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第1章 ~ノワール国~
ノワール国 その6
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ノワール国。
グライス - ノワール王の一人娘で王女 エリカ - ノワールが独断と偏見によって国中から集めた専属騎士団。
通称『ヴァルキリー隊』
女性のみの20人がここ楽園にて生活、鍛練をしている。
この『楽園』ではエリカ王女のバラ園が併用されている為、楽園の周りはとても静かに…優雅な空間が広がっている…………………………………………のだが………。
「キャー!!ネイルがーーー!」
「もうやだーーー!!」
「疲れたーーー!!」
…と、ここ最近は、うら若きヴァルキリー隊の悲鳴や叫び声が木霊するようになっている。
ーー楽園内修練場ーー
嫁入り前なら…それ以前にも決して男性に見られたくないであろう足がカバッと開いた姿で床にぐったりと倒れていたり、壁に手をついて吐いて死にそうな顔をしている者もいる。
原因はこの国…いや、この世界に落ちてきた1人の男『シチリ タカ』である。
息荒く寝そべっている半裸の女性(エリカ王女の趣味100%の鎧姿、一応これでも正装。)の中で2本の木剣を持った上半身半裸の男……シュールというかなんというか…。
「まだまだぁ!もういっちょおおおぉぉぉぉぉ!!」
自分に気合いをかけて立ち上がるのは元傭兵で筋肉質のアイガ。体力、戦闘力共にヴァルキリー隊の中でトップ。
吠えるアイガに「応!」と2本の木剣で答えるシチリ。
木剣の打ち合いが場内に響く。
「アイガ!腕だけ使うなもっと腰を使え!」
「こうかよっ!!」
アイガ渾身の一撃を1本の木剣でさらりと流す。
「ほれ、足元がお留守!!」
2本目の木剣をアイガの軸足に叩きつける。
「ぐぁっ!」
軸足への一撃でバランスが保てなくなったアイガは転倒する。
「それで終わりか!アイガ!!」
あのシチリの戦闘力はどうなっているのだろう…?
遥か昔の話になるのだが、シチリの他にこの世界に来た人間はいる想像を絶する力を持ち魔族の王を討伐した『伝説の勇者』と呼ばれる人達。
私は『シチリ タカ』も素手で魔族を屠った事から『伝説の勇者』の1人のだと思っているのだが…。
「しんき?なんだそれ?」
そう『伝説の勇者』は『神騎』と共に姿を現した。と聞いたことがあるのだが、この男はその存在すら知らないのだ。
元々、この国ノワール国には『神騎』が少ない。だからシチリが『伝説の勇者』で『神騎』があればこの国の戦力も格段に上がると思っていたのだが………。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
シチリの後ろで倒れていたエルザが気合いで起き上がりシチリに向かっていく。
シチリに振りかざされた木剣は確実に目標を捉えていた。
…しかし、あのままでは無防備過ぎる…。
私の予想通りにエルザの木剣はシチリに軽く払われる。
「っ…!まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
払われた木剣を諦めエルザはシチリに特攻。流れる汗や鼻血もそのままに鬼気迫る咆哮をあげながら下半身へとタックルする。
「ぬ!?」
「ア、アイガさーーーーん!!!」
「任せとけぇぇぇぇ!!」
そうか、エルザは軸足を痛めていたアイガが苦痛に顔を歪めながらも立ち上がる所を見ていたのか。だからこそ自らで囮またはシチリを足止めする事を決めたのだ。
軸足を痛めていたが、傭兵上がりのアイガがこのチャンスを逃す筈もなく、慣れない逆足を軸に木剣を振るう。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、渾身の一撃がシチリの背中を切りつける。
「ぐぁ!!!」
シチリの両膝が地面に着く。
「よっしゃぁぁぁぁ!!」
「や、やったぁぁ………ふ………ふぇぇ~~ん。」
アイガはそのまま後ろに大の字に倒れエルザは泣き出した。
修練とは言え……いささかやり過ぎのような……。
「…よくやったな、エルザ。あの瞬間でよく機転が利いたものだ…お前は勇気がある…!」
シチリは涙と鼻血まみれのエルザの頭をポンポンと撫でて「お前はもっと強くなる!自信を持て!」と立たせようと抱き上げるが、もう足腰が限界なのか崩れ落ちるエルザ。
「きゃっ!」
「おっと。」
崩れるエルザを抱き止めてすっとお姫様だっこの形になる。
「あ……あぅ…すいません。」
赤くなっていくエルザ。
「気にしなさんな。」
その光景をむーーっとしながら見ているとエルザを椅子に座らせたシチリが倒れてるアイガに戻ってくる。
「おーい、生きてる?」
「はぁはぁはぁはぁ…どんだけな体力してんだよ…お前は…はぁはぁ…。」
息を切らせて倒れているアイガと汗は出ているが平然としているシチリ。これではどちらが勝者なのか解らない。
「やはりお前の一撃は効くなぁ~…ほらよ。」
手を差し出すとアイガはガシッとその手を掴む。
「立てるか?」
「なんとか、な……。」
「ほーら、よっ!」
エルザに引き続きアイガまでまでお姫様だっこ。
「や、やめろ!シチリ!お、おろしやがれ!!」
「まぁまぁ、足を痛めてるんだ無理するな!」
顔を真っ赤に目を回しているアイガ。
「うぅ~、お~ろ~せぇ~!!!」
手足をバタバタとさせている。アイガの普段とのギャップがありすぎて可愛いと思った。
「無理するなって!」
その後も1人1人を介抱するシチリ。その際に必ず何処かを誉めて笑顔にしている。
改めて1人1人を見て回り怪我の手当てをして回ったシチリが「よし!今日はここまでにしよう。明日は休みするから身体をしっかり休めてくれ!」と私の所へ歩いてくる。
「俺の鍛え方はどうだったかな?」
「鍛え方…というか…あれは鍛練ではなく実戦だな。」
「基礎からじっくりやれればいいのだけどな…。」
シチリがエリカ王女にヴァルキリー隊の指南役を任されて10日。
朝は早くから長距離を走らされ。
ご飯の量を増やされ。
後はひたすらに実戦形式。
…年頃の女性には地獄だろうけど…。
ヴァルキリー隊の身体には少なからず変化が見られてきた。
例えばシチリに睨まれて泣いていたエルザは下半身が太りやすいとか話していたが今では綺麗に引き締まって来ているし…うっすらと腹筋が割れてきている。
「んじゃ汗流してくるからアリス待ってて。」
「あぁ、解った。」
私に軽く手を振ってからシチリは歩いていく。
今でも信じられないが、あの日…へーリオス家修練場でのシチリの言葉。
「本格的な戦闘は久々だったからなぁ…心臓への負担が半端ない…下手したら死ぬかもな。」
「心臓への負担!?……大丈夫なのか!?」
「無理しなければな。」
「そんな…。」
「だから、その分武器に頼って楽しようと思うが…勘が鈍っているからアリス、俺の勘が戻るまで付き合ってくれないか?」
「それは、構わないが…心臓は問題無いのか?」
「安静にしてる訳にもいくまいよ。なぁにただ少し…激痛が走るだけだよ!」
……と、んーーー……シチリの動きを見ていると本当に心臓への負担で痛がっているようには見えないのだが……。
「お待たせ。」
「うわっ!」
「なんだい?考え事かい?」
クロックから貰った黒い服に腰にはオヤジさんから貰ったニホントウともう1本の剣をさげているシチリが歩いてきた。
「剣が増えたのか?」
「あぁ、これか。あのちっちゃい…オヤジさんと美人妻さんの合作だそうだ。」
「ふ~ん。」
形はニホントウに酷似というか同じなのだが…この剣は柄の部分から鞘にかけて緑色の配色が施されている。
「…5万ゼニーだそうだ…。」
「…ご!?」
5万だって!?剣1本の値段かそれ!けどオヤジさんとトワさんの合作とか言っていたし……あー…ヴァルキリー隊への指南報酬で払ったのか。
「あぁ、借金することになった。」
まさかの借金…。
「シチリなら指南報酬貰えるだろ?それで払えないのか?」
「そんなに貰ってないから無理だな。まぁなんとかなるだろ。」
う~ん…能天気過ぎる…まさかこの男は無計画男なのだろうか…将来は大丈夫なのか?
「さて、アレク殿に会いに行こうか!」
「…父上に一体何の用があるのだ?ちょくちょく来ると言っていたが。」
「ん~………その事はおいおいとね…。」
はぐらかされたな…そんなに言いたくないのか…。
「う~ん………後で教えろよ。」
「あぁ、約束しよう。」
「なら、私は馬を連れてくる。正面で待っていてくれ。」
「ぬ、馬だって!?」
シチリの目が輝いたように見えた。
「馬に乗れるのか俺!?」
「ん?シチリは馬に乗ったことがあるのか?」
「無い!!見るだけならあるが、乗ったことは無い!」
シチリの角(髪)がピョンピョン動く。あれはシチリの感情とリンクしているのだろうか…?
「連れてくるから大人しく待っていてくれ。」
「応さ!!」
凄い笑顔なっている…そんなに馬が好きだったとは……いつかはシチリと走ってみたいものだ。
緩んだ口元をそのままに楽園の馬繋場へ歩く。
私の愛馬『ユウヒ』雌の白馬だ。幼き頃、父上に自分の馬とは絶対の信頼関係も持たねばならん!と教えられてるので、できる限り毎日顔を見せている。
ユウヒを繋いでる綱を外す。
「よし、ユウヒ行こうか。」
ユウヒに乗り手綱を握る。シチリはユウヒを見てなんと言うだろうな。アイツのことだ「おー!見事な馬だー!」とか言いそうだな。
…そう言えば、シチリの父上への用事とはなんだろう?娘の私にすら言えないこととは……ん~…なんなのだろうか?それにしても……借金かぁ……。
私も支払いを手伝うべきか?いやいや、恋人に借金を払わせてそのまま逃げた男が居るという話を聞いたことがあるし……シチリなら逃げないと思いたいが…はっ!何故私が払う事を考えているのだ…!これはシチリの問題だ!私が入っていく事はない。
いやでも…シチリに頼まれたら……。
「う~ん……。」
楽園正面門前に立っていたシチリが私に気付いて手を振っている…私の気も知らないで…子供か!
シチリの元へと着くと目を輝かせてユウヒを見てくる。
「おお!これがアリスの馬かぁ白いなぁ!白馬だ白馬!格好いいなぁ!立派だなぁ!綺麗だなぁ!!いいなぁ!俺も馬欲しいなぁ!!」
止まらないシチリ。
「触ってみるか?」
「いいのか!お、驚かないかな?」
「大丈夫だ。問題無いぞ。」
シチリがそぅ~~っとユウヒに手を延ばすと同時に警報が響き渡った。
その音にびくっ!?っとなる2人と1頭。
「南の門に魔族の群れが押し寄せてきたぞー!兵士、戦士は集まってくれー!」
「女、子供は城へ急げ!避難するんだー!」
伝令隊が横切っていく。
魔族の襲来だって!?こうしては居られない私も行かなければ!シチリ……。
「シチリさん!」
「シチリ!」
「ぬ?」
露出度が高い鎧と兜を身に付け騎士の剣を腰に、戦闘体制を整えたアイガとエルザが馬に乗って駆けつける。
「ぬ、お前ら怪我は?」
「精霊の涙を飲んだから平気です!」
「精霊の涙?なんだそれ?それに他の皆は??」
「詳しい説明は後だ!魔族が攻めてきたんだ!アタイらの名を広めるんだ!」
「そうです!私達もやれるってとこをエリカ様に知ってもらう為に!」
私が空気になりつつある。
「お前たち…アイガは元傭兵だが…エルザは実戦どころかモンスターとの戦闘も無いのだろう。」
「はい、アリス様。これが初めての実戦になります。」
「死ぬかも知れんのだぞ!危険過ぎる!」
「いえ、私は大丈夫です!エリカ様の力になれるのなら死んでも本望です!」
「エルザ…。」
油断=死である戦場、自分では体験していないが、負傷した者の姿や命を落とした者の話を聞けば行きたくはないと思うが…シチリの存在が彼女を変えたのだろうか…?
それでもやはり怖いのか涙目になりつつもエルザの眼は真剣だ…勇敢な事だがこれは困った…。元傭兵のアイガはなんとかなるとしても実戦未経験のエルザを守りながら戦えるだろうか…。
「考えてる時間はない…。」
よっと掛け声を1つ、シチリがエルザの後ろに乗り上がる。きゃっと可愛い悲鳴。
「問題ない俺が居る。」
本当はシチリには私の後ろに乗ってもらいたかったな…。少し胸が痛むが…これでエルザは心配ないだろう。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
「はい!」
「……ぬ…。」
「シチリどうした?」
「…馬って予想以上に股が痛い……。」
「よし行くぞ!」
シチリを無視して走り出す。魔族は南の門に攻めてきているだ!
~~ノワール国 南門~~
私達が着くと既に魔族、モンスターとの戦が既に始まっていた。
我が父上アレク - へーリオスが前線に立てない代わりに部隊長のノーベルと作戦参謀のカインが自陣で騎士兵士の指示を話し合っていた。それを4人の兵士が聞いている最中である。
部隊長のノーベルは身長180の長身で短髪の優しい顔つきをしている。我が父上アレクからの信用も厚い。騎士としては細身だが素早い身のこなしで突き技を主体としている。細長い剣レイピアの使い手で私の必殺『ライトニング・スピアー』の考案者。
ちなみに、細身の見た目からでは想像も出来ないくらいの大食漢。父上曰く「5日あればノワールから食べ物が消える」とかなんとか。トレードマークは小さめの丸メガネ。
作戦参謀のカインは……パッと見て人形の様なゴスロリ少女。国家参謀へ成り上がるだけの十分な知識があるのだが「性格に問題アリ」と判断され小さい部隊の参謀に収まっている。性格の問題とは…国家試験の当日に「眠い……。」と試験の回答用紙に一言書いて残り全ての時間を寝て過ごした猛者、それでも彼女の才能は素晴らしく国としても手放すのが惜しいと言われている。
ちなみに金髪のツインテール。
先ずは部隊長のノーベルに参戦の意を伝えに行く。
戦場の情報は多いに越したことはないし、自分勝手に戦場には飛び出す訳にもいかない。1人の身勝手な行動が戦況を一変させることがあるし、突然に目の前で戦闘が起こらない限り自分は味方であるという意思表示もしなければ。味方に後ろから刺されるということもありえない話ではない。
「アレク - へーリオスの娘、アリス - へーリオスです!私も参戦に参りました。」
「おお!アリス殿これは心強い!…しかし…こちらへ。」
部隊長の後をついて行き戦場が一望出きる南門の展望室へと向かう。
今のところ我が部隊が優勢の様で魔族、モンスターの死骸があちらこちらに転がっている。
「攻めてきた魔族は数が多いのですが雑魚ばかりで陽動かと警戒していますが…上級魔族も姿を見せませんし……いかんせん敵の狙いが解らない為にこちらからは迂闊に攻めこんで行けないのです。」
「なるほど……。」
雑魚と言えど相手は魔族とモンスター…無理やり攻めこんで判断を間違えると取り返しがつかない。
「先日の魔族の襲来は恐らくは団長を狙ったものだと考えられます…しかし、それなら何故もっと早くに攻めてこなかったのか…。」
ジーンの森で父上は再起不能になる攻撃を受けてしまった。その際に『轟撃王 タウロス』は、あっさりと撤退をしていったので何かあると思っていたが……。
…そうだ!この状況をシチリならどう思うのだろうか?
「部隊長、私の連れの者の話を聞いてみても良いですか?」
「アリス殿の連れですか?」
「はい。彼はきっと我々に勝利をもたらしてくれる者と私は信じていますので!」
「アリス殿がそこまで信頼している者ですか…解りました。話を聞いてみましょう。」
「はい!」
足早に私と部隊長は先程の部屋へと向かう。
「シチリ!お前の話を聞きたい…!」
部屋に入るとシチリとアイガ、エルザに加え作戦参謀のカイン4人が地図を見て話をしている。
ここだけを見るとなんともないが…彼らの足元には踞っている兵士が4人。自らの腹部を押さえてうめき声を上げてる。いったい何が…?
「おい、シチリ!」
私の一言にシチリの角がぴくんと動く。
「おお、アリスか丁度いい来てくれ。」
「なんだ!この状況は!」
狼狽する部隊長…それもそのはず…つい数分まで彼等は平然としていたのだ…私にも何があったのか…。
「部隊長殿…やはりこれは陽動……罠の可能性がある……。」
「本当か?カイン。」
「うむ、おい……角男、もう一度……説明…しろ…。」
角男?それは…。
「俺のことか?」
「うむ……部隊長殿にも…話せ……。」
「角男はやめろ。」
「時間…もったいない…。」
まったくもって訳が解らない。どうなってるのだ!?
「はぁ……いいか聞いてくれ。」
シチリはため息をつきながら地図に指差す。
「南からくる奴らは、わざと弱い奴をぶつけて奥へと誘っている。」
「ほう…その根拠はあるのかい?え~と…君は?」
「俺の名は七梨タカだ。今はヴァルキリー隊に所属している。」
「ヴァルキリー隊…あのエリカ王女様のかい?」
「そうだ。アンタも床で寝ている奴らのように変なこと言ったら容赦なくぶちのめすけど?」
なんだ?シチリは何か怒っているように感じるな。
「…んー………なるほどな。」
ノーベルは何かを察のかアイガとエルザに頭を下げた。
「すまない。私の部隊の兵が愚かな事を言ったようだ。」
ヴァルキリー隊はよく思われていないと噂で聞いたことがあるが…。
「どうやら、アンタは話が解るようだ。」
「今回の非はこちらにあるようだ…これでも善悪の区別はつくからね。私はノーベルこの部隊の部隊長を務めている。」
「なるほど、素敵な部隊長さんだ。」
「ありがとう、ところで何故陽動だと思ったんだい?根拠は?」
「西の方向にデカイ気を感じる。目の前の奴らは時間稼ぎ又は疲労させて動けなくなった所を叩きにくる腹だろう。」
「き?きとはなんだ?」
「ん~~…何て言えばいいか…ざっくり言って、そいつの存在感と言えばいいのかな?まぁいいさ。そのデカイ気が西の方向にある。」
「…2方向からの攻撃か…?」
「根拠らしい根拠ではないけどね…西の方の警備はどうなってるんだ?連絡しとかないと。」
「ん……伝令は……出すけど……二手ほど…遅れる…と思う……。」
「ぬ…間に合わないのか……ならば、被害を抑える…打てる手は…1つだな!」
「打てる手だって?」
部隊長のノーベルは眉をあ上げる。
シチリは挑戦的な顔で地図に載っている西の森に指を指す。
「俺が待ち伏せてる奴を叩く。」
グライス - ノワール王の一人娘で王女 エリカ - ノワールが独断と偏見によって国中から集めた専属騎士団。
通称『ヴァルキリー隊』
女性のみの20人がここ楽園にて生活、鍛練をしている。
この『楽園』ではエリカ王女のバラ園が併用されている為、楽園の周りはとても静かに…優雅な空間が広がっている…………………………………………のだが………。
「キャー!!ネイルがーーー!」
「もうやだーーー!!」
「疲れたーーー!!」
…と、ここ最近は、うら若きヴァルキリー隊の悲鳴や叫び声が木霊するようになっている。
ーー楽園内修練場ーー
嫁入り前なら…それ以前にも決して男性に見られたくないであろう足がカバッと開いた姿で床にぐったりと倒れていたり、壁に手をついて吐いて死にそうな顔をしている者もいる。
原因はこの国…いや、この世界に落ちてきた1人の男『シチリ タカ』である。
息荒く寝そべっている半裸の女性(エリカ王女の趣味100%の鎧姿、一応これでも正装。)の中で2本の木剣を持った上半身半裸の男……シュールというかなんというか…。
「まだまだぁ!もういっちょおおおぉぉぉぉぉ!!」
自分に気合いをかけて立ち上がるのは元傭兵で筋肉質のアイガ。体力、戦闘力共にヴァルキリー隊の中でトップ。
吠えるアイガに「応!」と2本の木剣で答えるシチリ。
木剣の打ち合いが場内に響く。
「アイガ!腕だけ使うなもっと腰を使え!」
「こうかよっ!!」
アイガ渾身の一撃を1本の木剣でさらりと流す。
「ほれ、足元がお留守!!」
2本目の木剣をアイガの軸足に叩きつける。
「ぐぁっ!」
軸足への一撃でバランスが保てなくなったアイガは転倒する。
「それで終わりか!アイガ!!」
あのシチリの戦闘力はどうなっているのだろう…?
遥か昔の話になるのだが、シチリの他にこの世界に来た人間はいる想像を絶する力を持ち魔族の王を討伐した『伝説の勇者』と呼ばれる人達。
私は『シチリ タカ』も素手で魔族を屠った事から『伝説の勇者』の1人のだと思っているのだが…。
「しんき?なんだそれ?」
そう『伝説の勇者』は『神騎』と共に姿を現した。と聞いたことがあるのだが、この男はその存在すら知らないのだ。
元々、この国ノワール国には『神騎』が少ない。だからシチリが『伝説の勇者』で『神騎』があればこの国の戦力も格段に上がると思っていたのだが………。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
シチリの後ろで倒れていたエルザが気合いで起き上がりシチリに向かっていく。
シチリに振りかざされた木剣は確実に目標を捉えていた。
…しかし、あのままでは無防備過ぎる…。
私の予想通りにエルザの木剣はシチリに軽く払われる。
「っ…!まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
払われた木剣を諦めエルザはシチリに特攻。流れる汗や鼻血もそのままに鬼気迫る咆哮をあげながら下半身へとタックルする。
「ぬ!?」
「ア、アイガさーーーーん!!!」
「任せとけぇぇぇぇ!!」
そうか、エルザは軸足を痛めていたアイガが苦痛に顔を歪めながらも立ち上がる所を見ていたのか。だからこそ自らで囮またはシチリを足止めする事を決めたのだ。
軸足を痛めていたが、傭兵上がりのアイガがこのチャンスを逃す筈もなく、慣れない逆足を軸に木剣を振るう。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そして、渾身の一撃がシチリの背中を切りつける。
「ぐぁ!!!」
シチリの両膝が地面に着く。
「よっしゃぁぁぁぁ!!」
「や、やったぁぁ………ふ………ふぇぇ~~ん。」
アイガはそのまま後ろに大の字に倒れエルザは泣き出した。
修練とは言え……いささかやり過ぎのような……。
「…よくやったな、エルザ。あの瞬間でよく機転が利いたものだ…お前は勇気がある…!」
シチリは涙と鼻血まみれのエルザの頭をポンポンと撫でて「お前はもっと強くなる!自信を持て!」と立たせようと抱き上げるが、もう足腰が限界なのか崩れ落ちるエルザ。
「きゃっ!」
「おっと。」
崩れるエルザを抱き止めてすっとお姫様だっこの形になる。
「あ……あぅ…すいません。」
赤くなっていくエルザ。
「気にしなさんな。」
その光景をむーーっとしながら見ているとエルザを椅子に座らせたシチリが倒れてるアイガに戻ってくる。
「おーい、生きてる?」
「はぁはぁはぁはぁ…どんだけな体力してんだよ…お前は…はぁはぁ…。」
息を切らせて倒れているアイガと汗は出ているが平然としているシチリ。これではどちらが勝者なのか解らない。
「やはりお前の一撃は効くなぁ~…ほらよ。」
手を差し出すとアイガはガシッとその手を掴む。
「立てるか?」
「なんとか、な……。」
「ほーら、よっ!」
エルザに引き続きアイガまでまでお姫様だっこ。
「や、やめろ!シチリ!お、おろしやがれ!!」
「まぁまぁ、足を痛めてるんだ無理するな!」
顔を真っ赤に目を回しているアイガ。
「うぅ~、お~ろ~せぇ~!!!」
手足をバタバタとさせている。アイガの普段とのギャップがありすぎて可愛いと思った。
「無理するなって!」
その後も1人1人を介抱するシチリ。その際に必ず何処かを誉めて笑顔にしている。
改めて1人1人を見て回り怪我の手当てをして回ったシチリが「よし!今日はここまでにしよう。明日は休みするから身体をしっかり休めてくれ!」と私の所へ歩いてくる。
「俺の鍛え方はどうだったかな?」
「鍛え方…というか…あれは鍛練ではなく実戦だな。」
「基礎からじっくりやれればいいのだけどな…。」
シチリがエリカ王女にヴァルキリー隊の指南役を任されて10日。
朝は早くから長距離を走らされ。
ご飯の量を増やされ。
後はひたすらに実戦形式。
…年頃の女性には地獄だろうけど…。
ヴァルキリー隊の身体には少なからず変化が見られてきた。
例えばシチリに睨まれて泣いていたエルザは下半身が太りやすいとか話していたが今では綺麗に引き締まって来ているし…うっすらと腹筋が割れてきている。
「んじゃ汗流してくるからアリス待ってて。」
「あぁ、解った。」
私に軽く手を振ってからシチリは歩いていく。
今でも信じられないが、あの日…へーリオス家修練場でのシチリの言葉。
「本格的な戦闘は久々だったからなぁ…心臓への負担が半端ない…下手したら死ぬかもな。」
「心臓への負担!?……大丈夫なのか!?」
「無理しなければな。」
「そんな…。」
「だから、その分武器に頼って楽しようと思うが…勘が鈍っているからアリス、俺の勘が戻るまで付き合ってくれないか?」
「それは、構わないが…心臓は問題無いのか?」
「安静にしてる訳にもいくまいよ。なぁにただ少し…激痛が走るだけだよ!」
……と、んーーー……シチリの動きを見ていると本当に心臓への負担で痛がっているようには見えないのだが……。
「お待たせ。」
「うわっ!」
「なんだい?考え事かい?」
クロックから貰った黒い服に腰にはオヤジさんから貰ったニホントウともう1本の剣をさげているシチリが歩いてきた。
「剣が増えたのか?」
「あぁ、これか。あのちっちゃい…オヤジさんと美人妻さんの合作だそうだ。」
「ふ~ん。」
形はニホントウに酷似というか同じなのだが…この剣は柄の部分から鞘にかけて緑色の配色が施されている。
「…5万ゼニーだそうだ…。」
「…ご!?」
5万だって!?剣1本の値段かそれ!けどオヤジさんとトワさんの合作とか言っていたし……あー…ヴァルキリー隊への指南報酬で払ったのか。
「あぁ、借金することになった。」
まさかの借金…。
「シチリなら指南報酬貰えるだろ?それで払えないのか?」
「そんなに貰ってないから無理だな。まぁなんとかなるだろ。」
う~ん…能天気過ぎる…まさかこの男は無計画男なのだろうか…将来は大丈夫なのか?
「さて、アレク殿に会いに行こうか!」
「…父上に一体何の用があるのだ?ちょくちょく来ると言っていたが。」
「ん~………その事はおいおいとね…。」
はぐらかされたな…そんなに言いたくないのか…。
「う~ん………後で教えろよ。」
「あぁ、約束しよう。」
「なら、私は馬を連れてくる。正面で待っていてくれ。」
「ぬ、馬だって!?」
シチリの目が輝いたように見えた。
「馬に乗れるのか俺!?」
「ん?シチリは馬に乗ったことがあるのか?」
「無い!!見るだけならあるが、乗ったことは無い!」
シチリの角(髪)がピョンピョン動く。あれはシチリの感情とリンクしているのだろうか…?
「連れてくるから大人しく待っていてくれ。」
「応さ!!」
凄い笑顔なっている…そんなに馬が好きだったとは……いつかはシチリと走ってみたいものだ。
緩んだ口元をそのままに楽園の馬繋場へ歩く。
私の愛馬『ユウヒ』雌の白馬だ。幼き頃、父上に自分の馬とは絶対の信頼関係も持たねばならん!と教えられてるので、できる限り毎日顔を見せている。
ユウヒを繋いでる綱を外す。
「よし、ユウヒ行こうか。」
ユウヒに乗り手綱を握る。シチリはユウヒを見てなんと言うだろうな。アイツのことだ「おー!見事な馬だー!」とか言いそうだな。
…そう言えば、シチリの父上への用事とはなんだろう?娘の私にすら言えないこととは……ん~…なんなのだろうか?それにしても……借金かぁ……。
私も支払いを手伝うべきか?いやいや、恋人に借金を払わせてそのまま逃げた男が居るという話を聞いたことがあるし……シチリなら逃げないと思いたいが…はっ!何故私が払う事を考えているのだ…!これはシチリの問題だ!私が入っていく事はない。
いやでも…シチリに頼まれたら……。
「う~ん……。」
楽園正面門前に立っていたシチリが私に気付いて手を振っている…私の気も知らないで…子供か!
シチリの元へと着くと目を輝かせてユウヒを見てくる。
「おお!これがアリスの馬かぁ白いなぁ!白馬だ白馬!格好いいなぁ!立派だなぁ!綺麗だなぁ!!いいなぁ!俺も馬欲しいなぁ!!」
止まらないシチリ。
「触ってみるか?」
「いいのか!お、驚かないかな?」
「大丈夫だ。問題無いぞ。」
シチリがそぅ~~っとユウヒに手を延ばすと同時に警報が響き渡った。
その音にびくっ!?っとなる2人と1頭。
「南の門に魔族の群れが押し寄せてきたぞー!兵士、戦士は集まってくれー!」
「女、子供は城へ急げ!避難するんだー!」
伝令隊が横切っていく。
魔族の襲来だって!?こうしては居られない私も行かなければ!シチリ……。
「シチリさん!」
「シチリ!」
「ぬ?」
露出度が高い鎧と兜を身に付け騎士の剣を腰に、戦闘体制を整えたアイガとエルザが馬に乗って駆けつける。
「ぬ、お前ら怪我は?」
「精霊の涙を飲んだから平気です!」
「精霊の涙?なんだそれ?それに他の皆は??」
「詳しい説明は後だ!魔族が攻めてきたんだ!アタイらの名を広めるんだ!」
「そうです!私達もやれるってとこをエリカ様に知ってもらう為に!」
私が空気になりつつある。
「お前たち…アイガは元傭兵だが…エルザは実戦どころかモンスターとの戦闘も無いのだろう。」
「はい、アリス様。これが初めての実戦になります。」
「死ぬかも知れんのだぞ!危険過ぎる!」
「いえ、私は大丈夫です!エリカ様の力になれるのなら死んでも本望です!」
「エルザ…。」
油断=死である戦場、自分では体験していないが、負傷した者の姿や命を落とした者の話を聞けば行きたくはないと思うが…シチリの存在が彼女を変えたのだろうか…?
それでもやはり怖いのか涙目になりつつもエルザの眼は真剣だ…勇敢な事だがこれは困った…。元傭兵のアイガはなんとかなるとしても実戦未経験のエルザを守りながら戦えるだろうか…。
「考えてる時間はない…。」
よっと掛け声を1つ、シチリがエルザの後ろに乗り上がる。きゃっと可愛い悲鳴。
「問題ない俺が居る。」
本当はシチリには私の後ろに乗ってもらいたかったな…。少し胸が痛むが…これでエルザは心配ないだろう。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
「はい!」
「……ぬ…。」
「シチリどうした?」
「…馬って予想以上に股が痛い……。」
「よし行くぞ!」
シチリを無視して走り出す。魔族は南の門に攻めてきているだ!
