21 / 24
第1章 ~ノワール国~
ノワール国 その 8
しおりを挟む
~ノワール国、西門前~
私達は魔族の群の中を駆け抜けた。
戦場初体験のエルザが震えながら俯いている。
敵から向けられる真っ直ぐな殺意を初めて向けられたのだから…生きているだけでも上出来だ。
西門から準備の出来た兵士達が次々飛び出して残りの魔族を追い払う。
1人残してきたシチリは無事なのか…?
伝説の勇者でもあるシチリがそう簡単にヤられるハズはないのだが…。
目の前が段々と黒く染まっていく…。
漆黒に染まった旗に剣を型どった印が刺繍されている。
頭の先から足の先までも同じ漆黒の鎧。
『漆黒の暗黒騎士団』
漆黒の部隊に1人だけ兜に紅い色が織り混ぜられている。
暗黒騎士団隊長のラザニー・キラーである。
なんと彼は『伝説の勇者』の子孫で最強クラスの神騎『ゴットブラック』の乗り手だ。
「なんで暗黒騎士団がこんなところに!?」
アイガが驚きの声をあげる。
それもそのはず、暗黒騎士団は『国土なき国』。自国というものを持たず、大陸エルドラドを絶えず移動する。
勇者の正当な血筋なので各国の王達も彼らには頭を垂れるしかない。
「ここ数年は姿は見せなかったのに何故今になって…私達を助けに来たのでしょうか?」
「それ…は…無い。」
エルザの問にカインが答える。
「え?」
「暗黒騎士団、彼らには『戦う』理由はあるが『助ける』は無いと聞く…。」
「アリスの…言う…通り……。」
「そんなっ…。」
「戦う…為だけの…軍団…で……どの王様……も…彼らには…頭を…下げる。」
果たして暗黒騎士団は私達の味方なのか?
「皆の者!!聴けぇぇぇぇ!!」
暗黒騎士団の1人が声をあげる。
「我ら暗黒騎士団はこの近くで上級魔族の捕獲に成功した!!」
「上級魔族を捕獲だって!?」
「我らにかかれば上級魔族など恐れるに足らないが!少しばかり負傷してしまった!故に暫しの間ノワールに留まることにした!よって今夜は宴を開催する!皆の者の誠意に期待する!」
簡単に説明すると、我々は戦闘で疲労しているのでお前らで我々を持て成せと言うこと。
「何を勝手な!」
先の戦闘には一切手を出さず、自分達が行った戦闘こそが最優先と言っている。
「おい!そこの女!!」
一際大きい巨馬に股がり身なりも装備も仰々しいが汚れ1つない騎士が前に出てくる。
前頭部に1本目立つ角が付いている兜を外すとそこから金髪の碧眼の若者の顔が…暗黒騎士団 団長 ラザニー である。
「我ら暗黒騎士団を侮るなよ!捕らえた魔族を見せろ!!」
「はっ!!!」
暗黒騎士団の全員が黒い鎧なので区別がつきにくいが下級騎士であろう黒い騎士達が檻に繋がれた鎖を手繰り寄せる。
私は引き寄せられた檻を見て驚愕した。
「そんなバカな!!!」
檻の中には上級魔族の轟撃王 タウロスが鎖で動けないように縛られていた。
「見たか!我々、暗黒騎士団の力の前では上級魔族もこの通りだ!!」
団長のラザニーは声高らかに言う。
檻の中のタウロスの身体は傷だらけで所々焼け焦げており、その雄々しかった角の片方が折られている。
尚且つ鎖で縛られて身動きが出来ないタウロスの周りには鮮血が広がっている。
「噂によると!!」
ラザニーが続けて声をあげる。
「この国には名前だけのお荷物女集団があるそうだな!」
お荷物女集団……。
まさかとは思うが…ヴァルキリー隊の事か…?
