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第51話 負けられない戦いがある魔王
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ずっしりとして重たいロープを持ち上げる。覚悟を決め肩にまわしぐるりとかける。
やれるだけやるしかない。幸い風の暴れ馬のように最初から出てくる様子はない。
オレはその時を待つ。
「ヨーイ!!」
また頭迄先生がスターターピストルを構える。音がなれば綱引きの始まりだ。
ごくりとつばを飲み込む。
パァン!!
音が鳴り響きオレは必死に後ろへとロープを引っ張る。おぉ、何気にいけるんじゃないか?
相手チームとほぼ互角、なんなら優勢っぽい感じで試合は進んでいる。
そう、オレのクラスにも運動部の奴らは多い。
「勝つ、絶対に勝って告白するんだぁぁあ」
と力強くだが声量はものすごく小さく叫ぶクラスメイトまでいる。そうか、オレ以外にもそんな男がいるんだな。オレは一人じゃないと思える力強さを貰えた気がした。
「せーの、せーの!!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
よし、よしよし! 勝てる。これなら勝てる。
そう思った時だった。池照がオレの方を見てニヤリと笑みを浮かべた。同時にひょこっと影が相手側に現れた。
「なっ!?」
池照の使う小鬼?
一匹出てきて相手側のロープに掴まり引っ張り出す。ぐっと引っ張る力が少し強くなる。
もう一匹増える。また少し引きが強くなり、向こうへと引き摺られる。ヤバい。三匹、四匹……。小鬼自体はそこまで力がない。だが数がどんどん増えていけば当然こちらが負ける。
少しずつ少しずつ敵側に中心の印が移動していく。
「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!!」
限界だ。これ以上増えたら……。もう一匹が現れる。負ける。負けたら、覗き魔が帰ってこない?
それはダメだぁぁぁぁ!!
そう思うのに引き摺られていた。力をいれ抵抗しても持っていかれる。もうダメだと思った瞬間急にがくんと後ろに引っ張られた。
よくわからないがオレは好機と一気に力をいれた。
「う、おぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
てか、これオレが引っ張られてない?
こう大きくて温かい何かに包まれているような……。
パンッ!!
勝負の勝敗が決まった音がした。勝ったのはオレのクラス!!
「やった!」
飛び上がるため急いでロープをはずそうとした。だが熱い抱擁でそれが叶わない。誰だよ、まったく……オレの後ろから抱きつくなんて――。
逞しい腕、熱い胸板……そう、オレの使い魔縁の下の力持ちだった。
(出てきてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)
言っただろ? オレ出てくるなって言ったよな!
さっさと帰れと縁の下の力持ちに命令する。さっと消えてくれたが、アイツ消える前にやれやれと鼻で笑って消えた。
(あぁ、そうだな。お前がいなきゃ負けてたよ。ありがとなっっ)
今回は間違いなく勇者マユに見られた。というか、真由ががっつりとこっちを見ている。
約束破ってることがバレてしまった。これはもう覚悟を決めないとダメなヤツか……。
(よし、魔王のオレを生贄に差し出して大間拓也のオレは助けてもらおう)
オレの脳内会議は大乱闘が起きていた。
やれるだけやるしかない。幸い風の暴れ馬のように最初から出てくる様子はない。
オレはその時を待つ。
「ヨーイ!!」
また頭迄先生がスターターピストルを構える。音がなれば綱引きの始まりだ。
ごくりとつばを飲み込む。
パァン!!
音が鳴り響きオレは必死に後ろへとロープを引っ張る。おぉ、何気にいけるんじゃないか?
相手チームとほぼ互角、なんなら優勢っぽい感じで試合は進んでいる。
そう、オレのクラスにも運動部の奴らは多い。
「勝つ、絶対に勝って告白するんだぁぁあ」
と力強くだが声量はものすごく小さく叫ぶクラスメイトまでいる。そうか、オレ以外にもそんな男がいるんだな。オレは一人じゃないと思える力強さを貰えた気がした。
「せーの、せーの!!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
よし、よしよし! 勝てる。これなら勝てる。
そう思った時だった。池照がオレの方を見てニヤリと笑みを浮かべた。同時にひょこっと影が相手側に現れた。
「なっ!?」
池照の使う小鬼?
一匹出てきて相手側のロープに掴まり引っ張り出す。ぐっと引っ張る力が少し強くなる。
もう一匹増える。また少し引きが強くなり、向こうへと引き摺られる。ヤバい。三匹、四匹……。小鬼自体はそこまで力がない。だが数がどんどん増えていけば当然こちらが負ける。
少しずつ少しずつ敵側に中心の印が移動していく。
「ぬぁぁぁぁぁぁぁ!!」
限界だ。これ以上増えたら……。もう一匹が現れる。負ける。負けたら、覗き魔が帰ってこない?
それはダメだぁぁぁぁ!!
そう思うのに引き摺られていた。力をいれ抵抗しても持っていかれる。もうダメだと思った瞬間急にがくんと後ろに引っ張られた。
よくわからないがオレは好機と一気に力をいれた。
「う、おぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
てか、これオレが引っ張られてない?
こう大きくて温かい何かに包まれているような……。
パンッ!!
勝負の勝敗が決まった音がした。勝ったのはオレのクラス!!
「やった!」
飛び上がるため急いでロープをはずそうとした。だが熱い抱擁でそれが叶わない。誰だよ、まったく……オレの後ろから抱きつくなんて――。
逞しい腕、熱い胸板……そう、オレの使い魔縁の下の力持ちだった。
(出てきてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)
言っただろ? オレ出てくるなって言ったよな!
さっさと帰れと縁の下の力持ちに命令する。さっと消えてくれたが、アイツ消える前にやれやれと鼻で笑って消えた。
(あぁ、そうだな。お前がいなきゃ負けてたよ。ありがとなっっ)
今回は間違いなく勇者マユに見られた。というか、真由ががっつりとこっちを見ている。
約束破ってることがバレてしまった。これはもう覚悟を決めないとダメなヤツか……。
(よし、魔王のオレを生贄に差し出して大間拓也のオレは助けてもらおう)
オレの脳内会議は大乱闘が起きていた。
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