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第49話 咥えられる魔王
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スターターピストルの音が晴れた空に響く。あと二人まできた。
オレはイメトレをしながら順番を待つ。横に並ぶ顔は練習と違っていた。点数稼ぎのためか、わりと速いヤツラがオレの列に割り当てられたようだ。なんでうちのクラスはシャッフルかけてないんだよ!!
勝てる気がしない。アイツもアイツも運動部じゃねーか!!
負ける訳にはいかない。負ける訳にはいかないが、使い魔に頼る訳には……。
ブルル
荒い鼻息があがる。人間というよりは馬のような。
背後に感じる荒い鼻息の主が気になりちらりと後ろを向くとそこにいたのは風の暴れ馬だった。
って、何勝手に出てきてるんだよ。お前ェェェェェェッ!? オレ呼んでないよ? 早く戻れって!!
パンッ!
オレの前がスタートする。はやく、戻れって。
「大間、早く位置につけ」
スターターピストルを構える頭迄枡瑠先生。なんだかそのままオレまで撃ちそうな気迫を感じる。
「ハイッ!!」
急いで位置につく。もちろんすぐ後ろに風の暴れ馬付きだ。オレの魔力を使ってないから見えないよな? 見えてないよな?
冷や汗をかきながら自クラスを見る。真由の視線が痛い気がする。
やばいやばいやばいやばい。オレ席に戻ったらヤられる?
前が走り終わった。瞬間風の暴れ馬がオレの襟首に噛みつく。
「お、おぃ!?」
「よーい!!」
パンッ!
ピストルの音でオレは数cm浮き上がりすごい速さでゴールに向かう。オレの力ではなく風の暴れ馬がオレを咥えて走っている。
おい、やめろ。やめっ……。
風の抵抗で顔が歪む。おい、もうちょっと手加減――。
ゴールテープを切ったのはオレ。普通の人にはオレしか見えてないから。ゴールした瞬間ものすごい風が吹き、生徒たちが目をおおう。
風の暴れ馬は何食わぬ顔でさっさと消えた。残されたオレは変な笑いを浮かべながら走り終わった人の待機列へと足を運んだ。
遠くにいる真由がじーっとこちらを見ている。あれは、真由なんでしょうか。勇者マユなんでしょうか。
ビクビクしながら百メートル走が終わるのを待つ。
「すげぇー、あの男子みたいな女子。足速いぞ」
夜が走る頃にはオレが走った時に起きた暴風のことは忘れられていた。と、思いたい……。
「たっくん。おめでとう! 一番だね!!」
「あ、あぁ」
席に戻る前に夜からおめでとうをもらった。もう、このまま腹痛でも起きたことにして保健室に駆け込もうかな。
だけど、保健室の先生は外にいるから引っ込まないまま先生の横の椅子に座る事になりそうだ。
池照からも真由からも見える場所。気まずい。気まずすぎる。
「大間、一位おめでとう。残りの綱引きも頑張ってくれ」
自席に座ると同時に池照が声をかけてきた。
クラスの男子達が笑ってるのは何でだ?
「おい、大間。お前光の勇者か何かか?」
クラスの男子一人が声をかけてきた。
光の勇者? それはオレではなく勇者マユだろ。光の剣を使うからな。うん、光の勇者はマユだ。
「何の話だ?」
「いや、お前が走り出した瞬間ヤバかったんだぜって! まず目も開けられないほどの風が吹き荒れ――」
うん、それは風の暴れ馬のせいだな。目が開けられないほどならちょうど良かったのか?
「それに耐えてたヤツラは突然カメラのフラッシュみたいなので目をやられて――」
それはカメラのフラッシュだったのでは?
「それも耐えてたヤツは犬の暴走に気を取られてしまって」
……犬の暴走?
「そうそう、突然この席周辺に黒柴が現れて頭の上を走っていったんだ。遊佐さんが捕まえようとして逃げたけど」
……それはうちのケルベロスかもしれない。
「あ、ほら。あのツインテの女の子が抱えてる犬だな」
はい、確定しました。
「気がついたら大間が一位とってたんだぜ。すげーけど誰もお前がゴールする瞬間を見てなかったんだよ」
オレは笑いを堪えられず笑ってしまう。偶然か、そうでないかはわからない。だが、なんとか守られていたのかもしれない。
「拓也君お疲れ様! 一位やったね!」
だって、ほら真由がいつもの笑顔でお疲れ様と言ってくれているから。
オレはイメトレをしながら順番を待つ。横に並ぶ顔は練習と違っていた。点数稼ぎのためか、わりと速いヤツラがオレの列に割り当てられたようだ。なんでうちのクラスはシャッフルかけてないんだよ!!