「どうせなにも出来ない娼婦集団だ!仕方ないので総て我々に預からせてもらう!異存はないな!」
「なにぃぃ!!」
「私達はエリカ王女専属騎士です!」
アイガとエルザが吠える。
「お前らは…?」
ラザニーは目を細くし2人を上から下までをまるで品定めをしているようだ。
「その紋章…お荷物部隊の女だな?ふっ…なるほどなるほど、確かに器量だけはいいようだ。」
鼻の下が伸びて卑しい顔だ…。
「私達は貴方達のいいようにはなりません!」
「我々に口答えするな!いいだろう!貴様は慰安婦にして喋れなくなるまで可愛がってやろう!」
「え!?」
「けっ、このゲス集団が…!」
「そこのデカイ女には娼婦は荷が重いから…そうだな…新兵達の的になってもらおう!」
「なんだって!?」
「我々、暗黒騎士団は1つの国だ!貴様達たかだかボンクラ集は我々と話をするだけでも幸福だというのに…恥をしれ!!」
むちゃくちゃ言ってくれる。
「お言葉ですが、それはあまりにも横暴過ぎます。」
「なに?何者だ貴様は?」
私も一緒に戦った仲間が侮辱されるのは心が痛む。
「私はアリス - へーリオスです。」
「へーリオス……ほう、ノワール騎士団の…団長の娘か?」
「はい。」
「………。」
ラザニーは己の顎を擦りながら私を見る。
「よし、アリスよ。貴様はその容姿で助かったな。俺の嫁にしてやる。俺の子供は4人は産めよ!」
「!?!?」
話がぶっ飛び過ぎている。
ラザニーという男の思考はどうなっているのだ!?
「私は…。」
「おっと!我々に逆らうというのなら覚悟を決めろよ!その言葉1つで今すぐにでも戦争を開始することになるぞ!」
他の暗黒騎士達はニヤニヤしている。逆にもう戦争でいいだろという騎士もいた。
どうしたらいいのだ………シチリ…。
「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
響いてくる男の悲鳴に周囲の人々は周りを見渡す。
「あれはなんだ!?」
「鳥か!?」
「魔族か!?」
空を見て騒ぐ民衆につられてラザニーも上を向くと黒い何かがラザニーの頬を掠めて近くの建物に衝突する。
その間の光景はアリスの視界ではコマ送の様に流れていた。
シチリが魔族の身体を某ゼブラ超人の必殺技マッスル◯ンフェルノの如く…スノーボートの様に滑空してきた。
いや、ここは落ちてきたとの表現が正しいだろう。
…シチリは少し泣いている様にも見えた。
壁にぶつかった衝撃音が辺りに響き崩れ落ちた瓦礫がシチリに覆い被さる。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
雄叫びと共にシチリが瓦礫を押し退けて立ち上がる。
ぱちっ!とアリスと目が合うとシチリはアリスに向かってダッシュ。
「?」
熱い抱擁をするシチリにアリスは赤くなって戸惑うがシチリはアリスを強く抱き締め…。
「ちょっ!?ちょっとシチリ!どうした!?」
アリスの心拍数が激しく高鳴る。
「怖かったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
シチリはエルザとパチっと目が合うと今度はエルザにがばっと抱きつく。
アリスが然り気無くシチリの後ろに回そうとした手が迷子になってしまう。
「うぅ…。」
異常なテンションのシチリはその手にまったく気が付いていない。
「エルザ!!生きてたか!!やったな!!」
「ちょ!ちょっとシチリさん!どこ触ってるんですか!!」
そう言いつつも、頬を紅く染め上げてまんざらでもないエルザ。
初めての戦場の恐怖や無事の再開の感情が相成ってその瞳には涙が貯まる。
シチリは再び姿を消して今度はアイガの後ろから抱きつく。
「アイガ!!」
「うひゃぁ!?」
突然の抱擁とシチリの顔が自分の顔がぴたっとくっついたアイガから気の抜けた声が漏れる。
「お前は絶対生きてると思ったぜ!無事でなによりだ!ははは!!」
「わ、わかったからくっつくな!!」
「照れるな照れるな!ははは!!」
「はひゃぁ~。」
「ぬ!?」
姿を消したシチリは今度はカインを下から抱き上げる。
他からみると『たかいたかい』状況。
「お前も無事だったか!!ははは!」
「ははは…じゃ…ない……下ろせ……小僧…。」
自分だけ他と扱いが違うことが腑に落ちないとカインの眉間にシワがよる。
「げ……解せぬ……。」
その光景をみて面白くない気に食わないと睨み付けるのはラザニー。
『総ての女は自分に服従するべきで反抗するものは凌辱し支配する』ものと考えているラザニーは自分に対する反抗的な瞳か屈伏した瞳しか見たことが無かった。
…しかし、今目の前の女達は反抗的でもない屈伏した瞳でもない…なんというか輝いた瞳で『あの男』を見ている。
今完全にイニシアチブを握っていたであろう自分を完全無視で女達は『あの男』に夢中のようだ。
それが気に食わない…気に食わないと男を睨み付けると男と目が合う。
「うわっ!?黒いな!まっ◯くろ助か!?」
意味不明な言葉を投げ掛けられた。
「貴様!もしや我らの事を知らぬと申すか!?」
ラザニーの後ろに居る暗黒騎士団の1人が吠える。
「知るか!!」…ぬ?」
シチリの姿が消える。
「なんだ!!どこへ消えた!?」
辺りを見渡すラザニー達暗黒騎士団の面々。
「おお!!お前は会ったことがあるな!!久しぶりだなぁ!!元気してたか?」
シチリは檻の前に移動してタウロスに話しかけていた。
「おーい、元気してたかぁ!どうした?言葉が通じんか??」おーい!」
タウロスに向かってめちゃくちゃに手を降ってアピールするシチリ。
しかし…タウロスの口には猿ぐつわがされており話す事が出来ない。
男の発言、行動のどれもが気に食わないラザニーは馬から降りて腰から剣を抜き男の元へと進む。
「貴様!!!」
「ぬ?なんだ?」
「貴様に決闘を申し込む!」
「お断りします。」(即答)
「なぁ!?」
「興味がないので。」
「貴様!!!」
2人のこのやり取りが面白かったのかどこからともなく「くすくす」と聞こえてきた。
ラザニーは怒りに震え自らの左の手袋を取り男へと投げつける。
男は飛んで来る手袋を…。
「汚ねぇだろ!!」
ぱん!
………と、シチリは頭の中で叩き落としていた。
人にモノを投げてよこすなんて失礼だ!!
「もう一度言う!貴様と決闘だ!!逃げることは許さん!!」
投げつけられた手袋に施された宝石に目がいく。
(コレ売ったら高いのだろうか…。)
「合意とみて宜しいわねぇぇぇ!!!」
某ロボットバトルが始まるかのような掛け声が響く。
その場にいた一同が声の発生どころを見るとそこにはヴァルキリー隊に囲まれたエリカ王女が仁王立ちをしていた。
エリカ王女様だ…。
王女様?
王女様がなぜこんなところに…?
威風堂々とエリカ王女は歩を進める。
「話は総て聞かせてもらったわ!そして理解した!!」
エリカは暗黒騎士団 団長のラザニーの元へと進むとスカートの両サイドを軽くつまり会釈をする。
「ノワール国、王女、エリカ - ノワールですわ。」
ラザニーは抜いた剣を鞘に戻す。
「暗黒騎士団 団長のラザニーだ。エリカ王女、本来ならば此方から挨拶へと向かうのが筋なのだが…思わぬ邪魔が入りましてな。」
ラザニーは己が脱ぎ捨てた手袋をじーーっと見つめる男を顎で指す。
「ふふっ。」
男を見て微笑むエリカ王女先ほどの女達と同じ目なのが気に食わないが相手はこの国の王女。
「ラザニー様。」
強く凛とした瞳がラザニーへと向けられる。
その瞳をなんとか屈伏させることは出来ないかと模索するラザニー。
「なにか?」
「先の決闘の件…私達ノワール国が仕切っても宜しいですか?」
私達は魔族の群の中を駆け抜けた。
戦場初体験のエルザが震えながら俯いている。
敵から向けられる真っ直ぐな殺意を初めて向けられたのだから…生きているだけでも上出来だ。
西門から準備の出来た兵士達が次々飛び出して残りの魔族を追い払う。
1人残してきたシチリは無事なのか…?
