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第58話 魔王、一件落着ですか?
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オレはとりあえず池照の事を置いておく事にした。(ちゃんと息はしてるし、倒れてる屋上の床面はちょっと硬そうだがまあ大丈夫だろう)
久しぶりに会った前世の仲間と話したいからだ。今までどこにいたんだとか、どうしてたんだとか、気になる事だらけだもんな。
「久しぶり、トワイライト……」
ぎこちなく笑顔を浮かべる。妹までこっちにきてるとなると前世の世界はいったいどうなってるんだろう。
「お久しぶりです。お兄ちゃん、じゃなくて常闇夜様、それじゃあ、あたし用事があるから失礼しまーす!!!!」
「え、あ、おいっ?」
その犬うちの犬なんだけど……。トワイライトはケルベロスを連れて走り出し、さっさと姿を消した。少しくらい話をしてくれたっていいのに。そんなに兄の事が嫌いだったのか。
まあ、次だ。ミッドナイトに目を合わせる。あ、ミッドナイトは目が隠れてたから目を合わせらんねーや。
「よぉ、ミッドナイト。久しぶりだな。お前もこっちにいたのかよ。もっとはやく会いに来て欲しかったぜ。積もる話が――」
話してる最中にミッドナイトが自分の姿を確認しているようだった。そして、ペコリとお辞儀をした。
「すいません、ボクもこれで失礼します」
闇にとけるような、おそらく魔法によってミッドナイトも姿を消す。
お前もかよ。二人して一体何しに来たんだよ!!
いや、助かったんだけどな……。少しくらい話をだな。
残されたのはオレ、マユ、倒れてノビた池照。
「あ、マユさん……。えっと」
操られていたとは言え盛大な告白をした後だ。だんだん冷静になっていく自分とは対照的に脳内には恥ずかしさで爆発しそうな自分がいる。
落ち着け、落ち着いて勇者マユに再告白をしなくては――。
マユはというと耳まで真っ赤になっていたKAWAIIな、おい。
「あのぉ、マユさん?」
「あ、そうだね。ちょっと待ってください。いま回復させるね。このままじゃ、拓也君が暴力で訴えられちゃうよね」
「う、やっぱりそうなるのかな」
オレを散々操ってくれたお返しのつもりだが実際はオレだけが手をあげた事になる。
「本当はこのままにしておきたいけど、傷だけは治しておかないと」
そう言って、マユは池照に手を当てる。勇者の魔法はこちらでも使えるのだろうか。光の剣と同じ様な光が池照の腹の上で輝く。
「これで大丈夫だと思うけど」
「でも、目が覚めたらまたくるんじゃないのか」
「私が説得してみるよ。だから、……えっと拓也君は池照君に近付かないようにしてもらっていいかな」
「それは構わないけど――」
「それと今は魔力暴走が止まってるみたいだけど後でゆっくりと話を聞かせてもらっていいかな」
背筋に寒いものを感じる。目がマジだ。怒ってるのかどうかもわからない。こう、とにかく恐ろしさだけが感じられる表情。
オレは情けなく「はい」と答える事しかできなくなった。実際転生させるだけの力がマユにはあるんだ。オレはまだ父母より先に逝くつもりはない。
「じゃあ、下に行こう。昼からの競技始まっちゃってるよ」
「え、あ、そうだな。でもこの格好じゃ……」
「いつもの自分の姿を思い出してみて」
「いつもの?」
凡人のオレ、凡人のオレ、凡人のオレ。
すぐに想像出来た。
「思い出した? そのままその姿を上から被るの」
「上から被る!?」
よくわからないが着ぐるみだとおもえばいいのか?
オレの姿の着ぐるみってどこに需要があるんだ?
頭の中で言われた通りオレの姿を上から着てみた。うん、しっくりくる。
「うん、上手だね。拓也君に戻ってる」
「え、マジ?」
確かに尻尾の感覚は消え羽もない。頭に手を当てる。角もなし。長い髪も元通り短くなっていた。どういう仕組みなんだ?
気になって仕方がない。詳しく聞きたいけれど、いまはさっさとマユの言う事を聞いて自分の席に戻るべきだろう。多少背中側が破れているが、教室に寄ってジャージの上着を羽織れば隠せるだろう。
「じゃあ、オレ戻って――」
池照の目が開いていた。その手にカッターが握られている。それがマユに向かって伸びようとしている瞬間だった。
「マユ――――」
何でこんな時に思い出すんだ、オレは……。
前世のオレに致命傷を与えたのは、マユごと貫いた人間も殺せる長い剣だったんだ。
久しぶりに会った前世の仲間と話したいからだ。今までどこにいたんだとか、どうしてたんだとか、気になる事だらけだもんな。
「久しぶり、トワイライト……」
ぎこちなく笑顔を浮かべる。妹までこっちにきてるとなると前世の世界はいったいどうなってるんだろう。
「お久しぶりです。お兄ちゃん、じゃなくて常闇夜様、それじゃあ、あたし用事があるから失礼しまーす!!!!」
「え、あ、おいっ?」
その犬うちの犬なんだけど……。トワイライトはケルベロスを連れて走り出し、さっさと姿を消した。少しくらい話をしてくれたっていいのに。そんなに兄の事が嫌いだったのか。
まあ、次だ。ミッドナイトに目を合わせる。あ、ミッドナイトは目が隠れてたから目を合わせらんねーや。
「よぉ、ミッドナイト。久しぶりだな。お前もこっちにいたのかよ。もっとはやく会いに来て欲しかったぜ。積もる話が――」
話してる最中にミッドナイトが自分の姿を確認しているようだった。そして、ペコリとお辞儀をした。
「すいません、ボクもこれで失礼します」
闇にとけるような、おそらく魔法によってミッドナイトも姿を消す。
お前もかよ。二人して一体何しに来たんだよ!!
いや、助かったんだけどな……。少しくらい話をだな。
残されたのはオレ、マユ、倒れてノビた池照。
「あ、マユさん……。えっと」
操られていたとは言え盛大な告白をした後だ。だんだん冷静になっていく自分とは対照的に脳内には恥ずかしさで爆発しそうな自分がいる。
落ち着け、落ち着いて勇者マユに再告白をしなくては――。
マユはというと耳まで真っ赤になっていたKAWAIIな、おい。
「あのぉ、マユさん?」
「あ、そうだね。ちょっと待ってください。いま回復させるね。このままじゃ、拓也君が暴力で訴えられちゃうよね」
「う、やっぱりそうなるのかな」
オレを散々操ってくれたお返しのつもりだが実際はオレだけが手をあげた事になる。
「本当はこのままにしておきたいけど、傷だけは治しておかないと」
そう言って、マユは池照に手を当てる。勇者の魔法はこちらでも使えるのだろうか。光の剣と同じ様な光が池照の腹の上で輝く。
「これで大丈夫だと思うけど」
「でも、目が覚めたらまたくるんじゃないのか」
「私が説得してみるよ。だから、……えっと拓也君は池照君に近付かないようにしてもらっていいかな」
「それは構わないけど――」
「それと今は魔力暴走が止まってるみたいだけど後でゆっくりと話を聞かせてもらっていいかな」
背筋に寒いものを感じる。目がマジだ。怒ってるのかどうかもわからない。こう、とにかく恐ろしさだけが感じられる表情。
オレは情けなく「はい」と答える事しかできなくなった。実際転生させるだけの力がマユにはあるんだ。オレはまだ父母より先に逝くつもりはない。
「じゃあ、下に行こう。昼からの競技始まっちゃってるよ」
「え、あ、そうだな。でもこの格好じゃ……」
「いつもの自分の姿を思い出してみて」
「いつもの?」
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すぐに想像出来た。
「思い出した? そのままその姿を上から被るの」
「上から被る!?」
よくわからないが着ぐるみだとおもえばいいのか?
オレの姿の着ぐるみってどこに需要があるんだ?
頭の中で言われた通りオレの姿を上から着てみた。うん、しっくりくる。
「うん、上手だね。拓也君に戻ってる」
「え、マジ?」
確かに尻尾の感覚は消え羽もない。頭に手を当てる。角もなし。長い髪も元通り短くなっていた。どういう仕組みなんだ?
気になって仕方がない。詳しく聞きたいけれど、いまはさっさとマユの言う事を聞いて自分の席に戻るべきだろう。多少背中側が破れているが、教室に寄ってジャージの上着を羽織れば隠せるだろう。
「じゃあ、オレ戻って――」
池照の目が開いていた。その手にカッターが握られている。それがマユに向かって伸びようとしている瞬間だった。
「マユ――――」
何でこんな時に思い出すんだ、オレは……。
前世のオレに致命傷を与えたのは、マユごと貫いた人間も殺せる長い剣だったんだ。
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