勝てる気がしない。アイツもアイツも運動部じゃねーか!!
負ける訳にはいかない。負ける訳にはいかないが、使い魔に頼る訳には……。
ブルル
荒い鼻息があがる。人間というよりは馬のような。
背後に感じる荒い鼻息の主が気になりちらりと後ろを向くとそこにいたのは風の暴れ馬だった。
って、何勝手に出てきてるんだよ。お前ェェェェェェッ!? オレ呼んでないよ? 早く戻れって!!
パンッ!
オレの前がスタートする。はやく、戻れって。
「大間、早く位置につけ」
スターターピストルを構える頭迄枡瑠先生。なんだかそのままオレまで撃ちそうな気迫を感じる。
「ハイッ!!」
急いで位置につく。もちろんすぐ後ろに風の暴れ馬付きだ。オレの魔力を使ってないから見えないよな? 見えてないよな?
冷や汗をかきながら自クラスを見る。真由の視線が痛い気がする。
やばいやばいやばいやばい。オレ席に戻ったらヤられる?
前が走り終わった。瞬間風の暴れ馬がオレの襟首に噛みつく。
「お、おぃ!?」
「よーい!!」
パンッ!
ピストルの音でオレは数cm浮き上がりすごい速さでゴールに向かう。オレの力ではなく風の暴れ馬がオレを咥えて走っている。
おい、やめろ。やめっ……。
風の抵抗で顔が歪む。おい、もうちょっと手加減――。
ゴールテープを切ったのはオレ。普通の人にはオレしか見えてないから。ゴールした瞬間ものすごい風が吹き、生徒たちが目をおおう。
風の暴れ馬は何食わぬ顔でさっさと消えた。残されたオレは変な笑いを浮かべながら走り終わった人の待機列へと足を運んだ。
遠くにいる真由がじーっとこちらを見ている。あれは、真由なんでしょうか。勇者マユなんでしょうか。
ビクビクしながら百メートル走が終わるのを待つ。
「すげぇー、あの男子みたいな女子。足速いぞ」
夜が走る頃にはオレが走った時に起きた暴風のことは忘れられていた。と、思いたい……。
「たっくん。おめでとう! 一番だね!!」
「あ、あぁ」
席に戻る前に夜からおめでとうをもらった。もう、このまま腹痛でも起きたことにして保健室に駆け込もうかな。
だけど、保健室の先生は外にいるから引っ込まないまま先生の横の椅子に座る事になりそうだ。
池照からも真由からも見える場所。気まずい。気まずすぎる。
「大間、一位おめでとう。残りの綱引きも頑張ってくれ」
自席に座ると同時に池照が声をかけてきた。
クラスの男子達が笑ってるのは何でだ?
「おい、大間。お前光の勇者か何かか?」
クラスの男子一人が声をかけてきた。
光の勇者? それはオレではなく勇者マユだろ。光の剣を使うからな。うん、光の勇者はマユだ。
「何の話だ?」
「いや、お前が走り出した瞬間ヤバかったんだぜって! まず目も開けられないほどの風が吹き荒れ――」
うん、それは風の暴れ馬のせいだな。目が開けられないほどならちょうど良かったのか?
「それに耐えてたヤツラは突然カメラのフラッシュみたいなので目をやられて――」
それはカメラのフラッシュだったのでは?
「それも耐えてたヤツは犬の暴走に気を取られてしまって」
……犬の暴走?
「そうそう、突然この席周辺に黒柴が現れて頭の上を走っていったんだ。遊佐さんが捕まえようとして逃げたけど」
……それはうちのケルベロスかもしれない。
「あ、ほら。あのツインテの女の子が抱えてる犬だな」
はい、確定しました。
「気がついたら大間が一位とってたんだぜ。すげーけど誰もお前がゴールする瞬間を見てなかったんだよ」
オレは笑いを堪えられず笑ってしまう。偶然か、そうでないかはわからない。だが、なんとか守られていたのかもしれない。
「拓也君お疲れ様! 一位やったね!」
だって、ほら真由がいつもの笑顔でお疲れ様と言ってくれているから。
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