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第2話
しおりを挟む青年の名はアーサー・エヴァンスといった。
なんと、23歳の若さで辺境防備の騎士団長をしてたという。
アーサーは先にベッドから降りると素早く身支度を整え終わる。
「朝食を貰ってくるから、その間に着替えておいて」
布団から目だけを出して不安丸出しのケイに優しく声をかけて、部屋から出て行った。
ケイは混乱する頭で取りあえずは服を着なければという判断だけは出来た。
恐る恐るベッドから降り、椅子の背にまとめてくれた下着と聖女の法衣で身を包んだ。
服を着る動作中、ケイは自分の身体の内側の違和感に気づき顔を赤らめる。
「これはもしかして、もしかして本当に私ったら・・・」
記憶のない夜を想像して、顔を赤くしたり青くしたり忙しいケイ。
それもそのはず。聖女の第一条件は処女であること。
純潔を失ってしまっては聖女の奇蹟はもう起こせないかもしれない。
「ど、どうしましょう・・・!」
ケイは出来るだけ昨日の事を思い出そうとした。
昨日は地方の村で祈りを捧げる仕事があったので、数人の修道女たちと一緒に現地に向かい、しっかりと神への祈りを捧げた。
その日の夜、村人たちからの歓迎会で食事をして―――
「あ、」
その中で出されたジュースがたいそう美味しく、何杯か飲んでしまい、その後の記憶がないことに気が付いた。
そういえばそのジュース、祭壇へ捧げられていたような。
あれはもしかして、ジュースではなく果実酒だったのでは・・・?
ケイは頭を抱えた。
これまで敬虔な神の信徒として過ごしてきた自負があった。
だが、たった一晩で禁酒を破り、純潔を捨てた自分という事実がその自負を粉々に砕いてしまった。
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