13 / 19
第12話:ママのパパの記者会見
しおりを挟む
青空テレビ局に出勤した最上は秋月に言われた。
「坊や、今日は記者会見に行くぞ」
「誰のですか?」
「防衛大臣、西天賢治のだ。オリンピック間際の国防に関するお話だ」
「賢治さんか……」
「坊やの愛しのママのお父さんだな」
「なにが愛しのママ、ですか。まったく……別に僕はファミリーの人達のことを家族だと思ってないですし」
「照れるな照れるな。さて、移動するぞ」
秋月が運転する車に乗って、最上は中央区の記者会見の会場になるビルに移動する。どうやらホテルの会場の一つを記者会見の場として使うらしい。ロビーには見上げるほど高い天井にシャンデリアが吊るされ、足元にはレッドカーペットが敷かれている。一泊するだけで最上一人の一か月分の食費くらい平気でかかりそうなホテルだ。
バスケットコート二つ作れそうな会場に秋月と最上は移動する。すでに他の局の記者たちが集まり始めていた。
綺麗な列になるように椅子が並べられていた。前には今日の主役が立つ演説台が置かれ、サイドはカメラで埋め尽くされている。
「坊やは私と一緒に最前列から手持ちのカメラで撮ってもらう。アングルとかはあんまり気にするな。後方で一台カメラ回してるから、練習と思ってやればいい」
「わかりました」
冷房が効いていて、会場は夏の暑さとは無縁だ。35度の炎天下からこの部屋に入ってくれば、気が緩みそうなものだけれど、記者たちの雰囲気はぴりついていた。
「縄張りを守るのに必死なだけだぜ。カメラは場所取りが命だからなぁ」
「そんなもんですか。というか、秋月さんプロデューサーなのに、取材なんてするんですね」
「自分の目と耳で聞いた方がいいことがあるんだぜ。ま、今回はかわいいかわいい私の専用の部下の指導も兼ねてだ。坊やは幸せだなぁ、私に愛されてて」
「愛してるなら労働基準法守ってください」
「愛は甘いだけじゃないんだぜ。さて、最前列予約済みだからな。私たちは場所取りなんて泥臭いことせずに優雅に行くぜ」
一番前に並べられたイスの左端二つが予約席らしい。最上と秋月はそこに着席した。
秋月から手持ちのカメラを渡された。後方からもう一グループ、三脚を使わなければならないくらい大きなカメラを使って撮ることになっている。
最上がカメラをいじって機能を確認しているうちに、記者会見がはじまった。
その主役ともいえる西天賢治が入り口から入場する。
会場の人間が息を飲むのがわかった。
筋肉の鎧を身にまとった政治家。はちきれんばかりの胸を張って西天賢治が視線の中を闊歩する。賢治が放つオーラが、ざわついていた会場を黙らせた。
(……前で会った時とは雰囲気がまるで違う。鉄のように……冷たい)
最上に優しく笑いかけてくれた賢治とは、もはや別人に見えた。
賢治が演説台に立った。その巨体のせいで台が小さく見える。
「今日の記者会見を開いたのは言うまでもなく、オリンピック間際の国防についてだ」
それから賢治の堂々たる演説がはじまった。
特に最上の気を引いたのは、この部分だ。
「……最近、国内では過激な事件が多発している。国道一号線爆破事件、穂野ノ坂学校テロ事件。オリンピック開催前に、国内に乱れが見られる。統率の取れた行動から、何らかの組織が関わっていると思われる。不穏分子の排除のために、我々は全力を挙げている。具体的には――」
自衛隊と警察が連携して調査を進めていることを賢治が述べる。
世間的には、穂野ノ坂学校の占領事件は謎のテロ組織による事件されている。虚構科学研究所の関係を疑う人間もいないではないが、圧倒的少数派だ。
数値にこそ出ていないが、第三次世界大戦の最中には大量の武器が日本に流れた。銃刀法に関しては、戦争が終わった今でも機能しているとは言い難い状態にある。日本は一度侵略されかけ、護身用の武器を家に置かざるを得ない状況に陥った。その状態がだらだらと続いているのだ。一般市民に武器が流れれば、それ以上に裏の世界にそれらが流れ込む。日本は昔ほど安全と言われず、テロ組織もいくつか確認されている。
先の穂野ノ坂学校の事件に関しては、新神定理の死体は回収され、それ以外の面ではただの武装した集団がいたくらいの痕跡しか残らなかったのだ。虚構科学研究所の撤退の手際は実に鮮やかで、包囲網の弱い部分を突き、逃亡。残ったのは新神定理を除いた物言わぬ死体だけだった。
「――だから、国民の安全、観光客の安全は我々が絶対に守るので、安心していただきたい」
後にも賢治の演説は続いたが、十分ほどでそれは終わった。
「では、質問があれば聞こう」
待っていたかのように、秋月が最上に耳打ちしてきた。
「面白そうだから、坊や、質問しな。質問はそうだな――、適当に『外国人の間に不安が広がっていると思いますが、そちらはどう対処なさいますか?』で、いくぜ。身内が公の場で質問したときにあの『鋼鉄』がどんな反応するか、私は興味がある。カメラは私が持つ。GOだ」
なんて自分勝手な。
秋月が最上を連れてきた理由を遅まきながらに最上は悟る。カメラを持たせるためではなく、この質問をさせるために最上を連れてきたのだ。
いくら秋月の意志を看破しても、立場上上司である秋月の指示には逆らえなかった。最上がはじめて上司と部下を意識させられた瞬間だった。
カメラを秋月に渡して、しぶしぶ手を上げると、賢治の存在感によって空気状態にされていた司会の人間に質問を許可された。
「外国人の間に不安が広がっていると思いますが、そちらはどう対処なさいますか?」
賢治の目が最上の方に向いた。
(……冷たい目だ)
最上には、今の賢治の目に見覚えがある。過去に虚構科学研究所の刺客としてやってきた殺し屋の目だ。人を殺すことにすら躊躇がない人間のそれに、類似している。
これが本当に西天賢治なのか、と最上は再び疑問を覚える。
「私にできるのは、原因を排除して不安を取り除く。それだけだ」
「チッ、だめか」と、隣で秋月がつぶやいた。
秋月が期待したような、面白い反応なんて欠片もなく、ただ一人の防衛大臣として、賢治は答えたのだった。
「坊や、今日は記者会見に行くぞ」
「誰のですか?」
「防衛大臣、西天賢治のだ。オリンピック間際の国防に関するお話だ」
「賢治さんか……」
「坊やの愛しのママのお父さんだな」
「なにが愛しのママ、ですか。まったく……別に僕はファミリーの人達のことを家族だと思ってないですし」
「照れるな照れるな。さて、移動するぞ」
秋月が運転する車に乗って、最上は中央区の記者会見の会場になるビルに移動する。どうやらホテルの会場の一つを記者会見の場として使うらしい。ロビーには見上げるほど高い天井にシャンデリアが吊るされ、足元にはレッドカーペットが敷かれている。一泊するだけで最上一人の一か月分の食費くらい平気でかかりそうなホテルだ。
バスケットコート二つ作れそうな会場に秋月と最上は移動する。すでに他の局の記者たちが集まり始めていた。
綺麗な列になるように椅子が並べられていた。前には今日の主役が立つ演説台が置かれ、サイドはカメラで埋め尽くされている。
「坊やは私と一緒に最前列から手持ちのカメラで撮ってもらう。アングルとかはあんまり気にするな。後方で一台カメラ回してるから、練習と思ってやればいい」
「わかりました」
冷房が効いていて、会場は夏の暑さとは無縁だ。35度の炎天下からこの部屋に入ってくれば、気が緩みそうなものだけれど、記者たちの雰囲気はぴりついていた。
「縄張りを守るのに必死なだけだぜ。カメラは場所取りが命だからなぁ」
「そんなもんですか。というか、秋月さんプロデューサーなのに、取材なんてするんですね」
「自分の目と耳で聞いた方がいいことがあるんだぜ。ま、今回はかわいいかわいい私の専用の部下の指導も兼ねてだ。坊やは幸せだなぁ、私に愛されてて」
「愛してるなら労働基準法守ってください」
「愛は甘いだけじゃないんだぜ。さて、最前列予約済みだからな。私たちは場所取りなんて泥臭いことせずに優雅に行くぜ」
一番前に並べられたイスの左端二つが予約席らしい。最上と秋月はそこに着席した。
秋月から手持ちのカメラを渡された。後方からもう一グループ、三脚を使わなければならないくらい大きなカメラを使って撮ることになっている。
最上がカメラをいじって機能を確認しているうちに、記者会見がはじまった。
その主役ともいえる西天賢治が入り口から入場する。
会場の人間が息を飲むのがわかった。
筋肉の鎧を身にまとった政治家。はちきれんばかりの胸を張って西天賢治が視線の中を闊歩する。賢治が放つオーラが、ざわついていた会場を黙らせた。
(……前で会った時とは雰囲気がまるで違う。鉄のように……冷たい)
最上に優しく笑いかけてくれた賢治とは、もはや別人に見えた。
賢治が演説台に立った。その巨体のせいで台が小さく見える。
「今日の記者会見を開いたのは言うまでもなく、オリンピック間際の国防についてだ」
それから賢治の堂々たる演説がはじまった。
特に最上の気を引いたのは、この部分だ。
「……最近、国内では過激な事件が多発している。国道一号線爆破事件、穂野ノ坂学校テロ事件。オリンピック開催前に、国内に乱れが見られる。統率の取れた行動から、何らかの組織が関わっていると思われる。不穏分子の排除のために、我々は全力を挙げている。具体的には――」
自衛隊と警察が連携して調査を進めていることを賢治が述べる。
世間的には、穂野ノ坂学校の占領事件は謎のテロ組織による事件されている。虚構科学研究所の関係を疑う人間もいないではないが、圧倒的少数派だ。
数値にこそ出ていないが、第三次世界大戦の最中には大量の武器が日本に流れた。銃刀法に関しては、戦争が終わった今でも機能しているとは言い難い状態にある。日本は一度侵略されかけ、護身用の武器を家に置かざるを得ない状況に陥った。その状態がだらだらと続いているのだ。一般市民に武器が流れれば、それ以上に裏の世界にそれらが流れ込む。日本は昔ほど安全と言われず、テロ組織もいくつか確認されている。
先の穂野ノ坂学校の事件に関しては、新神定理の死体は回収され、それ以外の面ではただの武装した集団がいたくらいの痕跡しか残らなかったのだ。虚構科学研究所の撤退の手際は実に鮮やかで、包囲網の弱い部分を突き、逃亡。残ったのは新神定理を除いた物言わぬ死体だけだった。
「――だから、国民の安全、観光客の安全は我々が絶対に守るので、安心していただきたい」
後にも賢治の演説は続いたが、十分ほどでそれは終わった。
「では、質問があれば聞こう」
待っていたかのように、秋月が最上に耳打ちしてきた。
「面白そうだから、坊や、質問しな。質問はそうだな――、適当に『外国人の間に不安が広がっていると思いますが、そちらはどう対処なさいますか?』で、いくぜ。身内が公の場で質問したときにあの『鋼鉄』がどんな反応するか、私は興味がある。カメラは私が持つ。GOだ」
なんて自分勝手な。
秋月が最上を連れてきた理由を遅まきながらに最上は悟る。カメラを持たせるためではなく、この質問をさせるために最上を連れてきたのだ。
いくら秋月の意志を看破しても、立場上上司である秋月の指示には逆らえなかった。最上がはじめて上司と部下を意識させられた瞬間だった。
カメラを秋月に渡して、しぶしぶ手を上げると、賢治の存在感によって空気状態にされていた司会の人間に質問を許可された。
「外国人の間に不安が広がっていると思いますが、そちらはどう対処なさいますか?」
賢治の目が最上の方に向いた。
(……冷たい目だ)
最上には、今の賢治の目に見覚えがある。過去に虚構科学研究所の刺客としてやってきた殺し屋の目だ。人を殺すことにすら躊躇がない人間のそれに、類似している。
これが本当に西天賢治なのか、と最上は再び疑問を覚える。
「私にできるのは、原因を排除して不安を取り除く。それだけだ」
「チッ、だめか」と、隣で秋月がつぶやいた。
秋月が期待したような、面白い反応なんて欠片もなく、ただ一人の防衛大臣として、賢治は答えたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる