1 / 1
とある乙女ゲームの雪の国の物語
しおりを挟む
「なぜ、植樹に飾り付けをしてるんだい? ヒナ」
「だって、今日はクリスマスなんですもの」
「クリスマス? なんだいそれは。またヒナの国の行事なのかい?」
「そうなの」
嬉しそうに手をパンッと一度叩いて、笑う彼女はヒナ。ヒナ・ナカガワという名前だそうだ。
しかし、目の前の彼女はキュエリアスという、名前も持っている。金色の輝く長い髪、青緑色の宝石のような瞳を持つ女の子だ。少しつり目だけれど、それが逆に魅力的に感じられる。
「それで、それは何なんだい?」
「これはね、クリスマスツリー。毎年冬になったらもみの木に飾り付けをするんだ。ほんとはね」
「ふーん」
彼女が言うには、この世界は乙女ゲーム『スノーダイヤモンド・雪降る国の氷王子』とかいう世界らしいのだ。
彼女はそのゲームをしていたというニホンジンの生まれ変わりなのだとか。それがヒナ。
僕は、そのゲームでラスボスとかいうものにあたるらしいのだが、悪役令嬢役のヒナに攻略されて、現在に至るそうだ。
初めて聞かされた時は、いや、今もいまいち理解は出来ていない。
僕の名前は、クリス。雪のような白銀の髪と氷のような瞳をしている。魔王ブリザードと平民の女との間に産まれた子だとか。父さんが魔王とか、聞いてない。
彼女から聞かされて、目が飛び出て空まで飛んで行きそうなくらい驚いたからね。
「あとはケーキと、チキンとプレゼント! サンタ服は――無いよね」
「楽しそうだね」
「だって、一年に一度なんだから! あー、雪も降って欲しいな」
雪なんて、嫌になる程積もっているのに、さらに降って欲しいなんて変わってるなぁ。
「ヒナは降ってくる雪が見たいの?」
「今日はクリスマスでしょ。クリスマスに雪が降るとホワイトクリスマスって言って恋人同士で見るとそれはロマンティ――」
こちらを向いて途中まで喋っていた彼女が急に真っ赤になった。恋人同士という言葉に照れているのかな。
初めて僕の前に現れた時のヒナは、涙と鼻水を垂らしながら、「グリズ、貴方が好きでず。私は貴方を死なせたぐないぃぃ」と、ずびずびしながらやって来て――、あれはかなり引いたなぁ。
それから、僕がこれからどうなるかや、彼女が破滅しかないという事を聞いて、回避する方法を探していたら、お互い――。
「しょうがない」
僕は、この雪の世界で役立たずと言われた雪を降らせる魔法を唱える。
すぐに白いふわふわした雪が降りだした。
「わぁー、ありがとうクリス!」
「どういたしまして」
役立たずと言われ続けた僕が使える唯一の魔法で彼女がこんなに喜んでくれることが、とても嬉しい。
「あのね、私、前の世界で最初はジーク王子を選んでしまったの。でもそれはあくまでゲームクリアのための必要な手順だったからで、私が一目惚れしたのは最初から――」
「ゲームの話なんだろう?」
彼女の唇をそっと指で押さえると、頬をピンク色に染めながら彼女は頷く。
「この世界の話だったら、僕は本当に氷の魔王になっていただろうな」
そう言うと、彼女はわたわたと慌てている。
「さぁ、そろそろ中に入ろう。身体が冷えてしまう」
僕は彼女の手をとって、屋敷の中へと誘う。
「そうそう、今日に使う特別な言葉があるんだっけ?」
「うん、メリークリスマスって――」
可愛い唇に僕は軽く口付けをした。
寒さで赤くなっていた彼女の顔がもっと赤くなってしまった。
「メリークリスマス、ヒナ」
「あ、不意打ちはずるいです。……メリークリスマス」
小さな声でごにょごにょと彼女は喋っている。その姿が可愛くて僕はとても久しぶりに、それと彼女の前で初めて、――――笑った。
