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高島組合総合病院の竜さん。

ドラゴンさんの1日。午前。

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目が覚める………顔を洗い歯を磨き……今日の仮面を選ぶ。

うーん…これだな。

白い仮面の隅っこにヒマワリが1輪。

『夏の日の笑顔  』と題された仮面を装着。

うん!今日はこれで行こう!!

この俺、ドラゴンさんの1日の始まりは忙しい…先生さんや看護師さん達が揃う前に全館の廊下にモップ掛けするところから始まる。
歩くより早く、競歩よりは遅く、患者に不快な思いをさせないスピードで!!動きは的確に!!

「おっ!ドラゴンさんおはよう!」

「おはよう!重さん!」

「おはようドラゴンさん!」

「おはよう!!藤さん!」

うんうん、みんな顔のツヤがいいねぇ!!元気元気!!

よし!モップ終わり!!次は…そろそろ入り口が開く頃だから…受付のアルコール確認と新規の案内だな!!

「おはよう!霞ちゃん!」

案内嬢こと高島病院のアイドル『霞ちゃん』お歳70歳。

「はい、おはようございます。」

彼女は午前中だけのパートさん?なんだけど…笑顔だと晴天になり悲しむと雨が降ると言われている!的中率は驚異の90%!!

そんな彼女をもう1人のパートナーが来るまでサポートして………時計を確認、あっそろそろ小児科の子供達が愚ずる頃あいだな。

「霞ちゃん俺そろそろ行くよ?」

「はい、大丈夫よ、ありがとうね、飴ちゃんあげようね。」

「お!ありがとう!」

手渡されたのは『レモンスカッシュのど飴』。

おおぉ…のど飴で喉に優しいと思いきやレモンで喉をスカッシュさせるなんて…流石だ霞ちゃん!いくつになっても攻める姿勢を忘れないなんて…。


小児科に着くと予想通りというかなんと言うか…泣く女の子、走る少年…。

先ずは走る少年を確保!!(笑)

「うわっ!?」

「院内を走ると駄目だよ~!他の人に迷惑だからね!その元気は身体を治すために使おうぜ!」

「う、うん………。」

少年はポカンとした表情だ…ふむ…まだ周囲の確認能力が育ってないな。

「お母さんは?」

「………あそこ。」

指差した方向を見ると茶髪のお母さんイヤホン付けてスマホを見てらっしゃる。

「あらら。」

いわゆる『放任主義』さんなんだろうかな?

「んー………あっ!そうだ!少年おいで!」

そして泣いてる女の子はと……いたいた!!


「よいしょー!!!」 

少年を泣いてる女の子の隣に座らせて2人の前で用意してた…。


「ドラゴンさんお手製!昔なつかし紙芝居!題して『負けないぞ!』」


『負けないぞ』

大好きなお母さんをスマホにとられた兄妹が頑張ってお手伝いをしたり似顔絵を描いたりしたが…お母さんはスマホから視線を動かさない。

「幼稚園でお母さんを描いたのー!」
「あぁ…後で送っといてー…。」

そんな兄妹が大きくなり…その2人のポケットにもスマホが入っている。


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