~~ノワール国 南門~~
私達が着くと既に魔族、モンスターとの戦が既に始まっていた。
我が父上アレク - へーリオスが前線に立てない代わりに部隊長のノーベルと作戦参謀のカインが自陣で騎士兵士の指示を話し合っていた。それを4人の兵士が聞いている最中である。
部隊長のノーベルは身長180の長身で短髪の優しい顔つきをしている。我が父上アレクからの信用も厚い。騎士としては細身だが素早い身のこなしで突き技を主体としている。細長い剣レイピアの使い手で私の必殺『ライトニング・スピアー』の考案者。
ちなみに、細身の見た目からでは想像も出来ないくらいの大食漢。父上曰く「5日あればノワールから食べ物が消える」とかなんとか。トレードマークは小さめの丸メガネ。
作戦参謀のカインは……パッと見て人形の様なゴスロリ少女。国家参謀へ成り上がるだけの十分な知識があるのだが「性格に問題アリ」と判断され小さい部隊の参謀に収まっている。性格の問題とは…国家試験の当日に「眠い……。」と試験の回答用紙に一言書いて残り全ての時間を寝て過ごした猛者、それでも彼女の才能は素晴らしく国としても手放すのが惜しいと言われている。
ちなみに金髪のツインテール。
先ずは部隊長のノーベルに参戦の意を伝えに行く。
戦場の情報は多いに越したことはないし、自分勝手に戦場には飛び出す訳にもいかない。1人の身勝手な行動が戦況を一変させることがあるし、突然に目の前で戦闘が起こらない限り自分は味方であるという意思表示もしなければ。味方に後ろから刺されるということもありえない話ではない。
「アレク - へーリオスの娘、アリス - へーリオスです!私も参戦に参りました。」
「おお!アリス殿これは心強い!…しかし…こちらへ。」
部隊長の後をついて行き戦場が一望出きる南門の展望室へと向かう。
今のところ我が部隊が優勢の様で魔族、モンスターの死骸があちらこちらに転がっている。
「攻めてきた魔族は数が多いのですが雑魚ばかりで陽動かと警戒していますが…上級魔族も姿を見せませんし……いかんせん敵の狙いが解らない為にこちらからは迂闊に攻めこんで行けないのです。」
「なるほど……。」
雑魚と言えど相手は魔族とモンスター…無理やり攻めこんで判断を間違えると取り返しがつかない。
「先日の魔族の襲来は恐らくは団長を狙ったものだと考えられます…しかし、それなら何故もっと早くに攻めてこなかったのか…。」
ジーンの森で父上は再起不能になる攻撃を受けてしまった。その際に『轟撃王 タウロス』は、あっさりと撤退をしていったので何かあると思っていたが……。
…そうだ!この状況をシチリならどう思うのだろうか?
「部隊長、私の連れの者の話を聞いてみても良いですか?」
「アリス殿の連れですか?」
「はい。彼はきっと我々に勝利をもたらしてくれる者と私は信じていますので!」
「アリス殿がそこまで信頼している者ですか…解りました。話を聞いてみましょう。」
「はい!」
足早に私と部隊長は先程の部屋へと向かう。
「シチリ!お前の話を聞きたい…!」
部屋に入るとシチリとアイガ、エルザに加え作戦参謀のカイン4人が地図を見て話をしている。
ここだけを見るとなんともないが…彼らの足元には踞っている兵士が4人。自らの腹部を押さえてうめき声を上げてる。いったい何が…?
「おい、シチリ!」
私の一言にシチリの角がぴくんと動く。
「おお、アリスか丁度いい来てくれ。」
「なんだ!この状況は!」
狼狽する部隊長…それもそのはず…つい数分まで彼等は平然としていたのだ…私にも何があったのか…。
「部隊長殿…やはりこれは陽動……罠の可能性がある……。」
「本当か?カイン。」
「うむ、おい……角男、もう一度……説明…しろ…。」
角男?それは…。
「俺のことか?」
「うむ……部隊長殿にも…話せ……。」
「角男はやめろ。」
「時間…もったいない…。」
まったくもって訳が解らない。どうなってるのだ!?
「はぁ……いいか聞いてくれ。」
シチリはため息をつきながら地図に指差す。
「南からくる奴らは、わざと弱い奴をぶつけて奥へと誘っている。」
「ほう…その根拠はあるのかい?え~と…君は?」
「俺の名は七梨タカだ。今はヴァルキリー隊に所属している。」
「ヴァルキリー隊…あのエリカ王女様のかい?」
「そうだ。アンタも床で寝ている奴らのように変なこと言ったら容赦なくぶちのめすけど?」
なんだ?シチリは何か怒っているように感じるな。
「…んー………なるほどな。」
ノーベルは何かを察のかアイガとエルザに頭を下げた。
「すまない。私の部隊の兵が愚かな事を言ったようだ。」
ヴァルキリー隊はよく思われていないと噂で聞いたことがあるが…。
「どうやら、アンタは話が解るようだ。」
「今回の非はこちらにあるようだ…これでも善悪の区別はつくからね。私はノーベルこの部隊の部隊長を務めている。」
「なるほど、素敵な部隊長さんだ。」
「ありがとう、ところで何故陽動だと思ったんだい?根拠は?」
「西の方向にデカイ気を感じる。目の前の奴らは時間稼ぎ又は疲労させて動けなくなった所を叩きにくる腹だろう。」
「き?きとはなんだ?」
「ん~~…何て言えばいいか…ざっくり言って、そいつの存在感と言えばいいのかな?まぁいいさ。そのデカイ気が西の方向にある。」
「…2方向からの攻撃か…?」
「根拠らしい根拠ではないけどね…西の方の警備はどうなってるんだ?連絡しとかないと。」
「ん……伝令は……出すけど……二手ほど…遅れる…と思う……。」
「ぬ…間に合わないのか……ならば、被害を抑える…打てる手は…1つだな!」
「打てる手だって?」
部隊長のノーベルは眉をあ上げる。
シチリは挑戦的な顔で地図に載っている西の森に指を指す。
「俺が待ち伏せてる奴を叩く。」
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