「だって、今日はクリスマスなんですもの」
「クリスマス? なんだいそれは。またヒナの国の行事なのかい?」
「そうなの」
嬉しそうに手をパンッと一度叩いて、笑う彼女はヒナ。ヒナ・ナカガワという名前だそうだ。
しかし、目の前の彼女はキュエリアスという、名前も持っている。金色の輝く長い髪、青緑色の宝石のような瞳を持つ女の子だ。少しつり目だけれど、それが逆に魅力的に感じられる。
「それで、それは何なんだい?」
「これはね、クリスマスツリー。毎年冬になったらもみの木に飾り付けをするんだ。ほんとはね」
「ふーん」
彼女が言うには、この世界は乙女ゲーム『スノーダイヤモンド・雪降る国の氷王子』とかいう世界らしいのだ。
彼女はそのゲームをしていたというニホンジンの生まれ変わりなのだとか。それがヒナ。
僕は、そのゲームでラスボスとかいうものにあたるらしいのだが、悪役令嬢役のヒナに攻略されて、現在に至るそうだ。
初めて聞かされた時は、いや、今もいまいち理解は出来ていない。
僕の名前は、クリス。雪のような白銀の髪と氷のような瞳をしている。魔王ブリザードと平民の女との間に産まれた子だとか。父さんが魔王とか、聞いてない。
彼女から聞かされて、目が飛び出て空まで飛んで行きそうなくらい驚いたからね。
「あとはケーキと、チキンとプレゼント! サンタ服は――無いよね」
「楽しそうだね」
「だって、一年に一度なんだから! あー、雪も降って欲しいな」
雪なんて、嫌になる程積もっているのに、さらに降って欲しいなんて変わってるなぁ。
「ヒナは降ってくる雪が見たいの?」
「今日はクリスマスでしょ。クリスマスに雪が降るとホワイトクリスマスって言って恋人同士で見るとそれはロマンティ――」
こちらを向いて途中まで喋っていた彼女が急に真っ赤になった。恋人同士という言葉に照れているのかな。
初めて僕の前に現れた時のヒナは、涙と鼻水を垂らしながら、「グリズ、貴方が好きでず。私は貴方を死なせたぐないぃぃ」と、ずびずびしながらやって来て――、あれはかなり引いたなぁ。
それから、僕がこれからどうなるかや、彼女が破滅しかないという事を聞いて、回避する方法を探していたら、お互い――。
「しょうがない」
僕は、この雪の世界で役立たずと言われた雪を降らせる魔法を唱える。
すぐに白いふわふわした雪が降りだした。
「わぁー、ありがとうクリス!」
「どういたしまして」
役立たずと言われ続けた僕が使える唯一の魔法で彼女がこんなに喜んでくれることが、とても嬉しい。
「あのね、私、前の世界で最初はジーク王子を選んでしまったの。でもそれはあくまでゲームクリアのための必要な手順だったからで、私が一目惚れしたのは最初から――」
「ゲームの話なんだろう?」
彼女の唇をそっと指で押さえると、頬をピンク色に染めながら彼女は頷く。
「この世界の話だったら、僕は本当に氷の魔王になっていただろうな」
そう言うと、彼女はわたわたと慌てている。
「さぁ、そろそろ中に入ろう。身体が冷えてしまう」
僕は彼女の手をとって、屋敷の中へと誘う。
「そうそう、今日に使う特別な言葉があるんだっけ?」
「うん、メリークリスマスって――」
可愛い唇に僕は軽く口付けをした。
寒さで赤くなっていた彼女の顔がもっと赤くなってしまった。
「メリークリスマス、ヒナ」
「あ、不意打ちはずるいです。……メリークリスマス」
小さな声でごにょごにょと彼女は喋っている。その姿が可愛くて僕はとても久しぶりに、それと彼女の前で初めて、――――笑った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる