「異世界転生しても人生は辛いものなんですね」

Tatuta

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まだ戦える

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レオンハルトは急ブレーキをかけた。
「あなたは!?」ミーアはその人物の顔を見ると驚いた表情をした。
「遅くなって悪かったな……」男はそう言うと俺達の方に振り向いた。
「えっ!?どうしてここにいるんですか!?」俺は信じられないという顔で聞いた。
「久しぶりだな……。タクト……」
「師匠!?」俺は思わず叫んでしまった。そこには、元Sランク冒険者のガインがいた。
「タクトさんの知り合いですの?」ミーアは首を傾げた。
「ああ、そうだよ。この人は昔、俺に剣術を教えてくれた人なんだ……」俺は懐かしそうに答えた。
「へぇ~、そうなんですね……」ミーアは納得したような顔をしていた。
「そんなことより、なぜお前がここに来た?今は魔族との戦争中だぞ?」レオンハルトは警戒した様子で言った。
「そんなことは分かっている……。だが、どうしてもタクトに伝えなければならないことがあるんだ……」ガインは真剣な眼差しで俺を見た。
「伝えなければなことですか……」俺は少し考えてから口を開いた。
「実は、お前の妹であるミリアが魔王軍によってさらわれてしまった……」ガインは衝撃的な事実を告げた。
「なん……だと……」俺は言葉を失った。
「そんな……。まさか、あの子が……?」ミーアも驚いていた。
「ああ、本当だ……。俺達はたまたまその場に居合わせていてな……。なんとか、タクトに伝えることができたんだが、どうする?今なら助けられるかもしれないぞ……」ガインはミーアの方を見ながら言った。
「もちろん行きますわ!」ミーアは力強く言った。
「ミーア……。危険すぎる……」俺は反対した。
「でも、このままではタクトさんのお仲間の方が危ないんじゃありませんの?」ミーアは俺の仲間の心配もしていた。
「それは……」俺は何も言えなかった。
「私なら大丈夫です……。だから、行かせてください!」ミーアは真っ直ぐに俺の目を見て言った。
「わかった……。絶対に無理だけはしないでくれ……」俺はミーアを信じることにした。
「はい!」ミーアは嬉しそうに返事をした。
「決まりのようだな……。よし、行こう!」ガインは歩き出した。
「ちょっと待ってください!どこに行く気ですの!?」ミーアは慌てて声をかけた。
「決まってるだろう……。妹を助ける為に決まっているじゃないか……」ガインはニヤリと笑った。
「いや、どこにいるのか分かりませんのにどうやって探すつもりですの!?」ミーアは困惑気味だった。
「安心しろ。俺には心当たりがあるんだ……」
「それじゃあ、すぐにでも向かいましょう!」ミーアは張り切った様子だった。
「ああ、そうだな……」ガインは歩き始めた。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」俺は二人を呼び止めた。
「んっ、どうかしたか?」
「俺はまだ戦える……。ミーアは先に行っていてくれないか……」俺はボロボロになりながらも立ち上がった。
「何を言っていますの!そんな体で無茶ですわ!」
「いいから……。ここは俺に任せてくれないか……?」俺は真剣な表情で言った。
「わかりましたわ……。タクトさんを信じることにします……」ミーアは渋々了承してくれた。
「ありがとう……」俺はお礼を言うと剣を構えた。
「話は終わったか……。さぁ、続きを始めよう……」レオンハルトは再び構えた。
「ああ、行くぜ!」俺は一気に距離を詰めて斬りかかった。
「ふんっ!」レオンハルトは拳で防いだ。
「くっ!?」俺は吹き飛ばされた。
「無駄だ……」レオンハルトは余裕の表情をしていた。
「まだまだー!!」俺は立ち上がり再び攻撃を仕掛けた。
「ふぅ~」レオンハルトは息を吐くと俺の攻撃を避けた。
「なに!?」俺は驚きの声を上げた。
「遅い……。もう終わりにしてやる……」レオンハルトは拳を振り上げた。
「ぐわーっ!?」俺はそのまま地面に叩きつけられた。そして、俺は意識を失ってしまった……。
------
 「うっ……」俺は目を覚ますと辺りを見渡した。すると、そこには傷だらけになったミーアがいた。
「ミーア!?」俺は慌てて駆け寄ろうとしたが、体が思うように動かなかった。
「タクトさん……。よかったですわ……」ミーアは弱々しく微笑んだ。
「一体何があった!?」俺は必死に起き上がろうとして叫んだ。しかし、体はピクリともしなかった。
「私は大丈夫ですわ……。それより早く逃げて……」ミーアは苦しそうにしていた。
「ミーアを置いて逃げるわけにはいかないだろ!」俺は必死に叫んだ。
「本当に優しいんですね……」ミーアは涙を流しながら言った。
「当たり前だ……」俺はミーアの手を握った。「でも、この状態だとタクトさんも助かりませんよ?」ミーアは悲しそうな顔をした。
「それでも俺はミーアを助けたいんだ……」俺は涙を堪えていた。
「嬉しいですけど、その気持ちだけで十分です……。それに私だってタクトさんの役に立ちたいんですよ?」ミーアは俺の手を握り返した。
「わかった……。なら一緒に死ぬ覚悟でいこう……」俺はミーアの手に自分の手を重ねた。
「はい……!」ミーアは嬉しそうに返事をした。
「はぁ……、やれやれだな……」その時、後ろから声が聞こえた。
「誰だ!?」
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