伝説の勇者でもあるシチリがそう簡単にヤられるハズはないのだが…。
目の前が段々と黒く染まっていく…。
漆黒に染まった旗に剣を型どった印が刺繍されている。
頭の先から足の先までも同じ漆黒の鎧。
『漆黒の暗黒騎士団』
漆黒の部隊に1人だけ兜に紅い色が織り混ぜられている。
暗黒騎士団隊長のラザニー・キラーである。
なんと彼は『伝説の勇者』の子孫で最強クラスの神騎『ゴットブラック』の乗り手だ。
「なんで暗黒騎士団がこんなところに!?」
アイガが驚きの声をあげる。
それもそのはず、暗黒騎士団は『国土なき国』。自国というものを持たず、大陸エルドラドを絶えず移動する。
勇者の正当な血筋なので各国の王達も彼らには頭を垂れるしかない。
「ここ数年は姿は見せなかったのに何故今になって…私達を助けに来たのでしょうか?」
「それ…は…無い。」
エルザの問にカインが答える。
「え?」
「暗黒騎士団、彼らには『戦う』理由はあるが『助ける』は無いと聞く…。」
「アリスの…言う…通り……。」
「そんなっ…。」
「戦う…為だけの…軍団…で……どの王様……も…彼らには…頭を…下げる。」
果たして暗黒騎士団は私達の味方なのか?
「皆の者!!聴けぇぇぇぇ!!」
暗黒騎士団の1人が声をあげる。
「我ら暗黒騎士団はこの近くで上級魔族の捕獲に成功した!!」
「上級魔族を捕獲だって!?」
「我らにかかれば上級魔族など恐れるに足らないが!少しばかり負傷してしまった!故に暫しの間ノワールに留まることにした!よって今夜は宴を開催する!皆の者の誠意に期待する!」
簡単に説明すると、我々は戦闘で疲労しているのでお前らで我々を持て成せと言うこと。
「何を勝手な!」
先の戦闘には一切手を出さず、自分達が行った戦闘こそが最優先と言っている。
「おい!そこの女!!」
一際大きい巨馬に股がり身なりも装備も仰々しいが汚れ1つない騎士が前に出てくる。
前頭部に1本目立つ角が付いている兜を外すとそこから金髪の碧眼の若者の顔が…暗黒騎士団 団長 ラザニー である。
「我ら暗黒騎士団を侮るなよ!捕らえた魔族を見せろ!!」
「はっ!!!」
暗黒騎士団の全員が黒い鎧なので区別がつきにくいが下級騎士であろう黒い騎士達が檻に繋がれた鎖を手繰り寄せる。
私は引き寄せられた檻を見て驚愕した。
「そんなバカな!!!」
檻の中には上級魔族の轟撃王 タウロスが鎖で動けないように縛られていた。
「見たか!我々、暗黒騎士団の力の前では上級魔族もこの通りだ!!」
団長のラザニーは声高らかに言う。
檻の中のタウロスの身体は傷だらけで所々焼け焦げており、その雄々しかった角の片方が折られている。
尚且つ鎖で縛られて身動きが出来ないタウロスの周りには鮮血が広がっている。
「噂によると!!」
ラザニーが続けて声をあげる。
「この国には名前だけのお荷物女集団があるそうだな!」
お荷物女集団……。
まさかとは思うが…ヴァルキリー隊の事か…?
