前略、転生した勇者ちゃん、ちゃんと探してます。【凡人に】転生した魔王より

花月夜れん

文字の大きさ
50 / 66

第50話 一番後ろにされた魔王

しおりを挟む
 部活動リレー。一年から三年の部のエース達が参加する。運動部はそれぞれの部のプライドをかけて全力疾走。文化部はそれぞれ使う道具がバトンで楽しそうだ。現在帰宅部を選択しているオレはそれを眺めながら考えていた。

(どうして、風の暴れ馬ストームホースは勝手に出てきたんだ?)

 魔法陣の紙は持っている。だが、オレは呼び出していない。……仲間の絆? 使い魔同士、助けなければと闘志を燃やしているのか?
 そうなると綱引きもヤバいだろうか。縁の下の力持ちデーモンが来ないとは言い切れない。
 あのでかいのがオレの後ろに並べば明らかに妙な空間が生まれてしまう。そうなったら……。
 いやいや、その前に真由に……、鉄拳や池照に目撃されてしまうんじゃないのか!?
 紙を破り捨てておくか? って、出来ない。これは覗き魔デビルアイ召喚に使った紙だから破り捨ててしまうと何が起こるかわからない。

「おかえりなさい、遊佐さん」
「かっこよかったねー!」

 きゃっきゃと女子の方は戻ってきた運動部のエース達と会話を弾ませる。真由は陸上一年のエースだから選ばれていた。
 走る姿、めちゃくちゃ格好良かった。陸上で、事件に駆けつける速さを鍛えているんだろう。やっぱり勇者だなぁ。実際足めちゃくちゃ速かったからなぁ。
 そして男子のエース……池照も女子達から持て囃されていた。
 ぐぬぬと思いながらも帰宅部のオレは何も言えなかった。体育祭終わったら、何か部活に入ろうかな……。出来れば真由と一緒に――。
 さぁ、次は綱引きだ。まずは一年。ロープが並び準備が終わったようだ。オレ達は立ち上がり中央へと駆け出す。

(出るなよ、絶対に出るなよ!?)

 心の中で何度も縁の下の力持ちデーモンに言い聞かせて位置についた。あれ?
 何故かオレは一番後ろへと追い出された。

「大間、お前が男子の一番後ろだ!! 頑張れよ」
「ちょ、え、なんでぇッ!?」

 池照がどうやら指示してオレを一番後ろにしたようだ。

「負けたらお前の力不足だからなぁ」
「そうだぜ、アンカー」
「頑張れよ、大間ぁ!!」

 次々に前に立つ男達が同じ様なセリフを言いサムズアップする。ちくしょう!! お前らオレに負けた時の責任を全部押し付けるつもりだなぁぁぁぁぁぁぁ!?
 知らないうちにアンカーにさせられたオレ。いや、何でだよ!!
 相手クラスのアンカーはどう見たって運動部、めちゃくちゃ強そうなんだが!?
 なんだよ、あのオレ百戦錬磨です! って顔はよぉぉぉぉ!!
 こういうのは頭脳派魔王(?)だったオレより、絶対脳筋戦士とかがやるべきだろぉぉぉぉ!!
 そもそも、池照お前クラスが負けたらカッコ悪いとか思われる立場じゃないのか、おいっ!?
 いやこういう時、スマートな池照ならきっとこう言うにちがいない。

「カッコいいところを好きな人に見せたいって大間が言うから交代してあげたんだ。だけど残念だったよ」

 とか何とかさぁぁぁぁ!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました

ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公 某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生 さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明 これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語 (基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

滅びた勇者の弟に転生したけど、兄の残した絆で世界を救うことになりました

eringi
ファンタジー
最強の勇者として名を馳せた兄が、魔王との最終決戦で命を落とした。 兄を尊敬していた普通の青年・遥斗は、死の間際に異世界へ転生。だが目を覚ますと、自分は伝説の勇者の“弟”として生まれ変わっていた。 かつて兄が守った世界は、今や崩壊寸前。人々の希望は失われ、兄の名さえも忘れ去られようとしている。 兄の残した仲間たち、託された剣、そして血に刻まれた勇者の記憶。 「俺は俺のやり方で、この世界を救う」――かつての英雄の弟が、亡き兄を超えるために歩み出す。 家族愛と仲間の絆が織りなす、再生のファンタジー。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...