね!」
二人はまるで魔王だった時のトワイライトとミッドナイトのように二人でオレを持ち上げてくる。懐かしいやら恥ずかしいやら、くすぐったくなりオレはほんのり熱を帯びた頬をかいた。
昼休憩中に真由が来ないか少し期待をしていたが、弁当箱が空になっても彼女は現れなかった。
「あ、ボクそろそろ準備始めないと!」
夜が立ち上がる。彼女は次の借り物競争で出走予定だからだ。
「あ、あたしもそろそろお父さんお母さんのところに行かないとだね」
永遠も立ち上がり、夜と一緒に行こうとする。
「お兄ちゃん、昼からも頑張ってね」
「たっくん、次のレース応援してくれよな」
二人は仲良さげに並んで出入り口に向かう。オレはそれに手を振りゆっくりと片付けに入った。
「こないよな……」
約束もしてない真由がくるわけないのに。
ただ、声が聞きたかった。どうして言う事を聞いてくれなかったのかと。そして理由を話させてほしかった。それならしょうがないなと言って欲しかった。
あの日からまた会えなくなった勇者マユ。魔王のオレが彼女に会いたくて仕方がなかったのだ。
一瞬の風が吹いた。その後すぐ光がオレの顔の横を通り過ぎた。
「何で、言う事を聞いてくれなかったの……」
オレの想像した声が頭上からかけられる。
天空から女神が舞い降りてきた。
「拓也君……」
「真……由……」
いや、違う。真由の姿をした彼女は勇者マユだった。
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