「どうせなにも出来ない娼婦集団だ!仕方ないので総て我々に預からせてもらう!異存はないな!」
「なにぃぃ!!」
「私達はエリカ王女専属騎士です!」
アイガとエルザが吠える。
「お前らは…?」
ラザニーは目を細くし2人を上から下までをまるで品定めをしているようだ。
「その紋章…お荷物部隊の女だな?ふっ…なるほどなるほど、確かに器量だけはいいようだ。」
鼻の下が伸びて卑しい顔だ…。
「私達は貴方達のいいようにはなりません!」
「我々に口答えするな!いいだろう!貴様は慰安婦にして喋れなくなるまで可愛がってやろう!」
「え!?」
「けっ、このゲス集団が…!」
「そこのデカイ女には娼婦は荷が重いから…そうだな…新兵達の的になってもらおう!」
「なんだって!?」
「我々、暗黒騎士団は1つの国だ!貴様達たかだかボンクラ集は我々と話をするだけでも幸福だというのに…恥をしれ!!」
むちゃくちゃ言ってくれる。
「お言葉ですが、それはあまりにも横暴過ぎます。」
「なに?何者だ貴様は?」
私も一緒に戦った仲間が侮辱されるのは心が痛む。
「私はアリス - へーリオスです。」
「へーリオス……ほう、ノワール騎士団の…団長の娘か?」
「はい。」
「………。」
ラザニーは己の顎を擦りながら私を見る。
「よし、アリスよ。貴様はその容姿で助かったな。俺の嫁にしてやる。俺の子供は4人は産めよ!」
「!?!?」
話がぶっ飛び過ぎている。
ラザニーという男の思考はどうなっているのだ!?
「私は…。」
「おっと!我々に逆らうというのなら覚悟を決めろよ!その言葉1つで今すぐにでも戦争を開始することになるぞ!」
他の暗黒騎士達はニヤニヤしている。逆にもう戦争でいいだろという騎士もいた。
どうしたらいいのだ………シチリ…。
「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
響いてくる男の悲鳴に周囲の人々は周りを見渡す。
「あれはなんだ!?」
「鳥か!?」
「魔族か!?」
空を見て騒ぐ民衆につられてラザニーも上を向くと黒い何かがラザニーの頬を掠めて近くの建物に衝突する。
その間の光景はアリスの視界ではコマ送の様に流れていた。
シチリが魔族の身体を某ゼブラ超人の必殺技マッスル◯ンフェルノの如く…スノーボートの様に滑空してきた。
いや、ここは落ちてきたとの表現が正しいだろう。
…シチリは少し泣いている様にも見えた。
壁にぶつかった衝撃音が辺りに響き崩れ落ちた瓦礫がシチリに覆い被さる。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
雄叫びと共にシチリが瓦礫を押し退けて立ち上がる。
ぱちっ!とアリスと目が合うとシチリはアリスに向かってダッシュ。
「?」
熱い抱擁をするシチリにアリスは赤くなって戸惑うがシチリはアリスを強く抱き締め…。
「ちょっ!?ちょっとシチリ!どうした!?」
アリスの心拍数が激しく高鳴る。
「怖かったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
シチリはエルザとパチっと目が合うと今度はエルザにがばっと抱きつく。
アリスが然り気無くシチリの後ろに回そうとした手が迷子になってしまう。
「うぅ…。」
異常なテンションのシチリはその手にまったく気が付いていない。
「エルザ!!生きてたか!!やったな!!」
「ちょ!ちょっとシチリさん!どこ触ってるんですか!!」
そう言いつつも、頬を紅く染め上げてまんざらでもないエルザ。
初めての戦場の恐怖や無事の再開の感情が相成ってその瞳には涙が貯まる。
シチリは再び姿を消して今度はアイガの後ろから抱きつく。
「アイガ!!」
「うひゃぁ!?」
突然の抱擁とシチリの顔が自分の顔がぴたっとくっついたアイガから気の抜けた声が漏れる。
「お前は絶対生きてると思ったぜ!無事でなによりだ!ははは!!」
「わ、わかったからくっつくな!!」
「照れるな照れるな!ははは!!」
「はひゃぁ~。」
「ぬ!?」
姿を消したシチリは今度はカインを下から抱き上げる。
他からみると『たかいたかい』状況。
「お前も無事だったか!!ははは!」
「ははは…じゃ…ない……下ろせ……小僧…。」
自分だけ他と扱いが違うことが腑に落ちないとカインの眉間にシワがよる。
「げ……解せぬ……。」
その光景をみて面白くない気に食わないと睨み付けるのはラザニー。
『総ての女は自分に服従するべきで反抗するものは凌辱し支配する』ものと考えているラザニーは自分に対する反抗的な瞳か屈伏した瞳しか見たことが無かった。
…しかし、今目の前の女達は反抗的でもない屈伏した瞳でもない…なんというか輝いた瞳で『あの男』を見ている。
今完全にイニシアチブを握っていたであろう自分を完全無視で女達は『あの男』に夢中のようだ。
それが気に食わない…気に食わないと男を睨み付けると男と目が合う。
「うわっ!?黒いな!まっ◯くろ助か!?」
意味不明な言葉を投げ掛けられた。
「貴様!もしや我らの事を知らぬと申すか!?」
ラザニーの後ろに居る暗黒騎士団の1人が吠える。
「知るか!!」…ぬ?」
シチリの姿が消える。
「なんだ!!どこへ消えた!?」
辺りを見渡すラザニー達暗黒騎士団の面々。
「おお!!お前は会ったことがあるな!!久しぶりだなぁ!!元気してたか?」
シチリは檻の前に移動してタウロスに話しかけていた。
「おーい、元気してたかぁ!どうした?言葉が通じんか??」おーい!」
タウロスに向かってめちゃくちゃに手を降ってアピールするシチリ。
しかし…タウロスの口には猿ぐつわがされており話す事が出来ない。
男の発言、行動のどれもが気に食わないラザニーは馬から降りて腰から剣を抜き男の元へと進む。
「貴様!!!」
「ぬ?なんだ?」
「貴様に決闘を申し込む!」
「お断りします。」(即答)
「なぁ!?」
「興味がないので。」
「貴様!!!」
2人のこのやり取りが面白かったのかどこからともなく「くすくす」と聞こえてきた。
ラザニーは怒りに震え自らの左の手袋を取り男へと投げつける。
男は飛んで来る手袋を…。
「汚ねぇだろ!!」
ぱん!
………と、シチリは頭の中で叩き落としていた。
人にモノを投げてよこすなんて失礼だ!!
「もう一度言う!貴様と決闘だ!!逃げることは許さん!!」
投げつけられた手袋に施された宝石に目がいく。
(コレ売ったら高いのだろうか…。)
「合意とみて宜しいわねぇぇぇ!!!」
某ロボットバトルが始まるかのような掛け声が響く。
その場にいた一同が声の発生どころを見るとそこにはヴァルキリー隊に囲まれたエリカ王女が仁王立ちをしていた。
エリカ王女様だ…。
王女様?
王女様がなぜこんなところに…?
威風堂々とエリカ王女は歩を進める。
「話は総て聞かせてもらったわ!そして理解した!!」
エリカは暗黒騎士団 団長のラザニーの元へと進むとスカートの両サイドを軽くつまり会釈をする。
「ノワール国、王女、エリカ - ノワールですわ。」
ラザニーは抜いた剣を鞘に戻す。
「暗黒騎士団 団長のラザニーだ。エリカ王女、本来ならば此方から挨拶へと向かうのが筋なのだが…思わぬ邪魔が入りましてな。」
ラザニーは己が脱ぎ捨てた手袋をじーーっと見つめる男を顎で指す。
「ふふっ。」
男を見て微笑むエリカ王女先ほどの女達と同じ目なのが気に食わないが相手はこの国の王女。
「ラザニー様。」
強く凛とした瞳がラザニーへと向けられる。
その瞳をなんとか屈伏させることは出来ないかと模索するラザニー。
「なにか?」
「先の決闘の件…私達ノワール国が仕切っても宜しいですか?」
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる